すべてのおすすめ
くすり指がちびた人の
ひんやりとしたリールから
がっしょがっしょと妻が走った
シッポー トト ト (朝は隣家も装い ふれるの
深呼吸のドレープの波に乗って
腕で掻き分 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
両腕でバランスをとりながら黒鍵を渡る。ちろちろとつま先から炎、揺らめくモディリアニ。白鍵
は床上浸水していて、溶けてしたたるたびにじゅう、って、しずくの結晶なんだ。映る、壁に体と
もうひと ....
モウレツな猿が異星人のように
人間社会にもぐりこんでいる
そうしてわれわれの情報を盗み取っている
もう体毛は退化しほとんど人間と変わりない
モウレツな猿は早 ....
おなかが痛くなって
道のはじっこにしゃがんでいたら
知らないお兄さんがそばにきて
だいじょうぶ?
と聞いてくれた
わたしは顔を上げた
なんと言おうか迷ったけれど
「おなかが痛いんです」と ....
14歳の冬
生理が1ヶ月近く
止まらなかったことがあった
わたしは学校で倒れ
保健室に運ばれた
どうしたのと先生に
やさしく聞かれても
上手く話せない
自分でもわからない
母親に病院 ....
結局僕らは、手を繋ぐことも恐れていたから、きっと、人間なんて外枠は、どうでもよかったんだね。感覚で繋がる、思いは繋がっている。「繋がる」なんて言葉の嘘を、僕らはとうに見破っていた。不器 ....
谷川俊太郎さんと酒を飲んだ
谷川さんが酒を飲むとは知らなかった
鶯谷ではない近くの酒場だった
朗読会か出版記念会のかえりだった
何度か同席したこと ....
あれから
どれくらいの時が過ぎたのかなんて
思い出せないけれど
わたしは夜の11時頃
仕事帰りにひとりで
国道4号線沿いの
びっくりドンキーで
ハンバーグディッシュを食べていて
つい
....
おんなじくらい跳ねるなら
砂漠の町を飛ぶときだって
氷を振りかけたい
出してくれって叫びながら
ドンドンって窓を叩く人の
汗ばんで 黒い 顔に
乗り移れば流れ出す
私の水
くだ ....
朗読会の打ち上げで
ポテトサラダを
よそって、
くれた
きみ-
き、きききみリルケが好きだといったきみぼくは
きみの言っていることが
ぜんぜん分からなかった
魚民で
となりの席で ....
触覚の先端ではもう無くしたての繊細な産毛
幾千とおりの声が転回を始めている
その閃光は深く深く脳を焦がし
僕の両手から溢れるハチミツを虹色に染め
やわらかく着地 ....
私は大地だなんて今更そんなこと歌いながら歩いてゆく
まひるの高速道路さすがにちょっと危険
でも引率する彼女の後ろにはぞろぞろと娘たちがついてくる
娘たちは美しかったり美しくなかったり
あるいは ....
落とし穴に落ちている人たちはいつも助けてという
手をさしだすと隠し持っていたナイフで傷つけられる
ロープを降ろして「これをつかんで上って来い」というと
落とし穴のなかでみつけた五円玉 ....
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね
と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
今すぐお前はひざまずいて許しを乞え
そう言いたげな世の中である
巨大でどう猛な牛が血を飛び散らせ
倒れる姿が見たい
そいつは知力と情報を角に蓄えて
ひたすら暴れ駆け回る
俺を目ざとく見 ....
母国語を持たない人々の
差し出す別のコトバが
手渡されたそのとき
息吹の記憶をよみがえして
ひとときある音色をなす。
両手でそっと包んだ鳩が冷たく固くなっていくということ
小さな部屋でひとり眠る夢のこと
最後の言葉を告げるためにやってくる
自転車のこと
同じくらい愛し合っていると思える人と出会い
二人でしっ ....
空洞/
小さな花が咲いている/
単にマグマ/
ドラゴンホール七つ/
龍がいる/
まばゆいクリスタルが台座のうえで回転している/
金庫/
ワープゾーン/
古いコンピューター/
壊れかけ ....
はがれていく皮膜に
縫い込まれいく記憶。
遠ざかる人影は、名前のない体温を
そこここに植え込んでいく。
宛先不明の伝言を抱きしめた少女が
それらを踏みしだきながら全速力で走る。
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
一度しか刺せないとしたら、誰を刺す?
助手席で
彼女は妖しく微笑む
一度だけなら、いつまで取っておく?
ちょっと待って
いま両手がふさがっているんだ
前輪がひとつ足りな ....
僕の猫しりませんか
行方不明です
指名手配にします
探してください
どこへいったのでしょう
わかりません
どうしていなくなったのでしょう
わかりません
僕が何かをしっていそうです
そ ....
武装グループよ
今すぐ人質を解放せよ
無益な殺生をするな
彼を殺しても誰も得することは無い
彼は要人でも賢人でも有名人でもない
彼を殺しても日本人はたいして
悲しまない
不注意なヤツだっ ....
主人のために
軽快な羽音を立てて
働き続けてくれた
小回りが効くからと
八の字にぐるぐる回ってくれた
働き蜂との蜜月を
寄り添う相手のいなくなった
この狭いガレージで
いつまでも
思 ....
この都市の、上空100m
本当の本当に 都市のど真ん中にて
風に乗って舞い上がり
そこに留まっている羽毛
が、もしあるとするならば
僕はこの都市が好きになる
本当の本当に ど真ん ....
私は素手で土を掘った
逆さ剥けから血がにじんだ
さらに掘り進むと爪が剥がれた
赤土は血を吸いながら悦んで湯気をあげた
肥ってはいるけれどゆがんだ芋虫が
私の掘った穴から這い出し ....
飯を炊く
明日生きていたら
チャーハンを作れるように
米を研ぐ
多分
その間は
米を研ぐことしか
考えていない
白くにごった水を
捨てる
白くにごった水 ....
どうしても空を飛びたいらしいので
象が踏んでも割れない筆箱をあげると
「二郎さーん!」と言って地面に投げつけた
私は冷や汗をかきながら
「確かに弟ができたら二郎と名付けるつもりでした」
....
あたしのしんぞうには
たまごをいっこかっていて
ママがいうには
たいせつなひとのために
とっておきなさいって
あのねママ
そのたまごは
かえるの?
もうすこしで
なにかが
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439