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文献によればビー玉沿線の原形が見いだされるのは乾永4年というから
はるか安土桃山時代まで遡る。むろん当時は鉄道の概念はなく線路など
というものは存在しないがビー玉を直やかにすべらせるた ....
てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
い ....
うさぎは
「じぶんが
あいされていない」と
かんがえたので
みずうみに
みを
ひたしました
つぎのひ
ぽっかりとうかんだ
うさぎのからだをみた
どうぶつたちは
このようにしゃ ....
今日をキャラメルの日と制定します
晴天
ひるがえる白い洗濯物
何気ないラジオ放送から始まったキャラメルの日は
全国の老若男女を巻き込み
いまだかつてない展開をみせた
神棚には全てキャラ ....
あなたはたぶん
わたしがシアワセと感じる指先や
透明になれるほんのすこしの暗号を
ちゃんと知っていて
いつだって手をひいて
この思慮深い森の出口につづく
複雑な線をといて
近道へ、
近 ....
僕は淋しかった
または、淋しくなかった
だから 僕は森を歩いた
だから 僕は空を仰いだ
しんしんと
珍しくも降ってくる雪に合わせて
その降ってくる音に合わせて
僕は息を吐いた
....
日が落ちてから
こんにちは を思い出して
これで正しいのだろうかと
図鑑を開いて調べてみる
さっき思い出した
こんにちは は
ありがとう だった模様
明日は忘 ....
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を伏せ ....
手に入れたいものがあった
走った先にはかすんだ景色
冷たい風
慰めあうように
癒しあうように
雪は掌の上で溶けていった
熱いのはココロだけ
冷えていかぬよう
急ぎ足で帰 ....
8つのおとうとは
私が夕飯時になっても
食卓に来ないので怒っている
8つのおとうとは
私を呼んでも返事もしないと
私の部屋のドアを蹴り
「何か悲しい物でも、隠しているのか」
と問 ....
目覚めの呼吸が
ぽこっとまあるい泡になって
光差す天井へ
ふわりふわりと上っていった
仰向けのベッドで
それが弾けて消えるまで
ぼんやりと目で追っていた
ここに置いたはずの眼鏡は ....
カカシの頭の上で
いつも泣いていたカラスが
首をあげる
揺れる視線の先
輝く円盤の中に仲間を見つけ
嬉々として向かっていった
が
違ったのかもしれない
....
冴えない空気だいつもわたしそう思う
まるで鈍くなったカミソリで作ったような
にせもののメロウ
にせもののヴィジョン
力のないわたし社会と自身をだまくらかして
読み進まない文庫本を片手 ....
被爆者二世の
おじさんは、アメリカ人に
「広島ってまだ荒野なの」
と問われる度
なぜ知らないのかと
聞き返す事にしたのだ
と言う
謝らなくたっていい
何千と言う米兵を救ったと
....
自分が
突然きれいに感じるときは
かかとを持ち上げ
太ももを感じながら
クシャクシャと
髪などほぐすと
女の
酔った
匂いがします
たまらず
白い肩に
くちびる這わせば
愛 ....
{ルビ湖=ウミ}を{ルビ守=モ}るは{ルビ巨=オオ}いなる蛇
山を守るは{ルビ猛=タケ}き山びと
ダイラ坊は山{ルビ跨=マタ}ぎ
{ルビ龍=タツ}は天に踊る
{ルビ言霊=コトダマ}{ルビ幸=サ ....
天井に頭がつきそうなあなたと
どてっ腹に穴のあいた私は
どこか浮かれた心地で手を繋ぎます
やがて日暮れて
子どもたちはそれぞれのミノに潜りはじめる
私たちも
アンゴラのマフラーを身につけま ....
県庁跡の建物の中で期待もなく調べ物にとり
かかり、時間を待って香林坊に出る。そこは
ほんのひとにぎりの銀座で、渋谷で、新宿で
もあり池袋の匂いを探して片町に流れる。ス
クランブル交差点では ....
新聞縛るために買ってきた紙紐を
首に巻く
ぎり ときしむ
苦しがる顔を見たいだけだから
すぐゆるめて
とっとと消えな
とうそぶこうとして
やめる
感情なんて要らない
悲鳴も聞きた ....
料理を注文する君の声が
空気の振動のような透明さで店内に響く
放っておくと月明かりしか入ってきませんから
と、ウェイターがカーテンを閉めていく
中央のテーブルでは座高の高い男が
大声でメ ....
土くれの上で
ブクブクと肺をうごかして
息を吸う
息を吐く
それから
しらじらとした空気の中で小さくワルツをする
手はこう、角度はこう、小さく、チラチラと、
....
風のない日に
風を探しに行く
吹き始めるところを知りたくって
風に似た音を求めて
ヤブに入り込む
茂みを抜けたらいきなり開けた原っぱに出て
キャンプファイアーで盛り上がる人の輪を見つけ ....
のどが「ミスター」といった日から
ぼくが階段を見ることはなくなった
スコップは土が好きだろうか
ぼくは塔よりもネジにのぼりたい
きれいなしたい
夕陽はもう少しできれいなしたい
....
結露が止まらない
いくら拭いても
壁や窓から滲み出てくる
このままでは
部屋が水でいっぱいになってしまう
僕らは慌てて非常食、ラジオ付き懐中電灯、
釣り竿等々をリュックにつめる
....
霧は晴れた 夜は明けた そして戦争は終わった
だからこそカーニヴァルがひらかれ
娘たちと青年たちはみな
陽気な音楽のリズムに身体を預け踊り狂ったのだ
レイヴンよ おまえは覚えているか
戦 ....
ざめざめと泣きたい時があり
そういうときに本を読む
全く泣く気にならない
大事なものを壊されて
大事ななにかを失い
だが全く泣く気にならない
外に勢い良く出れば
感情だけがゆるり ....
奇怪な生物が群れ泳ぐ
微細な海で
きみは自在にはねまわる
ぼくはきみをすりつぶす
人差し指の先っちょで
ぼくと君のあいだにある
屈曲率が
あんまり悲しいので
( ....
ぼくはマジメだと
云われることがある
たぶん、そうではないと云いたいし
否ありがたいなんて
ゆってくれる人の手を握りたいのだが
たぶん僕は何度も嘘吐きなので、実績はものをいうもので、
....
一度降りたら乗り込めない通勤快速
今日も僕は力負けしてドアの外
入口付近の乗客が寂しげにたたずむ僕を見送ってくれる
さようならみなさん
僕は今日も迷宮を歩きます
そうなんです ....
蛙が蛙であることは
とある詩人により確認されているが
虫が虫であることは
いまだいかなる学者も確認に成功していない
蛙が蛙であるとしても蛙は虫であり
蛇も虫であり
政治家も虫であり
....
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