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百花繚乱に煙る 夏の夜空をバックに
綿菓子や林檎飴を手に手に
すぎてゆく人々の自由気儘な横暴さ
俄かに沸いた川べりの雑踏
何処となく、ふてぶてしい輩の座る
露店のならぶ賑わいと傍らの ....
まだここにあなたはいた
片足だけ残って、小石を崩していた
篠突く雨に耐えかねて、隻脚は交わるように
ユグドラの樹の上に、交差した根に添えた
あなたの隣に倒れこんで、首に見 ....
ゆらり金魚
ふわふわ踊る朱色の帯
髪結い上げた女の子の
すくい網から
グルリと
あわてて
飛び出していく
金魚
しなやかに
泳いで
見えないゴールを
いくつも越えて
金 ....
すべての事実を見たとしても
見ているようで何も見ていない
それは単なる感覚器官の一つが
脳に伝達したという事実に過ぎない
すべてのことを理解したとしても
理解しているようで何も理解し ....
よーい どん
合図のピストルを撃てば
電柱が走りはじめる
電線にとまっていた
鳩の群が一斉に
バカボンの口のような
夏の空に
飛び立ってゆく
これで いいの か
ざわわ
....
お花畑のようなものでできた駅に
列車が到着して
たくさんの乗客が降りてくる
小さなホームはやがて人で溢れかえり
それでも乗客は降り続ける
もう車内に
人っ子一人残っていないというのに
も ....
水が割れるのです
いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです
うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です
紫色の ....
タイミリックマシーンは出来損ない
どこにだって飛べやしない
過去も未来も遠い夢の話
目の前には常に現在
五分後の世界と信じそうになったものは
トースターの故障により
一瞬で備長炭に化けた情 ....
月明かりだけで暗い森を分け入って
辿りついた小さな泉
濁りのない水は鏡の様に
僕の顔を優しく映す
清らかな水は月光を反射して
柔らかくきらきらと煌めく
光の中から小さく愛らしい妖精 ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
(なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して
僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
....
コンクリートの壁は
滑らか過ぎるくらい滑らかで
虚無が手を通して
伝わってくる
その平らな壁は
計算に計算を重ねた
蓄積そのものだった
自然への抵抗
しかしそれは同時に
自然 ....
あの子とあの人と君にも
いつも愛情をと思っているの
いつでも と
カーテンがなびいてる
ひらりと透けて
浅い陰影がなみなみ
机のペンを転がして
思いのままに
生まれたてを放 ....
額の汗を無造作に拭うあいつより
きれいに畳んだハンカチで汗を拭う
そんな男のひとに憧れてしまう
えっと…そんなひとなら
細い指先に挟んだボールペンを
くるくる器用に回したりして
わたしのこ ....
手首の傷も やがてきえる
まん中はねらえなかった
だけど
甘えてただけなんておもわない
誰にも触れさせない
9階からみた地面は
おもったよりも近いようで
なみださえでなかったんだ ....
時計が丸いのは
時間が丸いから
時間が回る
だから時計も回る
時間が回る
だから地球も回る
時間は丸い星だから
時間が回る
だから星も回る
時間は丸い宇宙だから
時 ....
探しものは
なんですか?
もしかしたら
「あの時追っていた夢」
ですか?
あ〜〜〜
残念っ
それならばもう
消費期限が過ぎて
腐ってるみたいです
もし・・
あきらめる事が ....
夜になると森の奥から
ピュー ピュー ピュー
と音が響いてくる
僕は竜のいびきの音だと思うんだ
大人達は森の奥の谷を抜ける風の音だと言う
でも僕は信じていた
森の奥には竜がいるって
....
祈りを土に捧げましょう
記憶は
ひと知れず育ってゆきますから
たくさんの道で迷えるように
そのぶんしっかり
戻れるように
空を翔ける翼のない者たちは
すべての責任を
空に負 ....
木、その大きな直立
階段でいっしょになって笑い
二段抜かしをした九歳のように
セミの声だけが
音でよかった
根元に座って
レンガらしいレンガばかりを
レンガと呼び
それ以外のものは ....
人が創る地獄絵は
恐怖と醜さが鮮明で
人が想う天国は
幸福と美しさが不透明
人の批判は瞬時に知れ渡り
功績はすぐに消えてゆく
否定することはたやすい
ひとたび否定の沼に溺れれば
....
まだここにあなたはいた
片足だけ残って、小石を崩していた
篠突く雨に耐えかねて、隻脚は交わるように
ユグドラの樹の上に、交差した根に添えた
あなたの隣に倒れこんで、首に見えた ....
透明な筆箱につめた夢は
いつも僕のポケットに入っていた
どこへでも持って行ったし
どこででも開く事が出来た
だのにいつの間に
筆箱を使わない年齢になったんだろう
気が付くと筆箱はどこに ....
渦巻いている
頭の上で
あれもこれも
信じていいのか
世渡りのうまい人々
正直者はバカをみる世の中
いずれは報われるのか
僕の進む一本道
時計の針 ....
失われた街が視界のなかを流れる。
忘れられた廃屋に寄り添う墓標の上で、
目覚めた透明な空が、
真昼の星座をたずさえて、
立ち上がる高踏な鳥瞰図に、赤い海辺をうち揚げる。
繰り返し、磨きあ ....
うたたねをして目覚めると
一瞬 {ルビ黄金色=こがねいろ}のかぶと虫が
木目の卓上を這っていった
数日前
夕食を共にした友と
かぶと虫の話をしていた
「 かぶと虫を探さなく ....
正しい生き方
というものがあるのなら
それは果たしてどんなものだろう
正しい生き方は
少なくとも規則正しい生き方では
ないようだ
無駄があってこそ
その人はその人になれるのだから ....
熱量の足りない夏空の狭間の
ゆうやけ お山の向こうから
密やかに流れるジンタのリズム
風孕む ヒグラシの声
茜蜻蛉が沸き上がり
大時代なメロディに乗ってピエロが
一つトンボをきってジャ ....
しゃわーで汗を洗い流していたら
いつのまに{ルビ踝=くるぶし}が{ルビ痒=かゆ}かった
ぽちんと赤いふくらみに
指先あてて、掻く爪先も
痒みの{ルビ芯=しん}には届かない
見 ....
一羽の鳥が空をゆく
わたしには
その背中が見えない
いつか
図鑑で眺めたはずの
おぼろな記憶を手がかりに
爪の先ほどの
空ゆく姿を
わたしは
何倍にも引き伸ばす
こんな ....
数日前の夜
ホームページの日記で、
遠い空の下にいる友が恋人と別れ、
自らを罪人として、責めていた。
( 自らの死を越えて
( 生きる明日への道を見据えていた
( 彼女の瞳は光を宿し ....
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