彼女が
砂漠で飢えて水を求めて
手を伸ばす姿を想像する
既婚子供有の友人は言う
このまま一生恋する事も無く
朽ち果てるのか、と。
結婚相手を恋愛時代と同じ様な情 ....
夜にまぎれて
雨をみちびく雲の波
朧気に月は
触れてはいけないものがある
ということを諭すように
輪郭を無くし遠退いてゆく
深く、
深く息をして
雨の降りる前の
湿った空気の匂い ....
犬の耳の中へと
廊下は続いている
途中、川が流れている
小さな川なので
小川なのだと思う
手前に椅子が一脚
置きっぱなしになってる
本当は小川を見て座りたいのに
ネジのようなもので固定 ....
はじめて会った
気がしないのは
なぜだろう
やさしいまなざし
知っているのは
なぜだろう
話しながら左手を右手で
撫でる癖を知っているのは
なぜだろう
その手のぬくもりに ....
あんなにも断ち切りたかった筈なのに
どうしてだろう
今となってはこんなにもあの頃がいとおしい
過去は今も
....
波が編む細やかなレースが
爪先の向こうで結ばれてはほどけ
刻と陽射しは
翡翠や白の模様をすこし深くに施す
水平線、と呼ぶには平らな
空と海の境界を見ながら
こうして言葉を探す自分を思う ....
あの子の愛してた空が 雪の色に変わったとき
温もりを風に乗せて 星に"ため息"
目をつぶり歩く勇気が なかったばかりに時間は
....
まだ
幼いままの夢を抱きながら
歩みを続けている
床に転がっていた
ガラス玉を指差して
綺麗だと笑っている
何万年も前
もっと世界が綺麗だった頃も
きっと僕ら
同じ ....
桜舞い散る春の日
正午の改札で
杖を手にした祖母は
ぼくを待っていた
腕を一本差し出した
ぼくを支えに
大船駅の階段を下り
ホームに入って来て停車した
東海道線の開 ....
今はもう
落ち着きを取り戻した
ネオンたちが
まだ 空を
侵食している
その事実を知っていても
僕は
何をする訳でもなく
36℃の体温と一緒に
ベッドへ ....
砂漠の中にあるらしい
あるオアシスの物語
湧き出る泉は澄みわたり
ほとりの木々には鳥が舞う
砂漠の中を旅してる
ある男性の物語
砂漠を越えてやってきた
長い渇きに苦しん ....
月が影に隠れる頃
桜は涙を流します
はらはらと落ちてゆく
一粒一粒の涙は
地面に落ちて
道に溢れてゆきます
桜の涙はやがて川となり
月を追いかけて
どこかへ消えてゆきます
きっと春の ....
何もかもがいやになって
下を向いて歩くのだ
メールを
打つふりなんかして
詩を書いたりしちゃうのだ
幸せな人は詩を書かない
というのは本当です
だけど
私の不幸など
ありふれ ....
冬空をながめ宇宙のはて‥
暗闇で 過去を見 未来が見えず
朦朧と 渦をまく
涙がひとしずく 流れるたび
心が溶ける‥春の雪どけ
氷つく 滝ツボが 一滴一滴
太陽と木々の反射の光に
雪わり草を ....
朝起きると
そこはひかりの園だった
すべての不浄なものは
洗い流され
新しい一日に
なだれこむように
時間は太陽の昇る速さに合わせてる
なだらかに穏やかに
過 ....
昨日の未来は
今日はまったくなかった
あれだけはっきりと
見えていたはずだった
昨日の未来は
初めから存在していないかのように
今日には現れなかった
その代わり
今日の未来が創り出され ....
重厚な鞄を
コインロッカーに詰め込んだ老婆
最後の小銭が落ちていった
鍵は古いタイプのシリンダーで
取っ手は錆びついていた
老婆の背後で
人々は透過しながら
それぞれの歩みを止めない ....
いつもねじ曲がった言葉ばかりで
言いたいことの
カケラすら
伝えられなくて
またあなたを
傷つけてしまったよね
『本当にごめん』の
一言を言うために
何度も受話器をとるけれど
そ ....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね
欄干にもたれて
あなたの
い ....
川の流れに乗っかって
どこか遠くに行きたいな
思った以上に世界を知りすぎた
こんなにも分らない方が
幸せだったなんて思わなかった
耳を澄ましていなくったって
誹謗や糾弾に晒されるし ....
誠実で在りたいと思う
突然 割れるわけでもなく
花瓶の水が染み出してくる
その瞬間
隠している筈の物が
表に現れる
もろい心
先へ進む勇気が無い
されど
立 ....
僕の仕事は重罪を犯した人間を死刑執行人として処刑することだ
とても責任が重い仕事だ
今日も刑務所に罪人がやって来る
ひょろっとしていて猫背で全身が青白く目玉がぎょろっと出ている男だ
....
いくつもの岐路に立って
流れる雲の下
永遠なんてないのだから
絶え間ないこの血潮の想うまま
流れているのか流されているのか
いつもの交差点では
運の悪さを象徴するように
....
僕の
発言は
許されない
僕の
台詞は
決められている
シナリオ
通り
多数決で
殺される
僕の
イメージは
決められている
僕の
アドリブは
抹 ....
息子が戦場へと行く
それを彼の父親と祖父が見送る
私はどうして息子が戦場に行くのかを知らない
私は何度も自問する
なぜ息子は戦場へ行かねばならない
なぜそのことを私は知らない
息子は父親と ....
品川駅のスターバックスコーヒーからは
高輪口と港南口を結ぶ中央コンコースを
本当にたくさんの人たちが
サーモンピンクとライムグリーンに色分けされて
指定された方向に運ばれていくのが見下ろせて
....
適当な事言って
軽はずみな事しやがる
そろそろ常軌を逸してきたようだ
もう誰が味方なのか分からない
奴らはばれないようにトラップを仕掛けるらしい
俺はチューニングの合っていない ....
可愛い あなたのために 歌を作ろう
可愛い あなたのために 歌を唄おう
夢の中でぐらい 笑顔を見せてよ
夢の中でぐらい 抱きしめさせてよ
....
日だまりに溶けたがった
あの太陽は
たんぽぽの色をたたえながら
まだ空に
浮かんでいる
僕はといえば
その日だまりの中で
何にも考えず
ただ
眠っている
太陽が出 ....
夜中
水道から
ぱたぱたとなみだ
海になんか辿りつかないのに
机の上で
しまい忘れたサラダが
哀しい彩りで居場所をなくしてる
きれいに一人分だけ残して
あたたかみをなくしたイスが
部 ....
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