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ふくよかな夜のしじま
淡く月が傾いでは
歌のような冷気が背を撫ぜます
もう気分は
お江戸の幽霊
火の玉提灯ぶら下げて
足なんざ有りゃあしませんよ
ひと気がないのは尚結構
夜道は一人に限 ....
仕事場のドアを開けると
早く来て掃除をしている筈の君がいない
代わりに卵がひとつ床に転がっていた
とうとう君は卵になってしまったのか
私には何も言ってくれなかった
淡いピンク色を ....
咳をしてもひとりじゃない
背中から魂にかけて
羽が生える
手帳を破り捨ててコーヒーを沸かす
電卓であがりを計算し
海中で月の大気を求めた
カレンダーも
孤独もない
あるのはもちろん
言葉にならない雰囲気 ....
コートのポケットに
どんぐりが三つ
入っている
きのうの夕ぐれ
近所の公園でひろった
小さなどんぐりたち
てのひらの上で
ころころ転がしてみたり
両手で温めてみたりする
....
昨年末開業いたしました「雀のお宿」 過日、一組のお客様が賑々しくご出
立されて以来、お声を掛けてくださる影も、お立ち寄りくださる方も見かけま
せん。昔のように、近所を徘徊なさる群雀さまの賑や ....
わたくしは鋭利な球体
鬱血した魂のむらさき
情熱と酷似した粗暴に焼かれ
焼失した楽園の輪郭をなぞる
背骨を抜かれて自慰に耽り
名札のない隠喩の銛が刺さったままの
つめたい消し炭の太陽
....
わたしが歳をとる
髪は白く
乾いた肌には
無数の皺
あなたが歳をとる
....
霧を晴らして孤独であった
人には身体があって
それを包む心があって
更には世界がそれを包み込み
玉ねぎのように、
剥いても、剥いても
涙しか出てこない
私たちは
芯なのか
それとも ....
右に左に吹く風に
流されながらバランスを取り
逆らっているようで風に乗り
高みに登ってしまった凧よ
風を詠み
目立たず
叫ばず
場に溶けて
ひっそりと生きている ....
「すみません。おひとりさま1パックまでなんです。」
その日
特売の卵を2パック
かごに入れていた老人は
無情なレジ係にそう言われ
1パック取り上げられていた
解けかけた雪が
昨夜 ....
仕事柄
保育園や老人介護施設を訪れる
人生の入り口と出口
もちろん私は後者にちかいあたりを走っているのだろう
少々息を切らしながらも
保育園児に捕まるとなんどでも同じ質問をしてくるの ....
僕は目を瞑り
夕暮れの国道に彷徨う仔犬のことをちょっとだけ考える
カーラジオから明るい声が
逃げ出しちゃった犬の情報を
お寄せくださいと呼び掛けている
犬の種類 大きさ 毛の色
首輪 名前 ....
やっと会えた母は、とても穏やかな顔をして眠っていた
真新しい白装束 解剖の痕跡も知らず
すでに身体は綺麗に浄められて
「コロっと死にたい」
いつもの口癖通り、突然の呆気ない最後だった
入 ....
普段の私は40Wくらいの明るさで
人に会う時は60Wになる
さらに仕事中は
100Wの明るさで全開だ!
しかし100Wの電球は
消費電力が大きい過ぎて……
電球がすぐに切れてそうになり ....
そのダジャレ言わないと死ぬの?
小さく洩れるアナタの声
頬をつたうアナタの涙
そして、愛がまた溢れる
水割りはゆっくり作りたい
自家製の大きい氷を厚いグラスに入れ
今日の自分に会うために必要な量の
ウイスキーを氷に浴びせる
重要なのは
ミネラルウォーターを
ゆっくりゆっくり
氷を洗うよう ....
人間であることを返却する前に
再び人間となることを予約しておく
すばやい林檎の色に待ち伏せされては
夜道を歩く闇の物思いにかすかに混じっていく
滲んでくる朝と縫い合わされるために
人 ....
海に裏切られ 花に批難されたら
枯葉にも笑われる生き様
ヒューっと 大きく豪勢な車が
目の前を風のごとくに走り過ぎようとするよ
ハンドルにしがみついた女の人
なぜ ....
フラワーデザイナーの看板が雑草に埋もれていた
<ふたりのテーブル>
なんとなく用もないのに
無性に話しかけたくなって
でも何も用がないのに話しかけたら
あきれられるんじゃないだろうかと怖くなって
コーヒーが飲みたいと言ったら
いつも
....
こころは洗濯できるものだろうか
いつもその時どきなりの
こころで生きれるように
できるものならば
天気の良い日に
やさしい風の中に
干してみたいものだ
昔
何かの本で読んだ記憶
「大海原」を
アイヌ語では
「シャーンルルー」という
でも
いくら調べても
そんな事実は出てこない
出てくるのは
海は
シャーンルルー
....
葉を落とした蔦は陰鬱な妄想
囚われた家も人も沈黙を叫ぶかのよう
十一月は開けっ放しの箪笥
風や霙しか仕舞われていない空の空
冬は心の真中から始まる
だがものごとの始まりは不明瞭
....
朝、外にでる
太陽を浴びて
風さえもすり抜けて
瞬間のみ全てを忘れる
受け入れるのか忘れるのか
同じことだ
タバコを吸う
記憶が駆け巡り
千の恵みだ
これこそサウザンハーベス ....
{引用=
心の 光合成らしきものを
うしなった日
一人掛けのテーブルに
書置きをのこし
家出する
…
…そこは、街路のきえた荒地
枯れ葉が、錯乱したさき
風の音に ....
『腐りかけが美味い』腐っていた
私の領域の中の
私の恋人という役割は
苦も無く他の誰かが務めるのでしょう
けれど私の領域の中に
あなたが消えたことで生まれた空白は
なんと埋まり得ないものでしょう
あの人でも
....
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