すべてのおすすめ
たくさんの鳥
そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った
覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない
夏の敷石の上で ....
淡い空に
洗いたての
真っ白な
服を干したら
羨ましくなりました
わけもなく
ただ
地球の純粋が
ある日の午後
ネズミが降ってきた
白黒まだらのパンダネズミ
そこら中パンダネズミで溢れた
パンダネズミはビルをかじっている
例え何が起ころうと
パンダネズミはただ腹が減って ....
むー。
と、
音がして
電車がホームに入る
それは声ではなく
乗客の
希望と不安と
そして無関心が
いりまじった
心の音
今朝の
むー。
は、
1オクターブ
高かった
動物園の猿が
声を食べている
人間の声を
むやみに与えないでください
と、注意書きがあるので
みんなただ黙って
猿を見ている
携帯が鳴った
電話の相手が
ものすごい剣幕で怒ってい ....
一
寝息をたてている。
親父も最近、まるなったな。
福岡に住んでるとき、
一晩かけて車で京都に帰ってきて
舟岡山で大文字をみるのが毎年夏休みの楽しみでさ、
兄弟三 ....
大切に思うほど
遠ざかるのはなぜだろう
お弁当のウインナー
最後まで 見ていた
カラダよりキス
キスよりもことば
ことばで
私たちはつながっていく
遠足の日
ずんずん ....
いっそ
世界の銃口から
俺の言葉が
ポム、と
発射されればいい
くだらなさ過ぎて
みんな戦いを辞めるだろう
めんどくさがりやが
めんどくさいことをしている
めんどくさがりやほど
めんどくさいことをしたがる
めんどくさいことが
もうこれいじょう
めんどくさいことにならないように
あしたがもっと
....
家が潰れた
潰れすぎて
十億年が経った
その間にあなたは
一年弱の間優しいまま
安寧に完成した
いつしか石と花で
あなたの家は
いっぱいになった
そんなこともしらず私は
....
ちいさい頃
留守番の夕暮れ時
椅子の下だけが安全な場所で
顔が出たら溺れてしまう
足が出たら喰われてしまう
と思いこんでいた
入学式前
ランドセルを背負ってみたら
ランドセ ....
隣のWによって名付けられた半月が
水溜まりの中の夜を
割れながらくりぬいていた
*
夏の水門に置き去りにされた犬が
鼻をなめて
水の流れを嗅ぐうちに
....
書庫の扉を開ける
水の中になってる
たぶん海なのだと思う
昨日まで資料や本の類だったものが
魚みたいに泳ぎ回っている
手を伸ばして一冊つかまえる
ページを開くようにお腹を指で裂くと
文字 ....
よく見る夢の中で
会ったこともない自分が
苦い微笑を湛えて
母親のようにやさしく
手を振っているのが
そのまま来いということなのか
戻ってやりなおせということなのか
遠くてよく見えないの ....
足元にはあんぱんのゴマが散らばって、
ガラス越しの地下街は盆ちょうちんのように繰り返されて、
繰り返されて、
加減の利かない照明と、
可でも不可でもない音楽と、
安穏とした空気の ....
たあいも ないことで
かんたんに
きずついたり
しぼんだり
やわらかな
きみの たましいは
まいにち とっても
いそがしい
だけど どれだけ
いそがしくっても
....
浮き輪がなくなっていて
気づいたときには
けっこう遠くまで流されていた
風がきつかったからかもしれない
お父さんがちょっとだけ顔色をきつくさせてから
でも勢いよくむかっていった
わたしと妹 ....
この水滴はなんだろう
風に混じりながらほそながくのびてゆく知らない子供のよだれ
常磐道
星をちりばめてする虫たちのセックスのしずかなマジさ加減にびびりながら
自転車の沈む前輪と後輪 ....
こたえ、という
ことばそのものは
とてもかよわいものです
だからといって
あきらめたりはせず
突きつけることもせず
こころは、そう
並んでいけたなら
じゅうぶんだと思います ....
どうせいつか
愛せなくなるなら
さいしょから
愛さないでください
っていうのは
どうせいつか
死ぬのなら
生まないでください
っていうのと
おなじ
近代芸術が誇る自由の象徴。最新式の
トーテムポール。通勤途中の誰もが目にする、
橋の上の街灯にとまる鳥たち。その多くは
国道50号の看板に生息する。
昨日、鳥たちは君の家の屋根で眠ったとい ....
{引用=「序」
万華鏡に
甘い想い出だけを そっと詰めて
くるくるまわして のぞきこむ
金平糖のじゃれあうような
さらさらした音がはじけて
あまりの甘さに 歯を痛めて ....
たらいまわしにされているたらいが
私の家に届いた
底のひび割れから水漏れするので
仕事にありつけないのだと言う
私は気の毒に思いひび割れを修理してやった
翌日たらいの奥さんと息子も届いた ....
空気で身体を洗って
空を仰いで
膨大な宇宙に
飛んでいく
あのころの
空は
青く澄んでいて
忘れられない横顔
長い睫毛が
煌めいていた
そのすべてが愛しくて ....
眠らない夜の
ざわめく都会の駅に
ひとり立ちつくし
冷蔵庫の音しかしない
居間で酒を飲む
冷蔵庫から
食べ残しのつまみを出し
ホテル街へ歩いてゆく
賞味期限切れのつまみは
結 ....
俺はマイナスイオンを浴びようと思った
おだやかに泳ぐブルーギルたちを眺めながら
支流にある光明の滝をめざし
七北田川を自転車でさかのぼった。
野村で湯葉専門店の看板を見つけ
自転車から降りて ....
かつての持ち主が言ったように―「長い旅になりそうだな。」と、
懐中時計が呟いた。そして歯車は相方を探しに出たっきり戻ってこなかった。
縫い物をする少女の手の中で秒針だけが動き続けた。
換気扇が、軋んだ音を降らす。
両親たちが、長い臨床実験をへて、
飼い育てた文明という虫が、頭の芯を食い破るようで、
痛みにふるえる。
今夜も、汚れた手の切れ端を、掬ってきた、
うつろな眼で、 ....
こんな
晴れすぎているから
隠されてしかるべき一つの
ほんのちいさなことさえも
道路のうえ
黒すぎる影のせいで
焼けて
見つけられてしまう
かつて
日焼けしない手で
ただ赤くな ....
1
今朝から眼鏡の手入れをしている
透き通ったリンゴが
近づいては離れていった
明日から得た切符は
どことなく頼りなく
手元で伏せる
汽車に乗る
時間が乗客
会話が聞こえ ....
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