光と影の色で編んだ
窓際のブランコに乗って
強くも弱くもない体を
運んでいくまで空は続いた
通り過ぎるたびに何かを捨てて
寄り掛かるたびに背中を見せた
ミントの風に吹かれて白くなる
頭の ....
田舎道でつまずく
膝をなでながら
石を睨む
あれ?
前にはなかった
土が持ち上げたのか

掘ってみると
尖って掌にのる
じっと待って
狙っていたのか
こんな小石に
負けるとは
 ....
そういえば
この土地に海はないのですね
水平線に沈む夕陽は遠い記憶のかなた
フリージアの花もストレチアの花も咲いていないのですね
トコブシは今でも獲れるのでしょうか
塩焼き、味噌漬け、煮付け ....
雲が解けたら雨が降り
水溜りに映る逆さまの街は
さよならを出会いに変えて染まり
追い駆けても追い駆けても
きっと太陽は沈まないだろう
秒針が動く隙間を狙って
私の心はあなたを想い
夕立が ....
初めて履いた運動靴で 
私たちはどこへでも行けた
リュックサックを背負い水筒を持ち
少しのお金と自転車のペダルに乗せたその足で

行きたい所へとハンドルを切れた
時間は私たちの足の後から付 ....
あなたは世界をかくすほどの傘をさして
しのび足のような雨のなかを歩いている
ひらひらするくるぶしまでのスカートはすこしだけ濡れて
きれいにふちどられたショートケーキのようだ

つばめは果 ....
大切な人を抱きしめたい
愛しい人に口づけをしたい
僕達はきっと恥ずかしいから
日本語の隠れ家を探してる
もっと軽くて証拠の残らない
気体みたいに乗りやすいもの
ハグやキスという面積が狭い
 ....
深まる夜の
硬質な器のうちに
憩う林檎や蜜柑の類い、
無限の夢見て静まり返り
琥珀の時を紡いでいく

  *

暗い一夜の街さ迷う
行く宛もなく帰る宛もなく
繋ぐ手と手は熱を持ち
 ....
哀しみを連れた静脈の足が
絡まないように最初で解れた
細胞に涙を埋め込んでから
分裂するまでに人を許すの
その度に感情がこびりついた
メスシリンダーを数えて
汚れた色の血管は
消毒の後で ....
寒い冬は好き
街中のドアも窓もすべて
隙間風を少し残して
閉め切ってしまうから
私は誰にも気づかれず
妖精とピアノを弾く
漏れ溢れる音は庭に流れ
雪に小さな笑窪を残していく
妖精の ....
あなたが雪なら
離れていよう
解かしてしまうから

わたしが雪なら
そばにいたい
温もりで解けたいから

ふたりが雪なら
結びついて
ひとつの氷になりたい

雪が生まれたら ....
雪の下で眠る私を
氷を解かす光がくすぐる
春の時間を切り取り
ひとつまたひとつ
未来から運んで蕾をひらく
足もとに金色の指輪が咲く
見つけたら心につけて
冬の道を照らしてほしい
私 ....
握った拳で
光が折れる

俺はいま
障害物になって
誰の視線でも
強く感じる

なぁ信号機
お前の心は
矢印なんかじゃ
曲がりはしない

真っ直ぐに立って
その痛みだけを
 ....
何も持たずに追いかける時は
早く会いたいと歌う声がする

アルペジオのような心の中で

間隔を空けた星のマフラーが
ハートの耳を弾いて光るよ

一等星から始まるフレーズ
繰り返すのは ....
木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく

無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
 ....
想像してたより
酸っぱいね
これが恋ならば
甘ったるいものを好む君には
向いていないのかもしれない

ドキドキと心臓が鳴るたびに
運動嫌いの君を思い出す
同じような想いをしているんだろ ....
壊れかけた百葉箱の中で眠っている僕の架空の妹
いろいろと短いのに産まれた順番だけで長女になってしまった
安心して眠れるように頭を撫でてあげるけれど
架空だから忘れられていくものがある
 ....
消えてしまえと蹴飛ばしたままの
不揃いな石が僕の過去なんだ

尖ってばかりで角が取れずに
哀しみを包む言葉を待ってる

悪いなさっきは痛かっただろう
これあげると言って被せた帽子は
数 ....
洗濯物が乾くのを死んだ目をして眺めている男の目が
違う世界を視ているのを私は知っている
夢もハンカチも青もいつか汚れてしまうのを
当たり前に魂が記憶している

向日葵を旗にして歩いていこう
 ....
並べたものを
天秤にかける

互いの姿を
認めた上で

違いを見つけるための
プラカード

掲げて歩けば
ついてくる人の

数で負けても
声で勝っている

僕は鼻柱が
 ....
ハチミツを垂らしたような首輪で
繋がっている空を眺めると
どこかで優しい声が聞こえる
月の砂漠に迷い込んでいた

あれが好きとかこれが嫌いとか
輪っかを投げるうちに出会ったから
正面を向 ....
自転車をこいで
急に
思い立って夜の
街中の観覧車を観に行こうと思った

眠れなくても微笑んで
夜の遊びでも
するかな

街も
眠らないのなら



コンビニは
24時間 ....
仰向けになって

受け止める光

顔を洗うまで

両手を出して

何度もすくった

言葉を並べて

伝えたいことは

水に映らない

こだまするだけで
刈り取られた田に
残された稲がある
穂を失くした稲が
何行何列にもなって
整列している

同じ背丈をした
穂を失くした稲たち
穂を支えてきた
立派な茎たち

彼らもまた変化し ....
背を追われ
背に従いて
青い群れのなかをいく

ゆうべ泣いた
白い顔を伏せ

青い群れのなかをいく

なつかしい
あなたの声にも
少年の顔でふりかえることは
もうない

青 ....
磁石が壊れて
引き合わなくなる

背中を向けた
人たちのように

どうしてと何故を
繰り返す前に

プツリと切れた
空の糸が伸びて

雨が降り
石が錆びて
許さない

 ....
空っぽのポッケに突っ込んだ

両の手が凍えている

空っぽのこころに突き刺さる

午後の陽射しが痛い

いつも探しているのは暗闇なの

もぐりこめるところなの

私を隠してくれ ....
鉛筆が折れて
分かったことは
書き出した言葉じゃ
使えないのよ

僕たちが
会話をする間に
目の前で生まれる
仕草や歌が
スパイスになって
今を生きている

みんな思い出せ
 ....
まるく白い
夜空の星のような
あられが降る

いったいどれくらい
落ちてくるのだろう
星の数だろうか

アスファルトを
白く塗っていく妖精だろうか

手のひらで溶ける星たちは ....
肩に置いた手は
音を立てない

悲しみに向き合う
人のために

言葉よりも深い
場所に立って

良くやったんだ
もう休んでね

震えるくらいに
伝わってくる

硬い体が
 ....
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