すべてのおすすめ
海まで歩いて五分
日当り良好の
離れの寝室の
大きな窓辺から
隣の国が見えてくる
そんな気がして
今日は霞がないから
風来坊になって
紙切れのように
軽く飛ばされてみた
....
写真 好きなの? と
未だに 聞かれる
焦らなくって 良いよ
待たなくって 良いよ
長いこと 不動の体勢で
ステキショットを 切り取る
ジレンマの先に 映る
ミラクル チャレ ....
朝日の足跡はみんなのあくび
夕日の足跡はみんなのただいま
とことことこ
雪の足跡は清水
花の足跡は蜜
夏の足跡は実り
北風の足跡は落ち葉
ぱたぱた ....
殺人現場みたいな
コンビニエンスストアが
造られては壊されていく
次から次に
雨上がりに湧き立つ虹のように
美しいこの国の
新しいジェノサイド
電波の届く場所が世界の半分で
残 ....
‐‐‐‐ 悪いゆめより その魚は生まれた
風は
葦原のなか
{ルビ老女=おうな}が こっくり
こっくり
囲炉裏に ゆれている
それは、川瀬の流れに ながされ ながされ
....
うたうことは すてきだ
そこに 鍋と お玉しか なくっても
共同作業を 続ければ
楽しいもんサ
たまに イラッとするのは
太鼓音を
只管 聞かされる 瞬間だね
苛立ちの鼓動と リ ....
.
{ルビ二十日=はつか}に年賀状を書き終った。こんなことは初めてだ
なにをかくそう、きみが宛名書きをぜんぶやってくれたからね
ポストに入れにゆくと丸くて赤いポストはなくてみな四角だった
....
会社の発送所に荷物がいっぱいでフォークリフトも空いてないし
積むのを諦めて明日にまわす
帰りにブックオフによって金魚屋古書店のコミックを買った
105円のコーナーだからきわめて安上がりなクリ ....
わたしにある
他者の相
他者は正月にもちを食い
他者はゆっくり風呂に入る
他者は身繕い
他者は出かけ
他者は恭しい
他者は賀し
他者は帰り
他者は脱ぐ
他者を脱ぐ
ひ ....
光について語ろうとして
君について語ってしまうわたしを
どうか許してください
闇の中を歩くのは怖い
すくんでしまう足を
立ち止まる背中を
導いてくれる光
君はやっぱり光なんだ
....
{画像=121225010128.jpg}
ささやかで良い
誰を祝うでもなく
チビどもとケーキを
幸せな人々に及ばないが
不幸というわけじゃない
これで満足出来るな ....
ミッキーマウスは ビックマウス
ほんとうのネズミは 目が ほとんど見えなくて
光と影くらいしか分からない
見えなくても見える方法を 知っていたり
いや 知らなかったりする
オーストラリア ....
紅白歌合戦に誰がでるのかとテレビは繰り返し
コタツに老婆がひとり
印刷された年賀状に「今年も健康でありますように」と、娘に書き添えた
式場の人が何もしてくれない
ってぼやいていたのに
何だよ
サプライズ続きの披露宴に
思わずこんな言葉が口を吐く
けれど
結婚っていいなと
温かい気持ちにさせてくれた時点で ....
{画像=121222105919.jpg}
猫よ
我々には降誕祭も
盆暮れ正月だって
自身の誕生日さえ
周囲とは異なり
意味を持たない
然し
猫 ....
奥の虫歯が痛かったので
バスに乗った
バスなんてないのに
歯なんてとっくの昔に
なくしてしまったのに
強風波浪注意報の町で
希望、という名の音楽を買った
嬉しいことが
少しだ ....
横になって感じるナンバーは ライオン
野生の猫の たてがみの美しさは 17
おきあがれない日
かなしい日
戦っていない日
子猫のように爪をといでいる子が大勢いて強さを誇っていても
気 ....
はじめまして、と言って、町に住み始めたね。
日々、白い顔をした町を刻んでいくと、
黄やピンクや赤が顔を出してきて、
それとなく、そのまま、口にして、飲み込んで、喜んでいたね。
この町にどんな食 ....
気がつくと
このところずっと
背中を
壁につけていた気がする
壁は
崖なのかな
盾を
背負っているのかな
前への注意はしているけど
なんて考えていたら
壁からの
....
自分を慰める歌も
持ち合わせていないので
枕の上に
生贄のように
投げ出した腕
手のひらに
種が芽吹いて
止める間もなく
こぼれる
花
花
紫苑
私は後悔して ....
きみがねむるまで
うたをうたおう
このよのふあんは
すべてわたしがたべよう
やすらなここちのべっどで
きみはすくすくそだつだろう
それをみて
わたしもすくすくそだつだろう
ははとして
....
良い人は扱いやすさで軽んじられる
良い人は時に利用されて捨てられる
良い人はもてない分だけ深みが増す
男女交際において
良い人という呼称は決定的なダメージの象徴だが
良い人が好きだ
....
夫婦喧嘩しながら
酒を飲む
楽しい酒ではないけれど
つまみのイクラを
一粒一粒舌で潰しながら
時が過ぎていく
その一瞬にも
互いの言い分が述べられて
これは生きてい ....
誰にも見えない虹が
君には見えるのだろうか
僕は何十年もかかって
ようやくおのれの目の中の
黒い雲達の正体が
おぼろげに
見えてきたばかりだというのに
僕の言葉は
発音した瞬間 ....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
ハイボールは 夢の味
含んだ途端に 下が高速回転し
イラナイ発言を 繰り返すので
トタンで閉じて しまわないと
非常に 危険な 飲み物なのですヨ
コニャックの文字で
必ずコンニャクのぬ ....
僕の時間の砂が
指の隙間から零(こぼ)れ落ちる
さらさらさらさらと
零(こぼ)れ落ちる。
そのまま風に吹かれて
失われてゆく
砂の想い出
人生の終わりまで
掴(つか)んでいたい ....
冬は突き放すような抱擁
軽くドレスの裾を振るだけで
白い吹雪が真昼を閉じ込める
冬は火傷するほど冷たいキス
サイドミラーの氷を指先で落とすと
風の中 君の声が聞こえてきた
子どものころ ....
太陽
月
仏陀
神
(それらを含んだ風のしらべよ)
わたしが昇ればあなたは昇り
わたしが降りればあなたは降りる
わたしが歩めばあなたは歩み
わたしが止まればあな ....
空を切り裂く
稲妻のような
赫い時を駆け抜けて
蒼く険しい道を
手探りで辿ってきた
背中には黒い影法師が
張り付いていた
コンクリートの孤独が
骨を溶かしていく
そして今は
....
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