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さわれないことば
冷えてゆくかけがえのなさ
いつもとぎれてしまうモチーフ
あたたかいスープもないテーブルでは
君の影がゆらめいてみえる
ほんとうは君の髪にふれていたかった
ゆびがい ....
蝶のくちもと
触れる予兆
硬い草色
舐め取るふるえ
粉にまみれた異母兄妹を
泡のように飲み干して
こぼれた光
夜の 市街
皆のところに行けない犬
噴水 ....
僕の人生は
一本の折れた樹
それでもその折れた箇所から
新たな花が芽吹くかもしれない・・・
そうしてそれは嵐の抵抗に打ち勝って
この世に清々しく咲くのかもしれない
人間は負けて始めて
美 ....
優しさを見て育ったから優しくなった
厳しさを見て育ったから厳しくなった
それなら俺は何も見てこなかったんだ
誰からも気にもされない透明人間だが
愛した女が一 ....
ある用事があって久しぶりに
母校の大学の図書館を訪れた帰り坂
どこかから何かを燻らしている様な
芳しいとも苦っぽいとも想える
懐かしいような想い出したくない様な
薫りが否応もなくぼく ....
ひらり おちる
消しゴムのかす
えんぴつを研いだ時の
木の破片
真っ白なノートに書きなぐった
たくさんの言葉たちが
笑う 泣く 笑う
書いては消した 小さな唄
ちっ ....
木々が風に揺れている
甘いだけじゃない新緑の香り
輪郭のない幽霊みたいな緑いろ
こころの美しい象さんのようだ
木々から逃れられずに身もだえている
それを見つめることを ....
母の日がすぎて
枯れるしかないカーネーションが
花屋の奥に隠れている
ありがとう も
ないよ ね
今さら
なんでもない日に
ぼさっと訪れて叱られようか
母にとっての子供でいた ....
ここにあるのはただのがらくた
偽物で繋ぎ止めた
僕の透明な城
見える奴にしか見えない
はりぼての城
僕はそこでしか呼吸ができない
僕はそこでしか物が見えない
僕はそこでしか声を出せな ....
優しかったからキスをした
激しかったから抱き合った
気移りしたから首を絞めた
温かかったから抉り取った
それで一生私の物になった
ボロボロの毛布を子どもの頃いつも持ち歩いていた
それは僕にとって母であり祖父であり分身だった
手放したのは中学の時で好きな子ができたから
今大人になってあの毛布の ....
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幼い日
五月五日
かしわもちが右手の親指にからみつく
ふわふわした髪
大きな耳
口元に大きなえくぼがあった
一瞬の喜び
木の床に ....
確かに歳はとったよ
正直に言うなら老いたのかも知れない
からだは正直に歳月を投影する
そりゃ60年も酷使してきたんだ
無理をすれば音も挙げる
死にかけたことだってある
でもぼくの精 ....
お母さん。喉乾いてませんか?お金は大丈夫ですか?
私は元気です。
初めて貴女への感謝が溢れた時、24歳の時でした。
命がけの出産、私の優柔不断の魂が、貴女を難産にさせてしまった。
....
車椅子の母の髪をカットした
チョキチョキ ハサミで切りそろえる
黒い髪より 白髪の方が多くなったね
わたしは 母が年を取って授かった
上には 年の離れた兄弟たちがいて
望まれないまま ....
古本のあいだにみつけた四葉のクローバー
これをはさんだのはどんなひと
幸福をひとつ逃したのかなあ
それならかわりに僕がもらっておこうか
きみの幸福の受信感度は良好かな
太陽にはいま怪物級 ....
さくらんぼの花が咲いている
うっすら目を閉じ微笑んでいる
ソメイヨシノのような艶やかな色香はない
浮世を忘れようとその下で酒宴を張る者もいない
白く清楚なその花は
....
初夏
少年の頃
お話の木の絵を見た
広葉樹の木陰で
子供達が
眼を輝かせ
耳を傾けている
お婆さんのことば
森や草原を漂い
風に運ばれて
村や町や港や
海や諸国を巡り
....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ
少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
白んだ朝
淡々と家事をこなす女たちのような夜が明ける
現実の襞をめくると、憂鬱に垂れ下がった雨が、湿度と共に滞るように霧状に落ちている
五月の喧騒は静かに失われている
....
雨上がりの傘はステッキ代わり
クルクル回してスキップすれば、水たまりにパシャリ
そして、キャッキャ、キャッキャと
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小さい頃 私は
イチゴは木になるものだと思っていた
あの赤い実はサクランボのように
枝にたわわに実っていて
それを食べるのだと信じていた
....
運命って残酷だよな
俺のダチは雨上がりに
バイクに乗っててさ
高速の小さな水溜まりに
スリップしてバイクはフェンスに
激突してダチは投げ出されて
下の道路に飛ばされて
丁度来たトラッ ....
根付いたまま、窓硝子の曇りでわかる
明日はきっと爽やかな風が吹くでしょう
…おかあさん…と呼べなくなってしまうおふくろ
自分を愛することを捨てた 。
あなたの背中を拒否するように
....
そんなこんなで途中下車
ここはどこだか畑が広がって
葱ばかり
綺麗にぴんと立ってます
空を眺めたら
雲ったら
そんなにすがすがしく
ゆったりと流れていたら
私は馬鹿のパカパカみたい ....
運命とはかくも恐ろしい偶然に過ぎない
あの日の笑顔は誰の為だったのか
流転する世界に一人取り残され
メビウスの輪にさえ入れずにいる
本当は赤いキャンディーが欲しかっただけ
(振り返る
)ここには何もない
ただ山がある海がある
血はながれている
(繰り返す
)ここには何もない
夜が閉じ空が明けたら
静かに眠るだけ
....
あるスピードをもって
街の夜明けをめぐっていると
かどを曲がるたび
まあるい月が現れては消え
消えては現れるのだ
四角い建物の影に
あるいは影から。
黒い樹々のあいだに
あるい ....
大切なひとに
みじめな思いをさせたくなかった
幼稚園のときからそう思っていた
ぼくの誕生会
使いふるしの鉛筆を持ってきた君
それがいちばん嬉しいふりをした
君は ....
朝にそれは
にぶく光り
夜になると
横たわり眠る
昼まに
のぞいてみたときには
四年まえのわたしを
しずかに抱いて
泣いていた
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