冬の海
乱太郎

               
季節の足跡が白い凍土となり
剥がれた絵の具のように
海鳴りが景色に仕方なく張り付いている

此処には君はいない
それでも此処は君のいた場所

今日君はいない
それでも昨年君のいた場所

遠くから
鴎が

銜えているのは僕の明日
太陽が拾ってくれた
冬の海
そして君

固い季節の汽笛が水平線をなぞり
無人の冬の海に停車する
降りてくるものはいないはずだが
もしかしてと
胸に十字架の祈り

冬の海に消えた足跡
そして
夕焼けに焦がされていく想い出


自由詩 冬の海 Copyright 乱太郎 2013-03-13 14:38:38
notebook Home 戻る