atsuchan69

浮世、
という
夏の、
ゆらぐ陽のように
濃く、
あまりにも
鮮烈な、
燃えさかる幻が
汗ばんだ肌を
包んでいる

熟れた風のそよぐ
青い夜、
若い男の身体は
激しく鼓動し、
この世という
儚い女のからだを奪う

たった今、
たった今だけ
歓びの匂いを嗅ぎ、
舌で舐め、
指を這わせては
浮世、
という
死に灯る幻を
ぎゅっ、
ぎゅっと抱きしめる



自由詩Copyright atsuchan69 2016-09-30 08:01:23
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