すべてのおすすめ
わたしの影まで、赤く染めてしまいそうな
真っ赤なカーディガン
お気に入りなの
夜は、まだちょっと肌寒いから
もう少しだけ着させて
昼間はバッグの中に入れておいて
こんな中途半端な季節な ....
裸足になって詩を読もう
どこか不思議と
目に入ってくる言葉が
そのまま受け入れられる
気持ちがこもった
言葉なのだから
肩を張らずに
裸足のままで
そのまま読めばいい
純粋な ....
地下鉄はきらいだ
そとは暗い
こんな朝に
あいさつを
したいのに
*
このうすいからだの皮膚に
染みだしたような
うわずみのような感情が潤んで
それを掬おう ....
生まれて
しまった後ならば、
二度と
生まれて
いけないだろうかと、
ひとりごとだけ
生んでみる
いくつになっても
守られるから、
さびしさは
無くならない
幼なじみ ....
見上げないで
喫茶店のある角の信号機
立ちすくんでいる人
広大な浅葱で包んであげましょう
どれほど運のいい事か
まるでイチゴ畑で財宝を見つけるぐらい
ほらほら広がるでしょう?
....
今部屋にいます
煙草を吐く煙で
輪っかを作る練習をしています
結構上手くなりました
輪っかは空中で漂ってます
一瞬君を思い浮かべながら
煙を吐き出すと
煙の輪っかは歪んで ....
階段が出港する
上る人も下る人も
その時だけ水夫になるのだった
ドラを打ち鳴らす男、今日も支配人
石の庭に椅子を出して座ると
どちらが本当の笑い話か
ほとんど区別がない
蜘蛛の巣──繊細に張りめぐらせたレースの装飾
怖いもの知らずの蝶が飛び込んで
ゆれる ゆれる
蝶の羽も絡まる糸も光っている
ゆるやかな午後の陽に なお光を保ち
路地裏のちび猫は
突入する赤に
踏み出す肢を迷わせる
産み落とされた残り香
ずぶ濡れのステップ
行きずりのハーモニカ犬は
油のしみ込んだ木柱に
鼻先をふがふが押しあてる
かつて高く ....
きみどりの薄皮をひらいて
瑞々しい透明を露出させる
縦に切っても
横に切っても
どこまでもたまねぎだから
うれしくて
うれしくて
なきそうで
やわらかい切り口に
崩れそうになる
か ....
小学校の時の算数のテスト
「たかしくんは、80円もってぶんぼうぐさんに行きました。
50円のけしゴムを1こ かいました。
おつりはいくらでしょう?」
....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
素潜りで
{ルビ鮑=あわび}を密漁する
丹後半島の
夜明け
海で生まれた太陽と
山に入る月の夢、
肩がこる
髭の男が少年や
座礁した五月
白身のま ....
1997
ひらいているのか
ひらいてないのか
ラムネの瓶から転がりだした目で
すべての皮膚が内側からはちきれて
剥かれた/剥いた
滲む赤い体で
そのひとつの透明な血袋が
なににも触れな ....
噴水の仕組みがわからないから
それはもうじっと見ているしかできなかった
一定の水が噴水の中にはあって
それがどこかで汲み上げられて
吹き上げられている
そして落ちて回る
それくらいはわかる ....
終電前の
人もまばらなラーメン屋
少し狭いテーブルの向こうに
きゅっ と閉じた唇が
うれしそうな音をたて
幾すじもの麺をすいこむにつれ
僕のこころもすいこまれそう
....
電線の仕組は分からない
とにかく君のことばかり考えてしまう
国道沿いの、看板のライトの下から見上げる
電線を。向こうの夜空も
僕は官舎にテレビを持ってきていない
新聞も、ラジオもない
....
冷たい空の下街を見下ろしながら死に神は救急車のサイレンに合わせてリズミカルに踊る
ママからプレゼントされた巨大な鋭利な鎌を振り回して それは血塗られた三日月のようだ
今日も魂を刈るのが楽しみ ....
名付けたいひかりの先に
やさしいリビング・ルームがない
一握りのたましいが
あかるみに美しく滅んでいる
並んで有機物が芽吹く
動とも植とも
青とも赤ともつかないまま
....
男は体育館の裏に
女の歳の数だけ
星を埋めた
女は男のために残しておいた
夏の一番柔らかいところを
まだ寄木細工の箱にしまってある
詐欺師の家では
換気扇がゆっくりと壊れて
ま ....
{引用=
? 夏の妖精
笑いながら
運ぶ風に
身を任せて
あなたは走り去ろうとしたが
照りつける陽射し
の中にではなく
薄萌木色の林の奥に
....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた言葉たちが
静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
土の道だった
でこぼことした
それでいて不安定な小石の上を
靴底に刺さるかのような痛み ....
Ser immortal es baladi;
menos el hombre, todas las criaturas lo son, pues ignoran la muerte;
lo ....
1ヶ月のうち15日まで寝ないで働いて後はずっと眠っている
この社会の生き物達はみんなそうだ
しかし中には真逆の生活をして悪さを働く者もいる
その為に警察は悪さを働く者と同じような生活をし ....
ダンボール箱
いや、もう、箱ではない
これに
俺は
云いようもないさみしさを覚え
やあ、俺が
もう、君のよに、なってしまったら
どうしよか
なりたくはない
ダンボールのよに
雑用さ ....
あなたは物静かだった
あなたを背負うと
その軽さの分だけ物静かに温かかった
だからあの家は部屋は
この空の下突っ立つ一人の人間は世界は
今でも物静かなまま
極めて物静かで
見渡す限り ....
まるくあった裂け目だ。そのように生じる他にないのは、密室の丸ごとの気狂いや身悶えに含まれる等しさやおかしさ。
ついに殴るあなたを見つけ出せないあなたの猫背を撫でさすってや ....
とおく
とおくから聞こえる
もぞもぞしたごとごと
とおく
とおくに見えだす
かげろうの壁の向こう
雲のすきまからはみ出した光にゆびさされ
銀色に青い線のはいった電車が走りだす
鳩が30 ....
夏日を更新するはずの五月晴れが連れてきたのは
冬の残滓のような冷たさで
渺々と吹き荒れる毎に世間を震撼させている
鉄板を舞い上げてしまう風は
それでも人を飛翔させたりはせず
降下する ....
小学生の頃に乗っていた青い自転車は
ボタン一つでロボットに変形した
サドルの裏側にボタンはあったのだけれど
変形すると股間に隠れてしまい
外からは押せなくなってしまう欠陥品
だから自転車に戻 ....
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