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海の大さを知るためには
一滴の水を
見詰め直さなければならない
と、老いた亀は言った
波打ち際で遊ぶ
他人の子供を
呆然と眺める
僕の足元で
亀はそう言っ ....
水は、万象の旅人
生き物の身体は
彼等の泊まる、仮の宿
水よ
お前が
笑いさざめくのは
春の林床に降り注ぎ
小川を結び、走るとき
お前が
咳き込み ....
人には身体があって
それを包む心があって
更には世界がそれを包み込み
玉ねぎのように、
剥いても、剥いても
涙しか出てこない
私たちは
芯なのか
それとも ....
１
雨に打たれながら
空をふり仰ぐ
喜びは消えて
土に手を当てて
星の身体の温もりに
触れる喜びも奪われた
原発の吐息が
燃えている
風に乗り 雨 ....
蜘蛛の足が
多すぎるからと言って
面白半分に引きちぎる子供
休みの日が
長すぎるからと言って
魚を釣り上げたあと
血まみれの口から
針を引き抜く釣り人 ....
なにかになる
と願いながら、
まな板の上に
かみねんどが
しろく しろく
うずくまっていて。
なに者にも
なれないままに
ただ 干乾びていく。
....
口には出さなくとも
目つきで解る
軽蔑の刃
四角い花壇の隅を汚す
ゴミを捨てたのは誰
落とし主は現れず
誰も手を汚したくない
でも傷つけずにはいられない
だか ....
存在の全てを否定されたら
君は裏返ってしまった
歩き回る影の様に
光の中に居場所を探す
そこを
白い地獄と
呼んでもいい
頭上の雲は
あらゆる色に染まるが ....
間違いを犯し続ける
勇気が欲しいね
何が正しいのかを
忘れてしまわないうちに
黒板に殴り書きされた
白いチョークの言葉を覚えてる？
あれが最初の知恵だっ ....
君は透き通り始める
すべての色に
染まり終えたあとで
それは
詩の終わりでもある
私は君に
世界を見る
ガラス越しに出会う 朝のように
....
寂しいのって いやだよね
あたしも あんたの言いたいこと
わからないでもないのよ
でもそのために
自分を捨てちゃうんだったら
それこそホントに 寂しいことだよね
....
愛の鞭は必要か
そもそも愛する者を
鞭打つような愛があるのだろうか？
それを愛と呼べるか？
暴力は
最も原始的な言語だ
だからそれを用いる者達は
獣のようだと ののしられる
....
文鎮が
ふうわり ふわりと宙に浮き
驚く書生の顔前を ナマコのように漂って
原稿用紙が舞い上がり
驚く書生の目の前で 舞子みたいに踊りだし
万年筆が身悶えし 書生の指を逃れ出て
ぽ ....
苦悩の女神が
僕の手を引いて
眠れぬ夜に連れ出した
花は閉じ 草は項垂れ
月は雲の毛布に潜り込んで 高い鼾をかいていた
ブナ林を背にして 裏庭に立つと
女神は両腕を広げ 僕はその中 ....
冗談を言えるようになりたい
枝を打ち鳴らす風のように
人を笑わせる人になりたい
愛を歌えるようになりたい
地を焼き尽くす野火のように
人の心を燃やす人になりたい
ネズミになりたい
....
