機上の子供は
小さな窓から海を見ている
初めて触れる景色のような動悸を感じ
ひじ掛けにしがみついたまま
見えない何かに縋る目を
深い青から離さない
雲はビスクドールを彷彿させる程白 ....
みどりを
曇り空においた公園
そのよこで
昔の女からの着信を
押していた
しゃべることは
たくさんあるはずなのに
最近のことばかり
でも、変わらない ....
あの日振り払った手
君が僕に差し伸べた手
今はどうしているだろう
痛んだ君の傷口を
僕は抉ってしまった
あの時手を取っていたのなら
その傷も傷つける障害からも
君を守れたはずなの ....
あの日の夕陽を覚えているかい
部活の帰りに一緒に歩いた川の土手を
手をつなぐのはいつも君の方からで
ぼくは何気ない顔をしていたけれど
いつもしっかり強く握っていたね
土手から見える神社の桜が ....
吹雪を歩む子の喉を
ぬぐうようにすぎてゆく火
忘れかけた尾のかたち
飛び立てずに泣く夜の
足もとに凍り重なる光
土の底の根を照らす
波も血も笑みも
こがねと涙 ....
取引先と切れた
親友が転勤で遠くに行った
母が再入院した
そして今、
花見をした帰り
前を歩くわが妻
うまくいけば
子ができて
うまくいけば
その子は老いた妻を
今の私と母のよ ....
朝焼け
太陽
昇らないで
照らさないで
すべてのものを
痛みや傷や
不確かなものまでもすべて
無慈悲に
暴力的に
曝け出させる
暴いてしまう ....
西の空に太陽が
その実を預けようと傾く頃
少女が一人
視線を ちに向け彷徨う
三歩四歩
前へ進むと 振り返りもせず
二歩三歩後ろへと下がる
どこへ 行くとも無しに
その姿はまるで 繋が ....
未来なんて見てきたもんだから
毎日が退屈になっちゃった
未来なんて見てきたもんだから
想像する楽しみが減っちゃった
未来なんて見てきたもんだから
選択肢がなくなっちゃった
....
昔或る国が或る国を占領した 国民全てが捕らえられ 牢屋へ入れられた
占領した側のお姫様は牢屋を見回っている時に 占領された側の王子を見た
それは一瞬のことだった しかし永遠のものとなった お ....
少し遠くに執着が見える
何もないアスファルトへの
紐を引っ張られ、首輪で引き戻す
あの好奇心 あの自己主張
かつて共に過ごした老犬の気配に
身をゆだねてみる
成し遂げた人たちの無関心に ....
息を吸って
止めて
3秒
空を見て
太陽に勇気を貰って
小鳥さんにコンニチハをして
そっと
前を見て
渇いた眼球に
一度瞬きをして
口を引いて
目を細めて
全感情を注ぐ
....
「 ありがとうの詩 」
ありが とおるよ こんにちは
ありが とおくへ さようなら
おひさま くれない 真っ赤っ ....
そろそろなのは分かっている。
もうそろそろ心を決めなければならない。
自分の荷物は自分で背負わなければいけない。
当たり前のように誰かに頼ることを、卒業しなければ。
今はたくさん差し伸 ....
寂しんだ手から
夕凪の薫りがして
少し切ない
飛び交う何かに向かって
感情を吐き散らす
ねぇ
空の向こうって
何だか知ってる?
触れた毛 ....
春がゆく
春が ゆく
毎年 逃げ出したくなりますので
束縛の呪文を繰り返し 繰り返し
残りわずかの平衡感覚で
危うい足元を耐えています
一点の迷いもなく
無邪気にあふれる光が ....
亀を背負って
懐かしい人の苗字を呼びながら
塩を舐め続ける
水が飲みたい
+
かまきりの新しい
亡骸を
司書は黙って
見ている
+
カンガルーが直立したまま
波音 ....
朝の優しい光を浴びながら
公園の桜は優しく微笑む
散歩中の私は、思わず立ち止まり
祖母の姿を
母の姿を
そして自分の姿を
桜の樹に映し出す
やがて空は青くなり
人々が目を覚ます ....
一人ぼっち寂しそうね
そう言って目を細めた
こんなにもきれいな夕日だけど
太陽の本音を君は知っている
柔らかな暖かな
風が撫でる君の赤い頬
夕日を映した様に
それはとても可愛らしくて ....
昨日までの
話を 聞かせて
明日からの
未来を 聞かせて
抱き締めた時に
零れない
ように
昨日までの
過ちを 聞かせて
明日からの
....
ある
ありふれた
想い
という
呼び名の比喩が
争え
という
プログラムの元
生まれて初めての出航をし、
次の刹那
辿り着いた先が
温かい
実は
腹の上
だったと
結局
....
あなたの 未来が
幸せで光り輝くことを
心から 願う
あたしも あなたの幸せに
なれることを
こっそり 本気で
心の底から 願う
ある日、ドアを開けるとそこには
私の知らない、子供が2人居ました
わがままで
まだ大人かどうかも分からない曖昧な存在の私に
自分の弱さを訴えてくる子供達
面倒な子ねと切り捨てることは ....
空 遠く 架かる
空に月
雲 風に たなびいて
消えていった
静かな 寝息は
繭玉のように
部屋に 浮かぶから
子守歌は 歌い継がれて
とっぷり 日が暮れた
夜の 十 ....
春の駅に列車がやってくる
駅は桜の花びらを散らしている
列車は駅に着くというよりも
春の風に押されながら
春の中に迎えられる
扉が開けば春の香りに包まれ
窮屈だった体と心が解放される
梢 ....
ありがとう
誰かに向かって呟いた
空に向かって呟いた
夜の空は全て飲み込んだ
ごめんね
もう一度呟いた
違う言葉を呟いた
だけど今度は吐き出した
全てを許す気はない
冷たいの ....
地下鉄を抜けて
まだ低いところで呼吸してる
午後一時過ぎ駅前広場
灰色の街で
塗りつぶされてく
人も教会も犬も風も光も私だって一緒よ
乗りついできた
ひとつめの駅の
名前は何て言ったっ ....
陽の光に暴かれて
くっきりと浮かんだ
哀願する虚勢の声を縦に裂いて
乖離する白と黒
影を踏んで先へ
光だけ満ちた明日へ
幾百と、幾千と踏んで
明日へ
....
指から零れ落ちた
割れたガラスの欠片が
熱で溶けてゆく
炉の高温は素手には耐えられず
赤くなった指先が
悲鳴をあげるまで
熱を発するガラスに手を翳す
心の熱に ....
僕は二人いる
一人は僕
もう一人は悪魔だ
悪魔はいっつも僕の邪魔をする
顔まで一緒だ ただ心は凶悪だ
悪魔は両方の耳元で好きな女性の声で囁いて誘惑してくる
当然のように僕 ....
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