明らかに月が昇る
産まれたてながら
丸くわかりやすくはっきりした輪郭を
幾度もなぞる
指で弾いたらくしゃりと
崩れてしまうよ
か細い線に
踏み込めば傷付けると知ったら
もう話せる訳がな ....
9月を注意深く眠らせて
けれど10月に進みたくない双六
ナチュラルターンで
アーケードに渦潮ができてしまう
明るい未来とか
新しい展開とか
要らない
打開の決定打はいつも
ありはし ....
街の灯りが
ゆらゆらと揺れる
夜は時々
花の影を踏むように
どうにもならないことを
空へと逃してやる
歩けるなら
違う場所へ行けば良いのに
何故だろう
この段々畑みたいなネオンが
....
私の中で燻っている恐れ
私の中に降り積もる不安
自業自得とはこういうことか
これは私の罪だから逃げ出すことは出来はしない
真正面から見据えて
ここで朽ち果てようとも
恐れが私に罪を犯さ ....
毎日忙しく届けられる
空からのメール
水色のベールを抜けて
発信される特別の言葉たち
心を開放して
受容の気持ちで待っている
空の一部になれた時
それは
囁くように聴こえて ....
じゆうだなあ
白いなあ
なんでも書いていいんだなあ
むつかしいことも
おふざけも
純愛や青春や絶望も
宇宙人だって
なんでもここに書けるんだなあ
ポンコツなのでも
傑作でも
みーん ....
なにか大仰なことを話すつもりはなくて
ただあなたとなら友達になれるかなと思っただけで
あなたが話してくれたことは本当だ
ぼくの周りにはドーナツ型のカラーパレットみたいなものがあって
生きる ....
僕等の距離は
近くて遠いから
サンドイッチを食べて
最短時間の夢を
喉に詰まらせた
吐き出す前の気持ちには
血が混じること
誰にも言わずに
味覚の中に隠した
歯を見せて笑って踊った
....
夜のひととき
そんな美しい響き似合わない
崖から一つ石の塊
取り出したような
硬くも抱えていたい
私の時間
弾いてみたら
指を怪我した
生ぬるい血をなめて
「死んでない」
....
一匹の金魚が
ヒレをゆっくりあおいでいる
ポイに捕まった
アタシは運が悪い
みんなはどうしたかな
どこへ連れられていくやら
どのみち売られた身
受け身ばかりでは
....
夏は初恋
気がついたら好きだったし
気がついたら卒業だった
顔もろくに覚えてないけど
優しい人だった
秋はあの人がいなかった
辛くて辛くて
落ち葉を見ても泣くんだ
恐ろしいほど ....
宇宙の果てに、ひとりでいれば、
虫の音が、眼の奥底に浸みてくる。
空には人の気配は無くて、
星も何にも語りはしない。
虫たちは、頭の中の波打ち際で、
幻みたいに、光ってる。
....
きりきりと雨の音がしている
ないはずの傷がぐるぐると呻いて
僕は笑ってしまう
きみは何処にだっているのに
まるで恋をしているように急かすのだから
いつだって
ひとは水から生まれて
ひとは ....
世界が終わらない絶望が
いつか終わる安心に代わり
同時に死は背中を見せにきて
濃度の低い笑いガスが足元に溜まっている
あなたが告白なんかしてくるから
浮遊しているだけだった言葉が
鎖になっ ....
まもなく始まる二度寝の幸せ
目を閉じるだけで無闇に幸せ
完全なる受け身が苦手で
悪霊退散の札で追い返した日々
何を言っているのですか
眠ってしまえば皆同じなのに
悪役の ....
前向きな気持ち
屈託のない笑顔
幸せを引き寄せる
その流れは見えないけれど
見えるぐらい明るい日常
色んな人に助けられて
今の自分がいる
嫌なことがあっても
いつの間にか忘 ....
花は枯れてゆく
虫は絶えてゆく
人はそれを見て
強く生きてゆく
命が歯痒く
網戸を閉めても
自分の中に明日を描く
背ばかり伸びて
夢に届きそうな朝は
肩が広かったら
庭を作りたい
....
夕立が放課後を削り過ぎて
帰れなくなったから
風鈴の中で揺れていたい
かつてひまわりが咲いていた場所
背もたれにした花びらで汚れた爪
チリンと響くガラスの窓には
思い出がこびりついて匂う
....
最寄り駅へと向かう人波の中
今朝も私を追い越してゆく
その自転車の後部席に
ちょこんと座っているのは
いつもの男の子
漕ぎ手のお母さんが
左右のペダルを踏むたびに
ちいさな男の子の
頭 ....
立ちはだかっている
それに触れることはできる
じゃまになって先へすすめない
それが何なのかはわからない
それを拳でたたいてみる
身体を打ちつけてみる
痛みを感じる
が それは何も感じてい ....
窓の外、私の心、雨模様
天上の隙間から
ポツリ、ポツリと落ちてくる
雨粒は、まるで涙の雫
涙で心を濡らさぬように
私は、心に器を置いた
水差し、花瓶、一輪挿し
グラス、徳利、夫婦茶碗 ....
太陽が沈んだ
一番星が走るけど
物足りない夜空
あなたが帰らない部屋
冷たいベッド
剥がれかけのペディキュア
ため息一つ
あなたを愛してた
{引用=むかしばなし}
幾千幾万の囁きで雨は静かに耳を溺れさせる
まろび出た夢想に白い指 {ルビ解=ほど}く否かためらって
灰にならない螢の恋は錘に捲かれて拷問されて
透かして飲んだ鈴の音も夜 ....
蒼いインクを流し込まれて
世界は行き暮れた
やがて長い夜が明け
暮らしの屋根から細く立ち上るかまどの煙や
打ち寄せられた農具さえ
インクの色に染まっていた
それでも 鐘の音を聞くと ....
今日も真夜中の向こう側から
たくさんの「タスケテ」が届く
本気もあればウソもあって
見分けるのはむずかしい
だけどアタシはとりあえず
見つけた全部の「タスケテ」に
「ダイジョウブ」って ....
夕暮れの表層に漂う
たましい
どんな形容詞だろう
それは乗りものとか
愛とか
旅人なんかの様子をあらわすのかな
たましい林檎
いけないと知ったはずなの ....
目覚ましの音が部屋の中を歩く
太陽の光 浴びてる
朝の言い訳で
胸に溜めた息吐く
自分を逃してやるよ
元気なんて擦り減るもの
靴の底で踏めば
ドアを開けて希望が見える
この場所を忘 ....
ずっと不安で震えていた
曖昧な言葉しかない世界で
曖昧な事ばかりをした
絶望など存在せず
かといって希望も無いような世界が
意味もなく立ち込めていた
間違うことから ....
ラミネート加工の空に穴が開く
まるですぐ上からパチンコ玉が
落ちた来たように泣いている
雷鳴が仲間を呼ぶ声に
嫉妬したりしてどうかしてる
この雨は頭を冷やすために
一秒毎に強くなって来る
....
「帰りたい。
もう一度帰りたい」
顔を合わせるたび 口に出る台詞
帰れない
当分、帰れない
下手すれば 一生、帰れない
わかっているから
なんとなくでもわかっているから
....
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