なびく髪に右手をかけて
岸壁で揺れる君
大丈夫よ、と言う声が
気のせいじゃなくて
確かに震えていた

けれども

僕は知らない振りを決め込んで
安堵のため息を漏らしてみせる


 ....
郵便受けに葉書を取りに行くと
ワニが立っていて
小包は腹の中にあると言うので
両手で口を大きく開いて
上半身を口の中に入れて
ようやく取り出すことができた
小包を開けると
小さな電卓が出 ....
誰か傘を貸してくれ
哀しみで濡れた心を
乾かす場所が欲しい

僕の見ていた世界は
淡すぎた
世界はこんなに
クリアで脆いもの

細胞壁くらい欲しい、
僕の体。
哀しみが心の中に染 ....
原野に群れをつくり
歌い続けていた花の
落ち窪んだ中心で
旋回する帯の雲
高温の閃光弾けて
葉をなぎ倒し
手を覗くと乾涸びた大陸
声は枯れてゆき
歌われたものたちは
砂に還る
 鳥たちは木の実を食べながら
          種を運ぶ
 ゆめの若木が根付くようにと
蝶たちは花粉の足で飛びまわる
 望みの花が目覚めるようにと

     未見の年があける朝
   ....
南アメリカの移民たちが
今日も公園のベンチにだらだら集まり
俺は隣のベンチで
空を見ている
ぽっちゃり太った女たちと
小柄だが生活を支えてゆく肩を持つ男たち
幼いのに遠い目 ....
君が眠い顔してる


君が眠い顔してる



さっきのさぁ


ぶち犬の軽やかなステップ

最高だったよ



生なりの大きなカーテン

ひるがえった空の上

 ....
小さい足の
小走りピアノ
今日はとなりのネコとかけっこ

空気の上を弾む足
いっしょになって浮かされて
勉強どころじゃなくなった

もっとたくさん弾んでよ
耳にこぼれる音の玉
弾ん ....
?いつまで泣いてるの?って聞いたら

?あなたが謝るまで?って言うから

とりあえず謝ったら怒り出した


それでも泣き顔を見るよりいいから

今度からは素直に謝ろう ....
どこまでも広がる青


空と同化して一色になる


ねぇ、どっちがマネをしているの?



私たち人類、いや生物を生み出した青



その青はやさしさの青ですか?


 ....
裸身の雪が
ぼんやりとした
遠いほたるとなっておりてくるので

あまやかな
姉の匂いにみたされたまま
結露にぬれた窓の外をのぞく

(紙の野原で北風が笑っています)


雨の日の ....
ねえ
あなた一度だって
私の名前を
呼んでくれなかった

ねえ
あなた一度だって
私の名前を
叫んでくれなかった

少し肌寒い夜に
あなたの中にくるまってると  ....
あなたとの出会いを運命と呼ぶのなら
それは綺麗過ぎるのかもね
こんなにも分かり合えるのに
互いを騙しあって
こんなに傷つけ合ったのに
それでも愛しくて

永遠なんてないとあなたは言うけど ....
物語を聞いてしまうと
彼女は不満げに頬を膨らませた
小さな手がタオルケットの端を
強く握っているのが見えた
硬く白くなって
欲しいものを手に入れられない嫉妬に
震えている

だから
 ....
憧れは遠く遠く
置き去りのままの夢を追う

呟いて転がしてばかりで
行動に移さない僕は
全てを他のせいにしては
仕様がないって諦めてるんだ

どうせ、が口癖になって
本 ....
親の顔なんか記憶にない

物心ついた時からこの

薄暗い施設で育てられて

周りの子たちとも全く馴染まず

一言も口を開かないまま育った




だから自分の声がどんなものか ....
少々、収縮
己の、欲求
エゴイズムで壊した未来

プライド、無料
スマイル、有料
私の指先だけで屠れる
君のすべて

私に笑ってよ
君が笑ってよ
君が幸せなら、私だって幸せだよ
 ....
赤いおととが ひらひらと

右に左に身をくねり

赤いおべべは誰のため

水に弾けて凛と舞う


するりと冷たい{ルビ玻璃=はり}のなか

くるりと廻って裏返し

{ルビ ....
何もできなかった自分なので
私は私に
何もしてあげられなかった
それでもその過去は
私の過去
何もできなかった過去であっても
大切にしておきたい

