すべてのおすすめ
ただしい孤独は
凛として涼やかな音色であった
愛しい憂鬱は
窓辺に花をさして髪を梳かす
美しい季節は
褒めそやされて散る花びら達で
そこそこ保たれるものだ
どうしようもない時 ....
飴を取るときはひとつ
飴を頂くと手のひらにふたつある
言葉の意味を調べてひとつ知る
誰かと話をしていると
いつの間にか言葉の意味をふたつ知る
買い物帰りに今川焼きを買うときは
ひと ....
ああ神よ どうか
四十五パーセントくらいの誤解をお与えください
少なくても三十五 三十は行き過ぎです
勝手な想像と思い込みで
悩んだり喜んだり
怒ったり主張したり
素敵な誤解を捧げあって
....
綴った言葉は
ひとの目に留まったときが旬
綴っている間が旬
口にした言葉は
ひとの耳をかすめたときが旬
数年の後に思い起こすときが旬
秘めた言葉は
ひとに明かされ ....
地球から見えない場所で星になる
慈愛の糸でできた繭のような部屋は、安心だ。
管制塔のように 耳の中の音を分析する。
母の補聴器の購入のために 街にでた
街は祭り日。
耳の不自由な母と 私の世界は どれだけちがうのか
....
あの信号が変わる前に渡れたら
きっと うまくいく
ありふれた願を懸けた
決して走ってはならない
ありふれたルールを課した
早歩きがどんどん早くなる
早歩 ....
パソコンとかスマホの
画面に表示される
あの子の空とその子の空がくっついていくのを見てる
わたしの夕焼け
あちこちで
同じそれが
ひろがりつづけてひとつになるまで見ている
ここにも太陽が ....
古本屋で買ってきた
詩集の頁に
銀行の明細書が挟まっていた
お取引金額二千円
手数料百五円
お取引後残高十六円
そう記された明細書が
栞のように
詩集に挟まっていた ....
言葉の鎧を貫きたければ
言葉の剣を用いなさい
言葉の剣を防ぎたければ
言葉の鎧を用いなさい
どちらが正しい、どちらも正しい
どちらが強い、どちらも脆い
どちらが尊い、どちらも貧 ....
不幸だね。
混じりけのない、不幸だね。
純度100%の不幸だね。
もう誰も、あなたをとめられないほど不幸だね。
正真正銘、不幸だね。
今時珍しい天然モノの不幸だね。
遺伝子組み替えなんてし ....
父の手をさする
硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように
節くれだった
頑丈な父の手
鍬を ....
花火見る顔で嫉妬心を隠している
ぬいぐるみを口にあてて金が欲しいと叫んだ
あの時代に街を彷徨う男は
夜の気配のする街角で
剣玉を所在なげに操る
夕暮れの街灯の下
足を組んで剣玉する男一人
街灯から降り注ぐ
まやかしの光の粒は
ぼーっとした色を男に与え
髪 ....
異臭のする道に耳の長いネズミ
齧歯類は常に齧る。はを減らさなければ、死ぬまで、歯が伸びて行く。
猫は爪を研ぐ。爪の鞘を引き離す。死ぬまで、爪が伸びて行く。
人間は自惚れる。いろいろ挫 ....
おしるしが来てから二日後
夜、下っ腹に引きつる痛みがあった
陣痛 前駆陣痛か はたまた胎盤が剥がれてしまったのか
ネットで調べる仰向けの オロオロ妊婦
これは我慢できる痛みだから 陣痛 ....
根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛
古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛
依存することを嫌い
愛されることを拒んで
君は自分にな ....
初めて降り立った駅
都会ではなく田舎の駅
何があるのだろう
直感にまかせて進んでみる
感じるままに楽しむ気持ちで
昔からそこにあるお土産屋
地元のものだけで作られている
狭い ....
誰もシラナイ理由が無い
わずかな隙間を生きているような気がするんだけど
近代現代近未来
産業ロボットはやがてラインを離れて
どこへ行くの
母を殺し父も殺して最果ての
流刑の地さえも ....
一度も開くことなく折れた傘を供養している
僕の文法のSは君と僕
Vは生きることだ
訳もわからずOをもとめてさまよう
たまさか生まれる言葉でCを綴る
規則正しいものに反感を持ち
疑うことの正当性をつかもうとして
いつのまにか自分 ....
一人で茶漬けをすする、朝六時半。
いつ来るとも判らぬ、搬入の荷を待つ。
「お疲れ様です。本日の出し切り時刻を、教えてください・・・・。」
雑多に集まる人々が
杉並・練馬・多摩地 ....
生まれたときにもらった種に
水をあげようと
じょうろに
たくさん水を汲んでいた
少年がいました
だけど、少年は
水を汲んだ帰り道に
少年と同じように
植木鉢に水を欲しがっている
....
空は薄暗いのに
色とりどりの看板や
揺れる木々の葉を
濡れた舗道は律儀に映し出す
冷たく滲んだ風景画を
靴やタイヤが
踏んでいく
ブラインドの隙間から
見ている私の
雨の記憶 ....
折れた傘ゴミ箱に挿しこんで本当の笑いかた忘れた
通り過ぎる風のように
現れては去っていった
出会いと別れはいつも
風のようなものだから
嬉しい出会いにいつも
同時に訪れる不安感は
別れを予測し付き纏い
いつしか諦めとなった
....
雨降りから
こっそり逃れるために
少しずつ歩く
小さな黒猫には
首輪もないので
名前もないだろう
彩りある
小さな傘がたくさん
水たまりの
近くにあって
バス停で
トロリーバ ....
何かを 見詰めようとしたら
今まで 瞳を潤していた 存在を
排除しなければ ならない と
泪ながらに 訴えた夜
あなたは 笑って こう言った
その必要は ないよ
何の為に 右と左が 存 ....
火が燃えている、火はささやかに舞い、わずかな黒煙を伴い燃えている。
すでに燃え尽きようとしているその男は、小さなともしびに油を注ぐ。
日が燦々と差す部屋の片隅の小さな戸棚を開けると、油の瓶が並んで ....
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