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退屈について考える退屈
緑色の小鳥が歌います
夜の夢という名の
美しく透明な時と場所で
小さな嘴で泣くように歌います
墜ちたら死ぬのさ
飛ぶしかない
飛ぶしかない
それが僕の一生なんだ
....
薔薇にとまった蜻蛉の複眼が
通りすぎる女を見る
巨大な硝子張りのビルディング
窓一枚一枚に映し出される
其れ其れの場面の
姿を、姿に、姿へ、姿が
パイプオルガンのパイプを通り
....
今宵の月は、燃えている
爆発を反復するプロミネンス
立ち上がる火柱に 閉じ込められている一車両の電車が
あらゆる過去と あらゆる未来の間で ゆれている
ゆくえも、ゆきさきも
よく、もえて ....
小学校の教師は
満州の寒さを語った
近所のおっさんは
突撃の仕方を語った
母親は
配給の乏しさを語った
父親は
出征の誉れを語った
街では
白い軍帽を被った脚のない人が
人通り ....
糸のように細い茎
葉は小さなハート型
切って
水に挿しておくと
傷つきやすい神経のような
白い根がはえ
土に植えると
再生する
そうやって
いくらでも増えるクローン植物
....
凹んだままもどらないこころを
あえて膨らまして生きている弾力をおもう
生きることに引きずり回され
足下がみえないまま歩をすすめて行かねばならない
立ち止まるわけにはゆかないのだ
それが残 ....
誰も書き置きを見ていなかった
フルーチェを作った
冷蔵庫で冷やして
お風呂上がりに
娘と二人で食べた
フルーチェのメロン味が
美味しいねと娘がいう
幸せというのは
....
ひとりでメソメソ オーケー オーケー
ひとりでプンプン グッジョブ グッジョブ
ひとりでゲラゲラ いーんじゃなーい
弁当を作りながら
異能する君は謎の生命体
昨日までの怒りと不満が
女のカタチに脱皮して行く
鉤爪は残したままで
朝は不躾に明るい破魔矢
夜明けの夢を葬り去って
吉凶を告げるかのように ....
冬の午後を
公園に置き忘れたので
急いで取りに戻った
言葉を頬張りながら
塾へ急ぐ子どもたちと
光速ですれ違いながら
公園に着くと
理科準備室から
そっと盗んでおいた
雲母の標本 ....
夕闇が嫌いな人たちは
原子力でそれを追い払う
宇宙から見る日本列島は
真夜中でもくっきりと浮かんで見える
世界中で一番明るい列島
誰がそれを見つめるのか
数十人のアストロノウツ ....
疲れ果てて
ひとりでボーッと昼飯を食べていたら
タカエちゃんから
ちっちゃな人形をもらった
富士子ちゃん?
えー知らないんですか〜
コップのフチ子ちゃんですよ〜
コップのフチ ....
目を瞑って鍵盤にそっと乗せるだけで
軽やかに舞い始める私の十本の指
やがて目の前にお洒落なショパンが現れて
揺れる私の肩をそっと抱いてくれる
「お母さん、私ピアノを習ってみ ....
庭に花園を作って楽しむのは
未来を
思うこと
球根は裏切ることなく
毎年花を咲かせるし
宿根草は年毎に株を大きくする
一年草は種を落とし
思わぬところから芽を出している
白いつるバ ....
ジャンケン ポン
鬼だー! 隠れろ!
春の鬼ごっこ
小さな女の子たちが隠れる場所を探している
木の陰へ
路地の奥へ
鬼が来る早く隠れないと……
慌てて
建築資材倉庫へ
独りで逃げ ....
廃屋に一本の桜が立っている
誰一人愛でる人もなく
人知れず枝を伸ばし
花を咲かす
月明かりの夜
街灯に照らし出されて
ぼんやりと薄桃色の
その姿を浮かび上らせていた
夜の静寂に ....
携帯は見ない
家事はいっさいしない
仕事のことは考えたくない
窓も開けないで
一日中 ボーとして
無為の時を過ごしている
病気じゃないけど ....
目的の連鎖を辿っていくと 最終的に幸せに辿り着く 本当にそうですか 人間の行為の目的は幸せばかりじゃない 人間の行為は 大きな悲しみのためにある 大きな喪失のためにある 大きな怒りのためにある 掛け違 ....
サービス問題がサービスじゃなかった
私の顔は古い写真のようだ
いや
私の顔は古い
このアパートに来たときにトイレの棚に置いた手鏡は
ほこりまみれで
何の役目があったのやら
ほこりまみれであること以外
何も特徴の ....
小さいころ、春になると
ばあちゃんと手をつないで
つくしを摘みにいった
いつも風が強くて
河川敷にはいっぱい
つくしが伸びていた
シャツにてんとう虫をつけて
ビニール袋につくしとタンポポ ....
そして
げんこつが口から出なくなっている
そして
窓もない玄関もない俺の部屋
そして
掃除してエアコンつけて誰もこない
そして
スロー再生しておっぱい見えない
そして
口裂け女の胸を ....
よく晴れた朝
新しい職場へ向かう
昨日の特訓で疲れているけど
今日も頑張れる
覚えなくてはならないことがありすぎて
頭がぱんぱんになる
あまり眠れなかったけど
ちょうどいい緊張感だ
....
【いとおしい 石】
真新しい制服をきて
さあ これから はじまりますよという玄関で
籠の鳥が けたたましくないていたから 鳥にも
ありがとう 入学してくるねって 声をかけ
ただいま ....
お年玉付きハガキに残暑お見舞いされている
寝てる間に僕は
バージョンアップされているらしい
知らないうちに新情報がインストールされている
過去と未来の脈絡もなく
誰かと入れ替わったことにも気づかず
昼夜を問わず
意識にのぼる暇もな ....
短い夢の中で
大声で泣いた
会いたかった
探した
追いかけた
夢の中では
心が息を吹き返す
例えば
一日の疲労にゆらゆら身をまかせ
バス停まで歩く道
夕焼けでもない
うす曇り ....
激しい頭痛に酔って
電柱に頭突きして
奥歯がカチって鳴った
目の前には
泥まみれの天使
泥まみれの天使が私を見上げている
泥水溜まりの中から
泥まみれの天使が私を見上げている
泥ま ....
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