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目をとじれば ただの暗闇
では なかった…!
目蓋のうら
そこは みずうみ。
湖面に さまざま浮かぶものあり
しぃんと なにひとつ浮かんでこない 凪ぎの日があり
あらしがきて 大荒れの ....
きょう、小学生のとき
はじめて好きになった同級生と出会った
いつものように
タイムカードを押した後でも
とりあえず売り場の前を
いったりきたりしている、そんなとき
彼女 ....
トキエは泣いている。薄暗い納戸の奥の、
紅い鏡掛を開いた鏡台の前に座り、泣きなが
ら化粧をしている。「おかあちゃん」幼い私
はトキエに纏わり付いて、その名を呼び続け
ている。戸外から蜜柑 ....
赤信号が、青になる{ルビ瞬間=とき}
気づいたら右足はアクセルを、踏み
車は、動き出していた
まっさらな明日へ至る
まっすぐな道を走る時
ハンドルを持つ
私の脳は、{ルビ空 ....
無傷のままで生きていけるほどこの世はやさしくはない
「こころいき」
奇跡の勾配を ころがる
空は水色、
水は空色。
鳥が鳴き
あたりという あたりに
しきりは 無い
緑の匂いがする
こけて膝小僧を すりむ ....
存在の全てを否定されたら
君は裏返ってしまった
歩き回る影の様に
光の中に居場所を探す
そこを
白い地獄と
呼んでもいい
頭上の雲は
あらゆる色に染まるが ....
かつて僕は七つの海を知っていた
もちろんエーゲ海や神々でさえ
風は僕の味方僕は自由に世界中の港に停泊したものだ
もちろん君たちのジパングも遠い昔訪れたさ
僕にはエンジンというものはない ....
かなしいような夜が明け
せつないような曇り空
これからはじまる一日は
わたしに意気地を呼ぶだろか
たったひとりの夜が明け
たったひとりの曇り空
オーガンジーのカーテンは
きょうもわた ....
絶対的な漆黒に支配されながら
もう消えてしまいたい、と
泣き続けた夜
だけどそんな闇でさえ
萎え始める瞬間がある
私の意志とは関係なく
朝は必ずやって来るのだから―
地球が営みを辞めな ....
聞きたくない陰口伝えにきた
神様、仏様、ご先祖様、
ぼくは手を合わせて祈っていた。
目の前では先生が怒っていた。
神様、仏様、ご先祖様、
本当に手を合わせてぼくは祈った。
先生はいちにちにいちど烈し ....
ねじれ歪みながら
空を指す木々が
何かを言いたがっているのじゃない
何か言いたくなるのは
それを見ている私
そうやって
ねじれ歪みながらも
空をめざすのをやめないで
吹く風の中 ....
君の色はどんな色?
いじわるな質問ではないから
並んだ色鉛筆から
一本だけ取り出して
君の色で画用紙いっぱい塗ってみる
君の色はこんな色
赤 青 緑 黄色 黒 白
ご覧
僕が選んだ ....
想像できるだろうか
市民生活の中に拳銃が溢れ
拳銃廃絶は絵空事と思われる世界を
想像できるだろうか
拳銃の所持規制に対して
拳銃を所持する権利を
真剣に主張する人がいる世界を
想 ....
妖精さんはそんなに太ってない
I
君は幻想の住人
窓の外に映る
灰色の景色の向こうに
白いバラの咲き乱れる
見渡すばかりの平原を見る
鋼鉄の爪が
肌に残した傷跡
それは
現実を生き延 ....
プチトマトの実がついたと
子供のようにはしゃぐ君の瞳は
まだ昨夜の喧嘩のことを
忘れていないよと言っている
後ろからのぞき込む
バツの悪い僕の視線は
幼いトマトと君の横顔の間を
....
ぼくはカウンターに肘をついて給料日
それこそは至福のときだ
さっきからボックス席の爺婆父母長男次男長女が
やかましく
カンパチヒラメ鳥貝シマアジウニ軍艦
赤だし鶏カラ揚げエビチリ ....
立ち去ったなかの死別のひとは
かなしみばかりを連れては来ない
思い出しては泣くことも
確かにそれは多いけれども
立ち去ったなかの死別のねこは
かなしみばかりを連れては来ない
思い出して ....
痛みとふいの外傷と栄養失調とで
すっかりまいっているわたしの許へ
毎日電話をかけて来てくれるひとがいる
一人は週休制だけれど
きょうももうすぐ来るはずだ
先生からの要請で見守ってくれてい ....
ほんとうに良い仕事をする人間はいるんだ。
いつの世にもどこかにそういう人間がいて、
見えないところで、世の中の楔(くさび)になっている。
(山本周五郎 柳橋物語より)
....
君のことをついついゆで卵ちゃんと呼んでしまうのは僕の悪い癖だが
君が僕のことをゴリラちゃんと呼ぶのはとても心外なんだね
ああ確かに見た目はその通りなんだがそれにしても僕のデリカシーをボロボロにして ....
ウソやないけど
ホンマでもない
アタイの 後ろ髪
「砂浜に抜ける路地」を一つ拾ってきて、波の音
を額縁に飾る。愛という言葉で何を隠したいのか。
行間には関係性だけがあって鞄には入らない。み
んな事情を抱えていて、 ....
言論の自由の中で
わたしたちは饒舌な唖になる
会葬者の囁きにも指先を踊らせるが
本心は棺の中
乾き切った筆のように横たわっている
表現の自由の中で
わたしたちは着飾ったマネキンだ
禁 ....
服を捨てた
どんどん捨てた
着ていた頃の自分を捨てた
服に心をひっぱられたけど
ええいと切って
ばっさり捨てた
タンスはからっぽ
骨になったハンガーが
風にゆらりと揺れている
....
一
セミの抜け殻が立ち上がり
自分を置き去りにした
主を探し始める
何も見えない目で
広がらない翼で
動かない足で
命が生まれ変わる度に
脱ぎ捨てられ ....
いつも物思いに耽っているではないか
夜が明けるときの音が嫌いだ
それにしても静かな音楽が聴けなくなっている
もちろん騒音に酔いしれることもない
鼓膜は伝わる息を避けている
要するに ....
小学校から、
モンシロチョウの観察をするので
イチゴパック2つ
持ってきてくださいと
お手紙が来た
イチゴを頻繁に買う地域なのか
百均で飼育ケースを買った方が安くな ....
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