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飛べ 飛べ
おれよ 飛べ
まっしぐらに 飛べ
何も考えずに 飛べ
踏み切って 滞空する時間に
脳裏をめぐる 想いは
展開の素早さに ....
星野ジャパンをせめないで
星野ジャパンをせめないで
星野ジャパンをはんごろしだ
星野ジャパンをはんごろしだ
星野ジャパンをはんごろしだ
星野さん、星から生まれた、あなたは
適当な水たま ....
・
夜
飲みさしのコーヒーの中に
砕けた夏を発見した
掬い上げようとしたら
逃げるみたいに砕けて沈み
底の方で銀色に光っている
人差指でかき回すと
跡形もなく溶けてしまった
....
曇り空にその彩かな色を奪われながら
涼しい風の言いなりに首を振り続ける
自己主張が苦手な遅咲きの向日葵の小さな声は
消えかけた横断歩道の白線部分みたいに
はっきりとせず途切れ途切れで
流 ....
死んだ人が生きかえる
バラバラだったラーメンが、一つのどんぶりに集まる。
家族はうれしがって、ラーメンにろうそくを立てて、復活を祝う。
ろうがラーメンにあふれて、あぶらと間違えて口に入れて
ま ....
前髪が濡れていて、うまく夜風に
流れてくれないのを感じながら
腕を軽く上げた先の
線香花火に、視線を戻した
断末魔の産声が
チリチリと聞こえていたはず
かつての夏の夜
赤い輪郭を ....
四角いへやに住みたい
何もないところで
棚に邪魔されずに
四角をながめながら
四角の一部になって
心臓を壁にあずけて
窓も作らず
頭の中にもう一つ四角をこしらえて
あほになったまま
....
郵便局に車椅子に乗ったおばあちゃんがいて、
ガムテープで段ボールに蓋をするのをぼくは手伝った。
得意気な気持ちで車を走らせていると、警察に捕まった。
ぼくはシートベルトも切ってたみたい。はい、そ ....
悲しいから
泣きましたら
そっと
母は抱いて
くれました
あぁ
温かいなあ
と思った
時には
もう遅く
私は冷たく
なっていくのです
母の手で
ゆっくり
ゆっく ....
疲れ果てた大地に雨が降った
染み込んでいく一粒ひとつぶが
次第に流れを作りはじめて
大地の顔をぐしゃむじゃにしてしまう
泣いているのか死んでいるのか
わからないような崩れ具合で
少し不安に ....
きちんとした襟の
背の低い男が
背を丸くして立っている
教会の門の前
指先の
薄茶けたしみと
視界のかしいだ
米が落ちている
祝福の
後先に
三本目のつえが
....
砂漠に
雨傘が開く
長い人のように
午後だけが
遠くまで見える
行方のない自転車は
ふいにとまり
やがて
ぼんやりと朽ちた
あたしの夜が
無重力になった夜が
球になって
落ち着くことも
弾けることもできず
あたしのすべてを包もうとしている
のに
あんたにゴクりとされれば
いいのにと
ちょっとだけ
....
僕の名前は皆月零胤 でも名前はまだない
多分それは小学五年の夏休みが折り返した
そんな時期だったと思う
空き地の隅には僕たちの秘密基地があった
それはホームレスのビニールシート ....
わたし、さかな
あなたの前では息もできない
それは言いすぎかもしれない
だけど夜になると
淋しさを呼吸するわたしは
誰でもない一匹のさかなになって
どこまでも
きっと、どこま ....
もう会わない人たちが
改札を通過する
昨夜知らない人たちと
あんなに
飲んだはずなのに
今朝はやけに顔のない
彼らの名前を
だれも知らない
夕焼け色のワンピースを縫って 黄昏のサッシュをしめている
菩提樹のこずえに 白と黒の猫が座っていて 夕焼け色の目をしてこちらを見てる
電気コンロを見つめ
一夜限りの放火魔が
燃えるものを片手に
ライターをふらつかせる
背丈より高くはためく炎
身投げするクスサン
手繰り寄せられそうな
上気した青年の手つきと
恐る恐 ....
夜に拾った球を舐めてはいけない
わかっていたはずなのだ
私は舐めてしまった
砂利道の中に落ちていた
黒い小さなビー玉
始めは頬がシリシリと痺れ
舌は硝子の冷たさと甘味
腐った葡萄か苺 ....
大塚
都電の線路沿い
ホープ軒の隣の隣にある世界飯店は知る人ぞ知る世界飯店
一番の人気メニューはぱりっとした鴨焼飯
1000円
B級グルメというジャンルがあるらしい
B級
俺が今 ....
明日
というのは
明るい日
らしい
少年は
少女を追いかけて
過ぎ去っていく
少女はいつまでも
少年よりも早く
大人で
少年は
たぶんずっと子どもで
だから
少年は夏の日のま ....
暮れてゆく夏のかたむく日差しのように
あなたの後ろすがたが遠ざかってしまう
今日あった嬉しいこと、虹
久しぶりに見れたこと
あなたの後ろすがたが遠ざかってしまう
淋しさがぼんやりと浮 ....
太陽のない
惑星の
生きもののように
夢を見てる
漆黒の意識の中
聞こえない
囀りと
見えない鳥
あの空も
雲も
地平線と
沈みゆく太陽さえ
目を覚ます
....
育ちすぎた入道雲と
肌を突き破る陽射し
それに
一向に降り止まない雨になった蝉の声
それらに押しつぶされた脆弱な身体は
不揃いなアスファルト
その隙間を這うように
とろけて流れてゆく夏の ....
永遠なんて信じていないから
今日を懸命に生きている
わたし
だけど
あなたといると
永遠があればいいなって
思ってしまうから
明日のこととか
来週のこととか
今日が ....
悲しみから抜け出せない時は
逆に明るくポップな曲を作ることにしている
あぐらをかいて床に座り
ギターを膝に抱き
最初の指は決してマイナーを押さえないよう
歌いながら
少しずつ構築さ ....
天井の上で暮らしていると、
ほこりがころころと転がってくる
僕もまけじところころ転がって
天井の上を走る配線コードにからまる。
スパゲティのような気分になる。
えんとつのけむりで窒息 ....
腕力と脚力
今はそんなに必要ないかもしれないけれど
地震が起きたり
雷が落ちたり
火事が起きたり
親父が死んだりしたときに
大事な家族を守るため
ちょこっとだけ鍛えておこうと思う母
地の底の歌を聴き
暗がりの言葉をまさぐり
ざわめく井戸端をなぎたおし
しどけなく横たわる絹のストールを引き裂き
ヒリヒリと苛立つ昨日を脱ぎ捨て
ゆがんだ唇を真っ赤に塗りつ ....
一日が終わっていく
きょうは
1/150億年の一日
ちいさな一日
僕の一日は乾いていた
びしょ濡れだった人もいるだろう
途中で息絶えた人もいるだろう
寝過して飛ばしてしまった
....
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