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電車が
夜になると光るのは
恋をしているからよ
夜の街を
急ぐように駆け抜ける列車の
まっすぐな光の筋
あのカタブツが
淡く夜光するさまは
なんともいじらしい
だから ....
携帯が久しぶりになったと思ったら
ママからだった。
女子大生のひとり暮らし なんて
本当はすごく地味で
例えばツタヤのイケメン店員に
なんとなく惚れてみたりして
そうやって ごまかしてる ....
手のひらで乾きつつある血の色や
頬についた砂つぶ
それを指で払い落とす
あの
ざらざらとした手触りに
あの
深さをまして沈む色に
瑞々しさはあって
血の色が
紫がかっていた
だ ....
世界中にあふれている
たくさんの言葉たち
きれいな言葉
やさしい言葉
愛にあふれた言葉
どれもみんな素敵だけれど
でもちがうのよ
私が探しているのは
胸にかちりとはまる
....
不意に、もうひとり帰ってくる気がする
母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて
机に張り付いて私は耳を澄ま ....
何故だろう
どうしてこうなったんだろう
まるっきり変わってしまった
何を見たんだろう
前髪の奥から
何を見てたんだろう彼は
まぶしくて何も見えないはずなのに
白い花の咲きほこる丘で
....
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
その ....
心臓にも
記憶があるらしいんです、と
その透明な
心臓をもつ少女は言った
にくたいが
ほろびてもまだ
記憶というたしかなものが
あったとは
わたしは思って
しかし
何 ....
空に浮かぶ星に自分の名前をつけても
決してその星を手にすることはできないように
ただ遠くから眺めることしかできなくて
諦めることしかできないこともある
....
ベッドタウンを目指した住宅地の一角が消えた。
僕らがまだ建設途中だったそこに 忍び込んだとき、
辺り一帯、今となっては恋人の到来を予測させるのに充分な
二階の窓は、透明なビニールシートが張られて ....
真夜中に
目が醒めて
また哀しい夢を観た
いつも
同じだ
寝室には鏡を置かない
目が合うと
わかってしまうから
昼間の私が
全部嘘で
もう
誰も信じてなくて
....
きみの歌は
四散して、きみたちも
四散して、
四散していったものたち、言葉
は
何ひとつとして
きみと
ともには行かなかった、かつて
わたしはきいた、
はずの
きみの
四 ....
懺悔をしたいのです
普段は書く事もない漢字ですね
ペン一本で世界を変えてきた私の
言うことですから信じないで下さい
けれどもこれまで嘘をついて来たことを
皆さんに懺悔したいのです
ほん ....
むら雲の輪郭を
指でなぞれば
切りすぎた爪のあいだにも
入り込む冷気
雪のうえに取り残された
林檎のかおりは
まだ風のなかに漂って
わたしを追い立てる
明らんできた外界の
塀のうえに ....
東から西へ
クリークのような商店街の上を
滑空する
コンビニの角を南に曲って
コソコソとパチンコ屋へ向かう
八百屋の若旦那を左目で見ながら
西から北へ
生易しい北風を切り裂く ....
ぽこっと開いたコンクリートのくぼみに
しとやかに雨粒が埋められてゆく
雨粒はくっついて水たまりになり
ごうごうと吹く風に水面を泳がせている
ほら この大きな木
わたしよりもうんと ....
動物がほとんどいなくて、すきっ歯な林だけがあるような
そんな植物だけが林立する場所にも、空き缶は捨てられていた
その缶を水が徹底的に錆び付かせ、風が土に埋葬した
泥に溺れそうな缶詰の、淵が顔を覗 ....
クラッカーが鳴らされた
遠い船旅への出航にも似て
さまざまな色の
無数のリボンが流れては
黒い羅紗の床を汚してゆく
ひとつの別れなのか
祝うべきことなのか
知らない
どこへ ....
まだ名づけられていない、
連続する瞬間で構成された時間を
拾い集めつづけても
綴じるためのすべを、忘れてしまった
わたしたちは、かわるがわるに
世界を四角く切り取ったり
はが ....
夕暮れの水位は
さざなみ
浅い胸に、さざなみ
空白で埋めたはずの
小さな画布が
素朴に満ちてゆく
海面に浮かぶ
危うい杭に
うずくまる鳥の
膨らませた羽から
零れる文字のやさし ....
シャボン玉のなかの、人気の無いシャッター通りを
くぐりながら、眠れない半分の顔は暗闇の書架を見上げた。
玩具の戦争が終わったら、地平線のうしろに隠してある
重油の山を売り払って、腹が裂け ....
白梅も微睡む夜明けに
あなたしか呼ばない呼びかたの、
わたしの名前が
幾度も鼓膜を揺さぶる
それは
何処か黄昏色を、
かなしみの予感を引き寄せるようで
嗚咽が止まらず
あなた、との ....
お前が汚れていくのなら
俺はお前の石鹸になってやる
お前のためにどんどん身を削ってやる
消えてしまいたいなんて言うな 俺が代わりに消えてやる
お前にとって俺は泡のような存在でもかまわないけど
....
父さん、殴れ
瓶がばかばか落ちている
どろっとした内容物は
ふくらんでいる
覗き込んでは
ぱんと破裂する
太鼓をたたく
父さん、殴れ
棒がぼろぼろ落ちている
虫がたくさん食っている
....
錆びた自転車がペダルをこぐたびに
ぎいぎいと耳障りな音を立てる
右足でライトを点ける
ぎいぎいの上に
ライトの点くぐんぐんとした音が加わる
太陽の出ている時間に外に出ていないと
....
ふゆの匂いがする
ほわり、
冬のお喋りをしよう
たくさんのきらきらするものが
眠たそうに待っているのは、きみの春
あの頃の小さな息吹が
ほわり、と手さぐりしながら
追いかけてくる ....
いつか大きくなったら
でっかいお城をたてるの
一日中パイの焼ける匂いがして
一日中パーティーをする
男の子は馬小屋に追い出しちゃう
きっと花束を持って戻ってくる
小さいお花の花束
そ ....
それは
砂糖一袋分の時間だという
いったい何のことだか
あなたの言うことは
時々なぞなぞみたいで
私にはよくわからなかった
息が苦しい
100対3で、塩の負け
なんの勝負だ ....
朝から起きられない
なんとか薬だけを飲み
また うとうとと眠る
昼近くに遅いブランチをとり
また夕方まで眠る
長い長い眠り
何日も何日も眠りの日々は続く
その眠りの中で
私 ....
「 いってきます 」
顔を覆う白い布を手に取り
もう瞳を開くことのない
祖母のきれいな顔に
一言を告げてから
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く
散歩日和の道を歩く
....
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