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ポケットから出した手を
温んだ風の中で
大きく振りながら
まるで音色みたいな
あなたの名前を呼んだ
読み飽きた季節の頁が
温んだ風の中で
めくれるように
まるで花弁みたいな
....
冬の窓辺に立つ
枯木立の間から
キラキラ笑いながら
転がり出てくる子供達
寒そうな雲間を
名前も知らない鳥が
矢印になって渡っていく
冬の窓辺に立つ
だぶだぶの
....
寒い季節になると
いないはずのあなたを
つい探してしまう
枯木立の向こう
ベンチの連なり
落葉を踏む音
いないはずのあなたは
寒い季節に紛れて
すぐにわたしを探し当ててしま ....
いつからだろう
積み上がっていく喜びが
積み上がってしまう寂しさに
変わったのは
こころもとない
ケイケンとジッセキの上から
辺りを俯瞰できる大人なんて
いるのだろうか
今 ....
止まり木を探している
橋の上から
水面を眺めながら
欠け始めた月に
追い詰められながら
止まり木を探している
カフェの二階で
雑踏を読みながら
沈みかけた街に
....
歩んできた日々を
振り返る
一週間前に通り過ぎたばかりの
森の出口で道は消え失せている
歩んできた日々を
振り返る
あなたが遺した道が途切れてから
見知らぬ景色の中を彷徨 ....
ゆっくり上がって
ゆっくり下りる
破綻のない円を
描き続ける密室の中
あなたと向かい合った
あなたが指差す方向に
ひきつった笑顔を向けながら
まだ信じることが下手だったわ ....
マンションの壁面に宿った
真冬の枯木立あるいは
悩める左脳の血管造影画像
執拗な風雨に晒されても
コンクリートの平面に
蔦は日々を描き続ける
人の暮らしが届かない背中で
意識 ....
いまだに風は
冬を吹聴していくが
すでに光は
春を祝福している
押し黙る蕾は
華やかな企みを内に秘め
気象予報士を惑わせながらも
季節は巡ろうとしている
代り映えの ....
悲しみは降ってくる
思いもよらない日に
思いもよらない所に
悲しみは降ってくる
雲ひとつない晴天に
罪ひとつない午後に
悲しみは降ってくる
そういう時に限って
....
終えて
始めることを
止めた
当り前に
巡ることを
諦めた
透き通った人達の
声が届かないように
ひたすら囀った
正しすぎる風に
猫背を向けて
なけなしの炎を護ろ ....
坂を下りながら考える
答えの出せないあれこれ
ぼんやりと迫りくる YES/NO
一歩ずつせり上がる街
視界の隅に追いやられる空
さざめきが耳たぶを染める頃
わたしは街に均されている ....
駄々をこねて
手に入れたものは
すべて行方知れず
罪の数と罰の数が
同じでないと知ったのは
ずいぶん後になってから
誰かのために摘んだ
花の毒に侵されて
薬指を枯らした
....
未だ血圧の上がりきらない朝
乳白色の靄がかかった意識の西側から
コーヒーの香りが流れ込んでくる
オールを失くしたボートさながら
廊下をゆうらりと彷徨いながら
食卓のほとりに流れ着く
....
そらの珊瑚さんの夏井椋也さんおすすめリスト
(14)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
春
-
夏井椋也
自由詩
11*
25-2-27
冬の窓辺
-
夏井椋也
自由詩
11*
25-1-31
不在
-
夏井椋也
自由詩
14*
25-1-10
誕生日
-
夏井椋也
自由詩
12*
24-10-22
止まり木
-
夏井椋也
自由詩
15*
24-10-9
道
-
夏井椋也
自由詩
10*
24-7-4
観覧車
-
夏井椋也
自由詩
12*
24-6-30
蔦
-
夏井椋也
自由詩
8*
24-6-2
二月十日土曜日
-
夏井椋也
自由詩
9*
24-2-10
ポンコツ
-
夏井椋也
自由詩
6*
24-1-3
年の瀬
-
夏井椋也
自由詩
6*
23-12-16
坂
-
夏井椋也
自由詩
6*
23-8-1
此処
-
夏井椋也
自由詩
8*
23-7-24
食卓に朝を置く人
-
夏井椋也
自由詩
14+*
23-7-15
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