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春隣
朝から夜中までテレビをつけっぱなしにする
私の垂れ流し好きをどうにかしてくれ
うるさすぎて、何ひとつ変わらずに私の冬が過ぎていく
世の中はどうだ。目眩をおこすほど輝いているのか
....
だれでも見えないところに空がある
晴れたり、くもったり
雨が降ったり、嵐が吹いたり
届きそうで届かないのは
空とほんとにおんなじで
何もなさそうで何かあって
そんな空っぽみたい ....
私の詩を
だれかが声にだして読んでくれたら
いいとおもう
大きな
大きな声で読んでくれたらいいとおもう
この私の両の耳にも
きこえるように はっきりと
よんでくれたらいいとおもう
....
今迄の僕は
どれほど多くのまなざしに
みつめられてきただろう
どれほど多くの手に
支えられてきただろう
今、僕は、ようやく
幹の内側からいのちの歓びを{ルビ呻=うめ}くよ ....
なかなかはいはいしなかった周が
ある日突然、棚に掴まり立ちあがった。
「すごい、すごい」
諸手を叩いて、僕は言う。
「ぱ・・・ぱ・・・、ぱ・・ぱ・・」
こちらを向いて、周が ....
家計は火の車4WD
Heはartに
artはHeに
Heartの問題ばかりをなげかける
二00一年十月
白い骨になった祖母が
熱気の中に横たわっていた
八歳の息子が私を見上げる
「お母さん、人ってこうやって焼かれるんだね。」
君に答える言葉がない
だって私も今初めて
焼 ....
オバサン オバサンって ウルサイ!
今は若いアンタたちも
いずれはオバサンになるんだ
その時のために
オバサンの心得を教えておくよ
まず オバサンは
“ 絶対に負けを認めない ”
何 ....
土の時から切り倒された木が
障子の枠になり
冷たさと暑さをさえぎる
みあげていた空は
どこにしまいこまれたのだろう
根もなく 葉もなく
マストのように 飛行機のように
航海が ....
ゆうぐれに向かってはしっている
かえっているのに
だんだん離れてゆくようで
君がならすおんがく
私のみみをこじあけて
はいるよ乱暴にむねのなか
せつなさをきざんでる
なにか後悔さ ....
キヨクアカルイ――君の生き方を見ると、そう言いつつ嘆息が漏れる。多くの声が聞こえてくるけれども、君の声だけは澄やかに聞こえる。他の声とは決定的に違う、芯を持っている、根をもっている。君の名前だ ....
つぶれたスーパーの裏には
ひとり郵便ポストが立っている
その赤いからだは色褪せて
ところどころが剥げている
スーパーとともに忘れられ
....
日記詩
(一)
真昼の銀行、キャッシュコーナーの長い列は
金にまつわる一喜一憂を分かち合うかのように寒いほど静かだ
これはまさに近代の儀式
笑っても泣いてもいけない参列者たちは
残酷な ....
いいことも
わるいことも
関係なしに
うつくしい
ため息さえも
いとおしく
白くかがやく
冬の青空
ワイルドストロベリー / 和名(エゾヘビイチゴ)
苗を買って植えた
幸運と奇跡を呼ぶといわれている
....
あの男が死んだとき
その亡骸をほしいとねがう
ベッドに横たえて
ともに眠り、
おはようと朝をむかえる
腐敗するその ....
子供はめんどくさい
紙おむつも高いし生活費がかさむ
でも先生なのだな
問いかけることを忘れて
処世に汲々としているぼくたちを
ときどき修正してくれる
大切な生き物だ
....
キミはいつもいつも”どうしてかしら?”っていうよね
ウチの”どうしてかしら?”は、疑問文ではなくてよ
それがわかっていただけないのは、どうしてかしら、ねぇ?
センター試験初日
豪華弁当を作り見送った
仕事中も気になる
あっちゅを学童に迎えに行って帰宅すると、
予備校から電話
「わたしは今仕事 ....
本当に怒っているとき
誰にもそれを
気づかれたくない
本当に深く傷ついた時
誰にもそれを
知られたくない
本当に寂しいとき
誰にもそれを
見られたくない
だから
本当に ....
湯に首までつかると
毛穴という毛穴から吐息が漏れる
立ち昇る湯気が
表情筋をひとつずつ解体していく
たぷたぷ
あごの先端から始まった
温かいさざなみが
湯船のふちを円やかに乗 ....
冷たい空から降ってくる
鮮やかな光
あんまり冷たいから
女の子はしかめっつら
行き交う人々に注がれる
輝く肌は薄くて一枚一枚剥がれてゆき
筋肉が想う心が躍動し
....
言葉は形容詞から腐ると
教えてくれた小説家がいた
アルファベットのうえでは眠れない
生み出せ、
使え、
補充しろ、
予備を備えろ。
どこからの声だろう、
聞こえるから動いてるが、
言いなりではない。
言いなりでは、
ない、
つもり、
なのだけど。
日 ....
いくら丼の一粒一粒のいのち
『豆乳いろ』
� はじまり(道)
一月の晴れた朝
来なければよかったなあ
凍りついた道に蒸気
植物みたいな街灯がにょきにょき連なって
私、しゃがんだりたったりし ....
一巻の蝶がほどけ
色と熱を失った記憶の羅列が
瞬きもせずに四散する
錐揉みの燃える落日に
ことばには満たない鱗粉が
乱反射しながら霧散する
重力が半減したかのように
その長すぎる ....
星がみえぬと
嘆くのならば
夜ごとまぶたを
くちびるで塞ぐ
それは塩辛く
わたしは夜に
海をみる
....
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