風はどこからくるのだろう
風はどうしてふくのだろう
僕にはわからない
この時代にふく風が本物であるかどうか
じいさんは言った
風は知らず知らずし ....
はす向かいの男の咳で
目をさましてしまった
となりの年寄りはまだ目をとじているので
きっと とおくに行くのだろうと思う
このまちに大きな交差点はなくて
行き交う なんていう ....
雨はいつだって突然に
感覚を刺激する
懐かしい音に
身動きが
――…取れなくなる
夕方の雨は
だめだ
カーテンレースを握りしめた
手の
震えが治まるまで
アスファルトを叩く ....
あなたの不在に悲しみが浮き立つ
痩せてしまう何もかもが
小さく小さく呼吸をする
感触が浮かんでは消え
立ち尽くす足は もう疲れた
溜め息が涙のように流れ出る
{画像=080726153050.jpg}
手帳をいっぱい持っている。
このリングノートも扉のところに3つの住所が書いてある。
入っているカバン毎に、
引き出しから入れた雑多な順番に出て来るメ ....
愛を語るにはまだ若すぎる
遠くで見ているだけの日々に
拘束され続ける体躯
心は既に限界を突破していた
誰も悪い訳ではない
一度きり
どこで選択肢を間違えたのか
何を履き違えたのか
....
夏の星座も綺麗に見えない街で。
夜空を一人見上げて。
必死に星を探してみる。
一等星、直ぐに見付かって。
ちょっと空は広がって。
けれど、それしか見えなくて。
果て ....
恐いんだな。僕は。
3年前、知り合いが死んでしまったんだけど、
それは何の前触れもなく。
僕は彼の顔も覚えていて、
いい人だったことも覚えているから、
ただ、なんで、と思った。
僕の体 ....
昨日ひろったきれいな小石
たとえば人は
磨かれる前の宝石の原石のようだということ
未完成なままの美しさを知っているから
だからそっとしておいてください
そんな淋しさ
....
(1)
明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
大海原
ただ海だけが広がる海に
降り注ぐ日差し
何処から渡ってきたのか風
今ここで
生まれたものか風
まどろんで
飛沫
ふと舞い上がってしまう
水蒸気たち
塩粒たち
....
{引用=
さびしがりやのきみには
花をあげよう
はにかむ顔が
ぼくはすきで
ちょっとやそっとじゃ
きらいにならないよ
だいじょうぶだと
言いきれるのは
勇気とか そんなの ....
きょう手紙が届いた
とおい山のホテルの便せんと封筒
差出人はぼく
自分から発ち自分へ帰ってゆく旅人の
孤独な手紙だ
恵那山トンネルという
中央自動車道の長いトンネルを抜けた
恵那山の ....
今は何でも許される時代だから、ここは誰でも受け入れる場所だから、だから、生きることは困難だと感じてしまうんだね、言葉について、僕は語りたい、言葉と、言葉が象る事のできるあらゆる事象について、とりわけ、 ....
彼とは反対方向の電車に乗って別れた。
最寄り駅で降りると残酷なほど朝だった。
光がいつもより白く見える。
わたしは歩道橋の階段を上りながら、彼のひとことひとことを思い出した。
夜の言葉 ....
{画像=080717222808.jpg}
ぼくは所在なく佇む
夜が好きだ
そんなとき
梅雨の終わりの
雨が降っているのもいい
屋根を打つ雨の音
軒を伝う流れの音
樋を落ちる水の音 ....
吹き抜ける風のなか
あなたの声がする
もう、どうしてもつかまらない過去のなか
あなたの笑いさざめく声
いつしか、あの高みにまで飛べるまで
待っていてくれた、あのなつかしい声
時がながれ ....
遠く離れた二人だけど
今ある障害は
僕が経験したことのある
障害に比べれば
全然対したことはない
だから
今
ほら
夜空を眺めよう
僕が月をまん丸にしておいたから
決し ....
僕はいつも笑っていよう
君がそれを知ることはなくても
僕はいつも傷を受けよう
君がそれに気付かなくても
君が少しでも楽になれるなら
僕は君の為に生きる
いつか気付か ....
ありのまま、
あるがままの姿であれと
ひとは口々にいうけれど
途方もない約束を
捨てたくなくて
潰れてみたり
飾りのつもりが
汚れてみたり
だれかが ....
目指すこととかあるけどさ
今 自分の駄目さ加減をいかに愛してくれるかって考えた
思えば自分は駄目ばっかりでもう本当に愛されているから
確認なんかしようがないんだけど
....
切り刻んで袋に入れた新聞記事は
目を離したすきにもぞもぞ動きだしていた
記憶と考古学
預言者と未来
それぞれ近づいたところを
手のひらで思いきりたたきつぶして
遅ればせながら
宣 ....
さびしさにふたをした
余計にあふれてきた
ふたをしろよ
もっとふたを
漬物石
がいい
いやもっと軽くてもいい
わたがし
和紙
金箔
めでたくなる
重さなんか
なんでもいい
自分でふたをすること ....
ある日 上陸した魚の一群が、
砂浜でひなたぼっこをしていた
太陽の光を全身に浴びた魚は
やがて背骨を透き通らせ
口から虹を噴き出した
羽の生えた酸素が空を漂い
酸素が付着した虹は輝 ....
あのとき、覚えてる?
時間ぎりぎりに、抱えた花束を後ろに持って、
あなたは駈けてきたね
予算内で、たくさんの花を欲しかったから、
というあなたは、
くたびれたような、開きかけたカサブラン ....
思わずため息が出た。
とことん甘い。
「コーヒーをお願い。苦いやつね」
笑った。とびきり下品に。
外は雨が降っていて、空は白かった。
皆、カラフルな傘を持っている。この町は曇りでも明るい ....
残像にある
夏の陽差しが萌える
ニッコウキスゲの
ように咲いている笑顔に
揺らめく胸のときめきは
信濃銀河鉄道の
レンガ色に敷かれたアーチ橋へと
遥かに架かる
真っ赤に錆びついた
レ ....
あえて描かないことは描ききることと同じで
透明にはじける炭酸水が吹き上げる泡のように
この七行に込めるものは
あなたを愛する、ということではなく
砂時計が流れ落ちるのを眺め続けている
....
お気に入りだと言う匂いのついた消しゴムや、お洒落なロゴの入った定規。
表紙の絵柄の可愛いノートに、綺麗な色を引けるペン。
私と違って「たったひとつ」のあるもの達。
代用品など幾つでも ....
だいたいボクの有り難味が分からないヤツが多すぎるんだ。
世界の基本はボクなのさ。ボクがいなくちゃ世界は歪んだままなのに。
腹立たしいのはボクより脆いあいつの方が皆に必要とされてることで。
....
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