西日のざらざらで
描いた影の絵を
なぞる蜜の指
終わろう終わろうと
切っては捨てた
いろいろな物が
日の沈むあたりで
燃え残って鳴っている
世界と水平な心でいて
こまかい こまか ....
青空、ぽかんと広がっている
陽光は燦々と降り注ぎ
私は床に伏せっている
送電線が微かに揺れ
白雲一つ流れて行く
時は刻々と過ぎていき
青空、ぽかんと広がっている
....
秋晴れの日に大事なものを失くした
でも、優しさに救われて
生かされてることを改めて感じる
失くしものは見つからなくても
愛情は見つけた
大きな秋の収穫
時々、独りぼっちだと泣くけれど
....
そうなのかも知れない
そうじゃないのかも知れない
私にとっては
どうでもいい
評価するのはあなただから
ただ私は
無限の宇宙を呼吸するだけだから
寒いから
嫌だといったのに
晴れた日は
まぶしくて
きれいには
見えないよ
という
きみの一言で
傘をさしての
もみじ狩り
秋雨の
生地に織りこまれた
....
夢のなかに一年前にお別れをした
貴方が出てきて
そこは貴方の席じゃないよと咎めると
まぁいいじゃない、と言って
いつものように
わたしの頭を大きな手で包んで
貴方の ....
檸檬に似た香りがするりと
開け放した窓の向こうから
風と一緒に僕にまきついて
まるで撫でているようだね
君はきっとそんなことはしない
ねえ、これが恋であったら良かったのかな
僕が何もか ....
素直に好きと言えるまで
どれだけの歳月が必要だったろう
天は廻り
雲は流れて広がる青
遠い遥かな郷愁が
焚き火と共に立ち上ぼる
秋晴れの今日、
独りきり
....
少年は
今日も野原を
かけめぐる
思い出を
さがしても
過去を
さがしても
見つからない
行方不明になった
秋をさがして
まだ幼くて
何もわからず
....
よく晴れた日曜日
川沿いの心地良い風
秋の深まりが肌寒さを呼ぶ
ゆったりとした川の水
生活の影がゆらゆら映る
これからみんな
厚着になっていく
寒さが加速していく
川沿いは ....
時折
子供の頃
遊んだ
友人の家の匂いが脳をかすめる
絡めとられ
からめとられる
僕の過去
今
ちょっとだけ肺が痛い
祖母の嬉しそうな笑顔
友の楽しそうな笑い声
もう ....
窓越しに今日を見て
誰かが向こうへ手を振ると
明日へと勝手に動きはじめて
頼んでもいないのに席が空いて
ここがあなたの場所だと告げるから
大丈夫です。
みたいな曖昧な返事が降車駅まで必要に ....
朝が来なければいいのにと眠りにつく
そして明日がやってくる
その繰り返しが毎日で
苦悩と嘆きは取り除かれない
だけど生きていることは奇跡
もう立ち上がれないと思っても
天使が手を差し伸べる ....
多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ
だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて
道の両側に咲く
ピンク ....
柔らかく弾けるバレエの動線
立体であり流体である文脈
対になるのは
豊かなる肉体の賛美のダンス
どこかコミカルでシニカル
そしてプリミティブな表現
我らを穏やかに諭しはしない
むしろ ....
この祝詞をあげる
あなたにあげる
ひとすじの狼煙のようにあなたに上げる
呪いになろうとあなたに上げる
ひたむきにけなげにかれら
上がっていく
寂しかったでしょう
ほのおと分断されたよ ....
朝焼けの
山々の影絵が
くっきりと見える頃
太陽はいまだ
地平の彼方に隠れ
鳥たちのさえずりが
かすかに響く
煙突の煙は
遠く
垂直に立ち上り
夜の薄暗闇が ....
羽をなくした蝶が
枯葉舞う
公園の片隅で
死んでいた
寂しくて
切なくて
思い出す
風のなかに消えた初恋
春の
さわやかな風のなかで
出逢い
夏の熱い風 ....
白雲が流れていき
青い青い空が広がった
異国は遠いけれど
宇宙は此処だ
僕はそう思った
胸のいちばん平らな場所に
風が吹いていた
髪の毛を斜めに分けるような優しさで
朝を迎えたのに
格好つけて整えるから
人はそれぞれの姿になる
過ぎていく時の中で
忘れないでと願っても
僕 ....
歩きながら
いなくなった人を想う時
金木犀の匂いが
引き金になった
違う場所にいるのに
同じ記憶を持てるとしたら
僕等は甘くて眠い
昼間に出会えるね
こっちの意識が
向こうへと溶け出 ....
職業訓練に向かう車中
手嶌葵の『明日への手紙』を聴きていると
ふっと秋の童が降りてきた
きゃっきゃと笑いながら
ダッシュボードをはしゃいで走っていた
ぼくは
しずかに考えながら
考え ....
神は死んだ
もうとっくに
世界は空っぽ
空っぽのまま
秋は進んで
やがて冬が
寒い冬がやって来る
世界が私が在ることの
謎は謎のまま浮き上がり
時は静かに過ぎ去って
でろんとあ ....
そうあるように
あるものが
あるだけなのに
なにかの切り屑のせいで首までが埋まってしまっている
上昇が原理ならよかったのに
鱗のはがれたものだけが天へゆけるのならよかったのに
人の望み ....
私達は幸せになります
の
しあわせ
嘘みたいに
こうの鳥が運んで来てくれた
しあわせは
まるで額縁に嵌め込まれた絵だったかも知れません
が
それは
ほんの束の間
いつ ....
互いにスパークする宇宙で起きた出来事があり
誰も入り込めない花園の君がいていつか僕は叙情になる
面倒くさい真実ばかりがまかり通って
優しい嘘はにぎりつぶされて疑問ばかりが生き残る
レノ ....
山あいのさみしい川べりの
物置小屋の青いトタン屋根の上に
紅葉したもみじが
五六枚かかっていた
大町の山間部の秋は
ダム湖の水面に近い方から色付く
楓が黄色く
イロハモミジはわずかに ....
土間に転がる
わたしはじゃが芋
眠っているようにも
死んでいるようにも見えても
頃合いを待っている
話し声が通り過ぎていく
ある朝
蓄えた力で
にょっきっと
芽を出す
やが ....
不安という重荷をおろせば
溢れてくるのは感謝
恐怖という重荷をおろせば
溢れてくるのは喜び
危機は去り
つかの間の平安の中で
天使たちの声を聞いている
新たな火種がすぐに来る
死神 ....
たとえば
並び歩く二人が
気を置かずに話している
一方が振り向くとき
他方も同時に振り向いている
たとえば
双子が同じ夢を見る
電話でその話をするとき
互いの脳裏にはありありと
....
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