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青ざめて
心臓がドクドクする
そんな体験を
過去にもした
体は小さくて でも受け止めなきゃって
世界は広すぎて
反抗するだけ
無駄だった
今もそう
大人なのに
怖いものは怖くて ....
バスに小川が乗ってきた
どこにも流れることのできない小川は
だらしなく床に広がった
立っている人は足を濡らした
座っている人は足を濡らさないように
座席の上に膝を抱えた
大学病院
....
缶コーヒーを手の中で温めた
缶コーヒーを手の中で温めた
沸騰する前に プルトップをカシャッと開けて
ぬるい 缶コーヒーの液体を飲む
公園のベンチで飲む
頭の悪そうな子供らが駆けながら ....
じいちゃんが夕涼みしてる
静かに 静かに 黙って 黙って
ぼんやりと煙草を吸いながら
縁側の無くなった都会の隅で
ガードレールに座って
車道を眺めながら
時折道端の排水溝辺りから
....
空は青く澄んでいた
雲は白く大きかった
鳥は軽く自由だった
木々は柔らかくしなっていた
草花はたくましく美しかった
大地は遠く円くたいらだった
海は穏やかに荒々しく
....
女にふられたので、
祖国へ行って死のうと思った。
だが俺は日本人なので、
ここが祖国だった。
それはちょっと困るような気がした。
日本は大好きだが、
祖国は遠くになくてはならん。
日本の ....
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた
....
約束だよ
毎日
ほんのちょっとでも
いいから
私のこと思い出して
できれば
あなたが誰かほかの
女の子と話す時
ちょんちょん、って
肩をつつく
そんな気配を感じてくれた ....
遼原に
かぜが吹いても
僕は魅惑する午睡である
泥炭の午後
巨大な軋れおとをたてて 目蓋があく
午睡である
鳥
は地平から近づく囀りの
沸き返りの
天秤の
朱のいのちは青銅 ....
低い雲が覆い隠す
放牧場のある丘には
みっつの風車が立っている
ぎゅおん、ぎゅおんと
海にむかって唸って
いるはずの刻
{ルビ霞=かすみ}のように薄い雲が
まわっている時間を
見えなく ....
僕の職場には黒猫さんがいた
黒猫さんの本当の名前は町田さんというのだけれど
何故だか誰もが黒猫さんと呼んでいた
僕はどうして黒猫さんが黒猫さんと呼ばれているのか知りたくて
社内の先輩た ....
あれほどの時間
費やして
あなたの
何を理解したのだろう
幾千の言葉
重なるくちびる
繰り返す夜明け
あなたという一個体に
内在する真実は
ついぞ私に
とどかなかった
....
初めて指輪を贈った人は
彼女ではなくて
母だった
『ビューティフル・リング』
僕は7歳で
母に連れられて
縁日の夜店を廻っていた
ふと
屋台に並んだ
ガラス玉の指 ....
空耳のどしゃぶり
ガード下にこだまする
立ち止まる黒猫の
瞳はブラックホール
目が合えば僕は
吸い込まれていく
夜を開く赤のカーテン
その向こうへ黒猫は走り出す
加 ....
今朝のおまえの目が
あんまり緑だから
どうしたって聞くと
やっぱり風邪だ
普段体調がいい時は
緑に茶色が散っている
水の底に見たブナ林のような
おまえの目
それが濃い緑に張 ....
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
加藤だ、
おまえだ、
セスナ飛ばしたろが、
ちゃんとしまっとけ、
って言ったろが、
加藤、おまえのことを言ってるんだ、
黒沢、おまえは振り向くんじ ....
いつも寄り道せずまっすぐ帰るあなたが
今日、突然に、隣駅で降りたのはなぜ?
缶コーヒー1杯分の小銭も節約するほどのあなたが
急に、ここでブレンドを頼んでいるのはなぜ?
いつも我慢強くあの人 ....
皿の上には電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
....
がっこう帰りの夜
よだかのホシをよんだ。
ママはくもんしきのテストにいそがしくかえりはおぼつかない。ともだちはとっくに先に帰った。と思ったらがっこうかばんのなかに紅い絆創膏とまっかなガーゼが入って ....
昼、明るい、朽ち果てるイーゼルの四つ脚の金具の染み、緑青色の欲情をし
見渡すアトリエの壁と壁掛けのカレンダーの中で枯れるお花畑、ハレルヤの
印字されたバターケーキやレターセットの束による啓示が頭に ....
牛に頭を潰された男が
漂う台風の夜
ごおおおおおおおお
大きな顔がわたしたちを
破壊していく
巨大建築物の
ユウワク
屹立してわたしを
待つ
なぜ
登るのか
それは
そこにビルが
あるから
落葉の中を走る鳥は
悲しい鳥だ
飛べないかはりに
足は太く節くれ立つて
駝鳥の足のやうだ
このしつかりした足で
枯葉を大仰に鳴らして
進むのだから
化け物が暴れ回 ....
ちゃんと季節は夏至まで巡ってきたと言うのに
太陽の奴いったい何処に居るんだか
朝寝坊を誤摩化しているのか
おつきさんと夫婦喧嘩でもして
目の周りの痣を見られたくないからか
この頃ちっとも姿を ....
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を{ルビ咀嚼=そしゃく}している
その
長い長い首の得る高さは
....
駅前の商店街で産まれ育った
近くには八幡神社があって
お祭りの時には店の前の広い道路は
歩行者天国になった
ふだん車の往来が激しい道路を歩くと
何だかくすぐったい気持ちになって
誰 ....
陽の光がまぶしい
ドラキュラの生活
クーラーの下
詩を書く
お茶を飲む
テレビを見る
寝転がる
いびきをかく
時だけが徒に
流れる
空しい思いが
通り過ぎる
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の
それと
似ている
相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風
見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
温室の入口にある日章旗の
赤い円を凝視する。
凝視する。
ツと目を逸らすと、
隠された神の緑があらわれる。
それで緑のためには赤が必要なのだと知った。
穴を掘るのは重労働だが
い ....
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