窓ガラスにくちづけを
吐息がこぼれたら
やさしいあのひとの時間
ミルク色の月に
紅茶をこぼして
頬を寄せて眠るひざまくら
好きといって
嫌いといって
憎むといって
どうか
静かに燃えている胸の炎
雪の舞い散る冷えた空気にも
消えないで燃え続けている
このままあなたに会えないで
一人きりせつなさにとらわれて
涙の河で溺れてしまうなら
胸の奥の埋み火消してしまお ....
ランドセルから8年目
いつもと変わらぬ見慣れた風景
昔はそうじゃなかった
眠りを忘れた第二の故郷
夜中は真っ暗だったはずなのに
今は夜でも雲行きさえも見えるほどに
誰かが付けた ....
空港に立つ君は、ベルトコンベヤーに乗せられた自分の荷物を待つ間に
荷物検査官の男は、真っ黒な犬を連れた男と共に、
レントゲンに映る不気味なシルエットに眉をひそめ、床の上には
首輪を首に食い込ませ ....
静脈ラインの上を歩いた
道は、疲れ果てていた
厄介なものたちを引き受けさせられた上に
運営するエネルギーもない
ただ、あの場所へと帰ること
静かに、帰ること
立ち止まりたくなるときもあるが ....
詩人のさだめとして
生きることは
茨の道
自分の苦痛をフィルターにかけて
美しく輝くものに変えねばならない
世間の不条理
我が身にも降りかかる
ある時は
腐臭ただ ....
道路の真ん中にひき肉が落ちていた
小人が天からの贈り物だといって喜んだ
男の子がすげえと言って集まった
お婆さんが顔を覆って通り過ぎた
小学生の女の子が可哀相と言って花を摘んだ ....
僕はとうとう戦争に行くことになった
もしやとは思っていた
それでも皆
今でも半信半疑なのだ
ほら、そこの上官だって
皆が本当に自分のいうことを聞くのかと心配顔だ
僕はといえば、さっきか ....
がらくたを集めてそこに塔を創ろう
僕たちががらくたである証にも
ペットボトルを集めてそこにオブジェを作ろう
僕らがアーティストである証にも
空き缶を集めて模 ....
ピンセットを手に取りあなたの棘を
丁寧に一つずつ抜き取ると
小さい棘がこんなに痛みを作るなんてと
不思議がるあなたの手にはたくさんの棘
気がついているのでしょうか
私の体を抱く度に棘は刺 ....
いつまでも いつまでも 完成しない絵があるんだ
色を塗っては剥いで その繰り返し 毎日毎日
いつまでも いつまでも 完成しない絵があるんだ
それは空と海と人とが必要で その繰り返し 毎日 ....
深い谷に橋を架けよう
向こう側へ行く 旅人のため
大きな川に橋を架けよう
渡し守が 今以上傷付かないように
こちら側と向こう側があって
渡るための橋が架かる
どこにも属さないそこは
....
こぼれ落ちる涙に
いとしさを聴く
ときには
いらだちを聴き
いたずらもいましめも聴く
わたしたちは温度を知っている
あるいは
温度の選択を知っている
....
旅をしたい
計画のあるものではなく
行きたいと思った時から
電車に乗っている
どこで降りるのか
わからないけれど
どこか遠くへ行ってみたい
旅をしたい
目的のあるものではなく
感 ....
人類と言う生き物は
宇宙の僅かな確率の中に点る
一本の蝋燭です。
ふりかえりますと
単細胞の進化から、魚類や爬虫類の時代を経て
何百万年の昔に、やっと二本足で立ったのです。
悠久に思え ....
年末と言うのに
テレビが悲しいニュースを告げる。
『発達した低気圧のため、北の海は大荒れ、
ベーリング海にて、港帰りの漁船、遭難!!』
ああ、こんな時に。
凍てつく北の海に ....
眠る前のひと時
部屋灯りを落とし
目を瞑って思う
窓を叩きつける風
少しずつ強く響く
胸に手を当てて
一つ一つ振り返り
犯してきた罪の数と
贖ってきた孤独を
天秤にかけながら ....
或る日路上で
「はい、これあげるから持っときや」
と、道ゆく女性に
突然に強引に
何かを渡された
手の中を見てみるとそれは
携帯灰皿だった
....
息を飲む
この瞬間にもハイエナは
俺の蜜を奪おうと目を光らせている
人と人との出会いの物語
いずれエピソードになり
別れが待ってる
一粒の涙を残し
静かに愛する人と過ごせ ....
{引用=今夜は
月もちょうど半分の明るさで
なんて幻想的な夜なのでしょう
今夜は
月も森の木の天辺に腰掛けて
なんて素敵なお客様なのでしょう
丘の上から眠る町を一望して深呼吸
物 ....
あたしの体は商品です
なんて
陳腐なことは申しません
シケモクはまずいのです
でも
あの感触は あたしを大人にしてくれるようです
あたしに覆いかぶさる男の人は
いつも ....
時というものは
幸福な思い出を
少しずつ削りながら
現実を幻へと変えてゆく
時というものは
不幸な思い出を
わずかずつ慰めながら
現実を夢へと変えてゆく
時というものは
人と ....
最近口うるさくなってきた
母
前からずっとうるさい
姉
つまらないギャグを連発の
父
無口で謎だらけの
兄
しゃべらないけど騒がしい
フェレットの紅と
亀のもじもと ....
口の周り
ベタベタにして
ナポリタンを食う
あんたねー
子供じゃないんだから
カウンターで
タバコの煙を鼻から出す
ママはうれしげ
赤い信号灯の錯乱
ふらふら頭のすぐそばで変わり逝く
いとましく尖った雑踏に
いり込む隣接にとり乱す
なみだし儚い花びらが電脳をつき抜け
何時間オレは彷徨っていたんだろう
足下か ....
夢と心を
夕空に放ち
林檎を かじる
しゃりっと
音を出す度に
淡くなる空
雲のドミノ
神が倒さない
ミルキーロード
気流が駆け抜ける
鳥のダンスに拍手を送る
夕 ....
うれしい朝だね
ほら、鳥がみんなで飛んでゆく
きっと
空にあいさつをしているんだよ
明るい朝だね
ほら、子供がみんなで遊びにゆく
きっと
思い出をつくりにゆくんだよ
優しい朝だ ....
僕がなかなか寝ないので
ママが「おやすみなさい」の森へ
行きなさいと言った
僕はしかたがないので
安心毛布を引きずって
「おやすみなさい」の森へ向かう
森は暗くて静かだった
誰もいな ....
深い森の中では
フクロウが夜を歌ってる
あの娘は眠りの浮舟に乗って
夜空に漂ってる
僕は時の移ろいを感じて
すこしばかりお酒を飲んでいる
通りに出れば路地裏で
アスファル ....
八百の橋で連なり
水の都で西を語る
大声で
陽気な挨拶
大阪WAY
迷い道はあちら、こちら
どうぞお試しあらんことを
東には魔物が棲むという
憧れ抱く程度にしとき ....
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