あらかじめ赦された裏切りを
ゆるせなかったのは私
錠前を下ろされたドアの内側に
想いを閉じ込め
潜り抜けて
羽化する幼虫を
みんな潰し
化石するサナギのうたを
うたった
....
秋空に浮かぶ雲のよう
どこに行き着くのかわからない
枯れ枝倒して道決める
北へ
南へ
東へ
西へ
風と加減と運が決める
どこに行き着いても構わないから
....
まだ幼かった頃には
確かに別世界への入り口だった
あの古い橋 よく
行ったり来たりして遊んだっけ
今の背丈で眺めてみると
なんて小さくて短い橋
なんて細くて切な ....
雨季、冷たいだけの
椅子に腰
かけて
朝方の蝉が穏やかに
絶滅していく様子を
眺めていました
手を伸ばす
伸ばす手が
その手が
範囲
何も守れない
窓があってよか ....
何もなかったと思うその場所に
横たわってる小さな虫歯が
少しの不安でぐらつくような
明日をまたいでどこへ行くのか
街は代謝する人は感謝する
この胸の中をバスが通るたび
眩しく光るラ ....
通りすがりのあの人の
後ろ姿になに思う
通りすがりのあの人に
恋してしまう今日もある
通りすがりのあの人のこと
想像するのは
通りすがりのあの人の ....
風の内緒話し
鳥の告白
雲の散歩道
白い花は雪の匂い
怖いほど空が近い
妖精の羽音が聞こえる
どれだけ登れば逢えるだろう
頂上に咲く雪の結晶
エーデルワイスの優しい瞳
....
男子はサッカーで
女子はソフトボールが
今日の体育だ
サッカーボールが
よそ見していた顔に当たる
ソフトボールを拾いに
男子の方にやって来た
普段は眼鏡っ子の君の
コンタクトを ....
冬の晴れた黄昏の海
彼の足元に波が打ち寄せる
私は背中に耳をあてる
このまま背中に溶けてしまいたい
おんぶされて見る景色は
夕日の味がした
並んで飛ぶかもめが聞く
「ついてく ....
もうすぐ寒くなる
誓おうとして言いかけた
言葉を持ったまま
迷っている君が
好きだよ
いつまでも
言い終えないで
それがわたしの
永遠
感性が自由に手足を伸ばし
咲かない花の隣で添い寝する
この体温をどうか受け取って
有り余るエネルギーの宛て先に
誰を選んでも返事を待ってる
自分中心に回る世界を
少しだけ止めて ....
お陽さまの輝き集めて
袋に詰める
いっぱいにするの
輝きで いっぱいに
するの
それを部屋に持って帰って
そっとそっと 眺めるの
手にとって 可愛がるの
....
乾いた風吹き抜ける頃
地平線の向こう側を想う
手を伸ばしても届かない
叶わぬ夢のような
湿った風とさよなら
水平線の向こう側を目指す
願いはどうしても届 ....
時計の針が
五時を指している
終わらない仕事
いくつあるのかな
みんな動いてる
何かを信じて
絶え間なく続く
空の変化を
塗り絵にしたら
黒しか選ばない
呼吸が ....
傾けた心に
足りない言葉
底が抜けてる
ガラスのコップで
何をすくっても
こぼれしまう
ゼロに戻って
喉が渇いたな
きっと欲しいものが
あったはずだ
縁をなぞるだけ ....
たとえどんなに遠く
はなれていようと
君と僕はつながっている
138億年も膨張する
宇宙の先端に
君がいたとしても
つながっている
僕がYESというと
君は予期したよう ....
ただじっとその時を待つ
動き続ける心臓
止まることのない肺
何億という細胞が一挙に
その時に向かう
追いつけないほどの時の流れに
滲んでしまった憎しみは
淀んでしまった愛情は
....
赤いハンカチをちぎったように
嘘の花びらが積まれていく
いちばん下に隠された気持ちが
あなたに見えるかしら
妖精が色とりどりの花苞を
持ち寄って集まる
星のしずくを集めた花が
中 ....
恋の学校が
たったいま閉校した
卒業したのだ
そう片想いが終わったから
告白を書いたテスト用紙
何気なく渡して
採点が始まる
点数はオリオン座の真下
街路樹の枝に星が吊 ....
夜の公園で落ち葉が遊んでる
すべり台からジャングルジムへ
ブランコから砂場へ
きっと子供には見えてる
妖精が葉の下に葉の上に
隠れてなんかいない
私には見えないだけ
目で追う ....
私たちは夜道を歩いてる
月明かりを頼りに
遠い世界から雷雨がやってきて
私の両耳をあなたが両手で塞いでくれる
夜中に目が覚める
部屋の中で風が吹いてる
私の髪はまだ濡れていて
....
この世界は
美しく弾ける
数秒後に
カケラを残すまで
消えない魔法の
笑顔を探した
あの人もこの人も
違うのかな
シャボンの玉が
ストロボみたいに
誰かと目が合 ....
爪から
ほそい光がでるようになってしまった
愛されすぎですね
と
医者が言った
でもだれに?
という問いには答えずに
気をつけてください
光のぶんだけ
影がたまっていきますか ....
忘れるという草を踏みながら
掻き分けていく貧しかった頃へ
新聞配達のアルバイトで
何日目か分からないセーターを
夜空の色と比べて笑った
同じ青だからまだ大丈夫
空に抱いた憧れや ....
内側に包み
外側へ発す
光のような
明るさと優しさ
こんなに正直で
みんなに好かれ
結婚しない
理由を知りたい
大丈夫
その後に続く
言葉のことだけ
今は ....
煌めく石ころを右のポッケに
大切にしまいこんで
輝くお星さまの残像を左のポッケに
もっと大切にしまいこんで
両の手は空けたまま
どこまでも追いかけていく
それは未知 ....
小突いても
何も出てこない
すっからかんな子供…
心の
膿も栄養も
きれいさっぱりなくなった
地獄のような劣等感の海から
誰にも会わない天国の浜辺に
ぷくぷくの満月に照らさ ....
リボンを結べる
相手がいなくて
透き通るだけの
水は混ざらない
遠くに見えてる
夜景の真ん中は
光をくれたのに
返すものがなく
ホットミルクの
柔らかい湯気で
あなたを丸ご ....
手紙を書こう
こんなにも夜が長いから
たまには手紙を書こう
伝えたいことは
どう言葉にすればいいのかわからないけれど
私の心を掬い取って
素直な気持ちのままに美しく着飾らせてあ ....
夜と朝の間に
あるものは
青いマニキュアを
剥がす時の色
雨みたいに
除光液を垂らし
ピンクの爪と
混ざり合うような
マーブル模様の
夜を離れると
体温が下がる
目覚 ....
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