1:至福の裏側で不幸の影をちらつかせる
孤独が好きな癖に人に縋り付く
満たされる事ない欲求を抑える為に
僕は君を抱いた
孤独になりたくないから人を求める
そんな君は世界の果 ....
ほらごらん
星が瞬いているよ
風がまっているよ
きれいだ
きれいだろ
こんなに澄んだ気持ちになったのは何年ぶりだろう
災いは時として僕達を試す
うーん ....
ファミレスに車を置いて
駅まで歩いた
歩道をおりて
川をよこにしながら歩いた
踏んだらこわれそうな
しろい光
ぼくらは風を見たことがない
無尽蔵のそのいっ ....
春が来たのかこの風よ
ゆったりとした時がゆく
澄みきる空にまぶしさを
連なる山に豊かさを
春の命を運んでる
春のときめき抱きつつ
春に咲く花見にゆこう
道には雪があるけれど
春の命 ....
ひとくくりの名で
呼び習わされた私たちという存在
名前ごと踏み潰されて
それでも再び季節は巡って
そう、思えば芽生えから危機
タイミングよく行事が狙う
競争とは名ばかりで
それでも私 ....
一
今日も天井の灯が部屋を満たします
もうここには来ないで、
キミにそう言いました
声がちゃんと届いていたかは
今となっては判りません
あの日以来
キミはここへ来なくなりました
これで ....
若さの中に埋もれていたのかもしれないね
乾いた木にもたれかかって
微熱を持った耳に唇を寄せた
それは丁度冷たい風が月明かりをざわめかせたとき
その落ち着き無い立ち居振る舞いが急 ....
画布一面に
描かれた椿の
色彩の深みは
凍えた空を思わせて
ひとすじの風にさえ
枝葉のさざめきが
聞こえてきそうであった
重なりあう緑葉の中に
たった一輪きりでも
咲き誇る花は
見 ....
漫画喫茶で生活している
あの子と僕は
まだ一度も口をきいたことがない
僕のタンスはコインロッカーだ
僕のバスルームは公園の水道だ
毎朝、派遣会社からの呼び出しを待って
暗いうちに出 ....
一人で、立ってなきゃいけない。
ってのは、解ってるんだけど。
疲れたりもするんだ。
けれど、寄り添える人も居なくて。
一人ぼっちで。
布団に倒れこんだ。
冷たく包んでくれた。
....
ほころぶつぼみは
握りこぶしを揺らす
乳飲み子の
すこしひらいた
くちびるのように
まあるい頬のように
まだ寒々とそらが暗く
いよいよ産まれる朝、
あなた
病室にとんで来て
....
ぽつり ぽつり
うた声、響く
どこからともなく夜をなでる
ああ、
おちていた
ああ、
おちている
だれか、ここで
おとしたんだ
だれかが ここを
行っ ....
風に吹かれて 緑が揺れる
春は君への 小さな便り
届きませんか この並木道
ここから一度 始め直すよ
ふわふわ綿毛 小道に降りて
忙しそうに くるくる回る
風に吹かれて 木 ....
一 秘密の楽園
二人の世界の入り口は
いつだってこの実験室
あなたはそっと私を呼んで
脱いだばかりの白衣を着せた
袖の長さが余っていて
なんだかとても不恰好なのだけど
....
「は・ひ・ふ・へ・ほ」という文字が
ひとつずつだと
「は〜」「ひ〜」「ふ〜」「へ〜」「ほ〜」
ほら、なんだかため息みたいでしょ
「は・ひ・ふ ....
「死」という物
すぐ近くにあって遠くにある物
体に触れているのにつかめない物
体は動けるのに逃げられない物
どんなに恐怖を覚えて哀願しても
....
静かに
静かに
この道で
風が眠っています
起こさないように
そっと歩いて
通ってください
風はとても敏感で
すぐあなたに
気づいてしまいます
静かに
静かに
この ....
小学生の頃
春の小風の中にふわふわと漂う
ケサラン パサランを見つけた
うさぎのしっぽのような丸い格好をして
まっくろくろすけが
まっしろしろすけに塗り替えたのかと思った
ぼくは
逃げら ....
灰緑の部屋で 私たちは
話をしている
天井や壁に貼りつけた
太陽や月や星たちを
そろそろ違う場所に
貼りかえようか と
私たちは長らく
この部屋に棲んでいる
いや あるいは
この ....
満たされぬ日常に潜む誘惑は
韓流映画に息づく昭和
という時代のように無様だが
それでも
欠けているパーツを
求めずにはおられぬ未完成の遺伝子に
駆り立てられ追われるように
する
次のセ ....
結婚が決まって 指輪を買いにいった
おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に ....
僕がいないと
君は泣くから。。。
だから
守らなきゃと思ったんだ
たとえそれが
君のためにならないとしても
たとえそれが
僕の偽善心だとしても
....
家の中に線路が開通した
これからは毎日
海へと向かう青い列車が
部屋を通過していくそうだ
最寄の駅はいつも利用している駅だけれど
春になったら小さなお弁当を持って
二人で海を見に行こう ....
夜に音楽を聴くと
とても感慨深くなる
どこかからしんみりとした風が胸の中へ入ってきて
僕は生きているという実感を持つことができる
夜の旅
時計の針の音に乗って
色々なことを空 ....
2007/02/10
空部屋を求めて
新百合ヶ丘駅前に着いた
仲介手数料0.5ヶ月分
敷金1ヶ月、礼金なし
1ヶ月分の家賃は
任意と書いてある ....
二月をはじめたばかりの空に私は宿る
人見知りの日差しはまだどこかぎこちない
手放した温もりを眺める視線と
手放された痛みを撫でる記憶
風は中途半端に冷たい
人気のない歩道橋の上の ....
なびく髪に右手をかけて
岸壁で揺れる君
大丈夫よ、と言う声が
気のせいじゃなくて
確かに震えていた
けれども
僕は知らない振りを決め込んで
安堵のため息を漏らしてみせる
....
郵便受けに葉書を取りに行くと
ワニが立っていて
小包は腹の中にあると言うので
両手で口を大きく開いて
上半身を口の中に入れて
ようやく取り出すことができた
小包を開けると
小さな電卓が出 ....
誰か傘を貸してくれ
哀しみで濡れた心を
乾かす場所が欲しい
僕の見ていた世界は
淡すぎた
世界はこんなに
クリアで脆いもの
細胞壁くらい欲しい、
僕の体。
哀しみが心の中に染 ....
原野に群れをつくり
歌い続けていた花の
落ち窪んだ中心で
旋回する帯の雲
高温の閃光弾けて
葉をなぎ倒し
手を覗くと乾涸びた大陸
声は枯れてゆき
歌われたものたちは
砂に還る
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