或る 陽射しが穏やかな午後
風はゆるやかに 丘を流れる
窓枠に切り取られたその風景の
ずっと彼方を 少年は見ていた
鳥かごの中
「日常」は夢のまた夢
その身には 穢れなき白と
何もの ....
透明な針が刻んで
苦しげに 身近な
皮膚が縮んでゆく
冷たい大気がやって来て
窓を揺らしているならば
あなた 目を閉じなさい
物憂げな静けさが
決して積もることなく
降り続ける こんな ....
朝刊を広げた
死亡者の欄に自分の名前を見つけた
死んだのは 私
ホンモノの方
なんで死んだのか
そんなこと どうだっていい
ニセモノの私はここで
ホンモノが死んだ事実を眺め
....
言葉は、差別だ
草も木も
犬も猫も
虫にさえ
届かぬ言葉で
....
「僕のお母さん」
そういう題名で作文を書くようにいわれた
でも、僕にはお母さんがいない
死神さんがお母さんを連れて行ってしまったから
お母さんは病気で死んじゃったんだ ....
阪神大震災。
あの悲劇から12年。
もうこれだけ時間が経ったのかと思う反面、
まだこれだけしか経っていないのかとも思ったりする。
私はラッキーだった。
震災の被災地に生まれたにも ....
君の中の炎は
常に形が定まらず
消えることなくむしろ
どんどん燃え盛り
竜巻となって
全身を駆け巡る
その炎はいずれ
君の中の情熱を燃やし
そこから生み出される蒸気によって
君は ....
ひまわりが枯れて
バラが枯れて
チューリップがこぼれて
シベリアだけがまだ
咲き誇っている
切られた花の優しさしか
あげられません
あげたくても
あげられません
....
暁の一瞬
星達が地平の先に落ちて
僕ら鮮烈な赤を見る
スタートの合図 瞬きすら出来ずに
世界が僕らを焼きつけて
日常のフレームに収めても
掌の星は逃がさないで
....
あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?
羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった
まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで
....
月を見ながら死ぬ君は
夜明けの太陽を
むしろ恨むことだろう
君のいない明日を
やつは何かの始まりみたいに
照らし出す
君が死ぬ時間に
起きている人は
ただ眠れない夜 ....
自由の翼がほしかった
好きでもないものばかりは食べられない
わがままなんかじゃなくて
自分らしく生きていたい
自由の心を持ちたかった
言いたいことを押さえて
我慢する ....
あなたはためすように
月を詠むのです
椿の花が落ちる夜に
闇から色を分かてるのか
ためすように
あなたは月を詠むのです
くれなゐは
いつぞの契り
くれなゐは
今わにみ ....
黒い雨に包まれる
しかたない
濡れるからしかたない
濡れたからどうしようもない
諦め半分
適当半分
遠すぎる月遊び
黒い雨を投げる
届かない
知っている
切ってみる
....
小さい頃
雪っていうのは神様が落とした
宝石だと信じていた
人が亡くなって
魂が神様のところに逝く
また人間として生まれ変わるとき
人間だったときの記憶は
宝 ....
言葉を言うのはいつもあたしの役目だったね。
「さよなら」すら発することのない、君はとてもずるい人だった。
約束は守ることではなく、することに意味があるもの。
そう、だから「ずっと一緒にいよう ....
どうしようもない風に吹かれて
立ってもいられず
ただうずくまっていた青春
何度も何度も悩みのサークルを
ぐるぐる回り続け
周りには妖怪、悪魔が徘徊し
ドアの向こうに絶望を ....
人は
他人の幸せはよく見えて
自分の幸せはよく見えない
もしかしたら
他人よりもずっと幸せなのかもしれない
だから
自分が愛する人を
自分よりも幸せにすることが
自分を幸せにするこ ....
泣かないでジョージ
素敵だよジョージ
もうすぐ幕引きだけれど
世界は終わらないから
だけれどジョージ
目を開けてジョージ
車に跳ねられるなんて
あんまりじゃないか
幕引きだよジ ....
手紙には
雪が入っていた
罫を
さいごに
ひらいていた
手元
静かに
遠回りして
指さえ
透けそう
心、きれそうな
ひとつっきり
....
溶岩弾の保全
黒く荒々しい岩窟に
白金の清水に
リンガのごとく そそる 巌
私は 黒く痛々しい岩肌に
工作を付のだ
工作を
象嵌の白い石を幽玄にも荒ぶる巌に埋め込む
そ ....
えのぐのあじがする
と、遠ざけられた皿には
白いドレッシングのかかった
シーザーサラダが
盛られたかたちのままだ
野菜も食べないと大きくなれません
と云われて
娘はふくれている
....
私の想いは届かない
どんなに胸を焦がしても
あなたは私に気付かない
あなたの前を行ったり来たり
私は哀れな{ルビ自動人形=オートマタ}
涙さえも流せずに
くるくる踊る道化者
....
愛という名の怪物は
過去の意識
もしくは現在の思考回路
その他諸々を食い潰し
私の脳内に
爪痕の如く働きかける
記憶が曖昧な私は
夢と現実の区別すらできず
相違なる言葉のいずれをも ....
疲れた身体を横たえて
ひっそり眠る午後の一時
モノクロームの夢の後
窓辺に花が覗いてた
ここは僕のオアシス
すべての道に繋がる入り口
生きてるという勲章を誇りに
明日 ....
お弁当のみどりの葉っぱの
その嘘が好きだ
あなたの
じゃあまたね、に
どこか似ている
タコちゃんウインナーが
好きらしい
そんなあなたの
横顔をじっと見る
あなたに足 ....
みちてゆく時にかけていくかたち
目もあわせられない圧倒的光量が
静謐な夜をペリペリと剥がすと
空が蒼く、色づいていく
日常の目紛しさに溺れそうになりながら
ビルの谷間を靴の音を響 ....
利口じゃない駆け引きも
一夜の夢ならそれもいいのかもね
{引用=膨らみだした欲望の箍を外したなら
君の中渦巻く深海に飛び込んでみようか}
欲張りなくらい求めるのは
退屈な日常の裏返しかい?
....
拝啓、先生へ
私は今、とても怖いのです
あの頃の私に戻ってしまいそうで
私はとても怖いのです
あの頃の私は
今思えば悲しいくらい
いろいろな物につき動かされて
多く ....
これといって意味はないけれど
コーヒーカップを買いました
ただ買っただけなので
無駄遣いでしたが
人と話がしたくなりました
これといって意味はないけれど
車で県内を一周しました
ただ ....
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