何もできない自分なので
私は私に
 ....
久しぶりの母からのメールは
「もうおとなりのうちの庭に梅が咲いたよ」だった
慣れぬメールをポツポツとうつ母の姿が浮かぶ
娘が梅の花に興味がないのは知っているはずなのに
伝えずにいられなかったの ....
木漏れ日が

骨だけの大きな大きな傘を回した隙間から

傘の役目を果たすため

たくさんのいろんな帽子をのせて
落っこちそうな大きな隙間には骨を渡そう
回すのが重いからベダルをつけよう ....
悲しくなって遠吠えすると
風に乗って
色んな場所から返事を貰った

風が生まれるならそれは掌からだ
水面に翳すと波紋が囁き 
耳を澄ませばラピスラズリが唄う
冷たい指先で声を拾って
廃 ....
四角い硝子管の向こうで

きっちりとしたいい年のおじさんが言う

「地球が壊れています」と

隣で彼女が蜜柑を皮ごと貪っている

壊れていると思った

翌日 置手紙を残して彼女は消 ....
「僕」という種をまいた

「僕」が芽を出して
 高く広く枝をのばし
 深く遠く根をはって

 空からも大地からも
 みんなを見守れるように願った


「僕」という種をまいた
 ....
走っているのです
よろめきながら

戦ってきたのです
血を流しながら

憎んでいるのです
憎まれているのです

疲れてしまったのです
そんな世界には

もう誰も憎みたくない
 ....
ミランダ やさしい亜麻色の髪
青い瞳で微笑みかける
ボッティチェリの絵から抜け出た天使
裸足で草原を歩くのが似合う


ミランダ 白鳥の細い首筋
もうすぐ居なくなると告げた
はかなげな ....
また一つ言葉が僕の体を突き刺した
もう痛みなんか感じないのに。。。



もういくつの言葉に傷ついたろう
ああ、また言葉が僕の体を突き刺した


いたい




いたい
 ....
秋はゆっくりと来ていた
朝夕の風を
冷たくすることから始めて
草花の種を気まぐれに弾き
ななかまどの実を
少しだけ赤く染めてみた
けれども空はまだ若い
夏の面影を残していた

梢には ....
新しい朝をつくろう

いつもとは違う やわらかい空気を

吹き溜まりの部屋に呼び込んだなら


新しい朝をつくろう

いつもとは違う あたたかい光を

変わらない白の照射に重ねた ....
君の表面を覆う僕


目に入れても痛くないし怖くないだろ?


まるで一緒になったきぶんだね


でも知ってる?


僕に汚れとかがあったら


君は痛くて涙を流すんだ
 ....
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黒い花ー2007・1・1ー- 信天翁自由詩307-2-10
休日- 水在らあ ...自由詩16*07-2-10
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語ってしまった後で- 及川三貴自由詩7*07-2-10
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親子丼- 完食自由詩2*07-2-10
金魚鉢- 朱雀自由詩3*07-2-9
何もできない自分なので- ぽえむ君自由詩10*07-2-9
おかえりなさい- さくらほ自由詩21*07-2-9
木漏れ日が- 七味とう ...自由詩6*07-2-9
遠吠え- 士狼(銀)自由詩12*07-2-9
アンソロジーな吐息- 大城 小 ...自由詩207-2-9
「僕」という種をまいた- ベンジャ ...自由詩6*07-2-9
敵意はもういい- 436自由詩5*07-2-9
ミランダ- 石瀬琳々自由詩19*07-2-9
言葉の力- テルテル ...自由詩207-2-9
コスモス- 北野つづ ...自由詩2*07-2-9
あたらしい朝- 相良ゆう自由詩2*07-2-9
コンタクトレンズ- テルテル ...自由詩3*07-2-9

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