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シンプルな化学反応
AとBをまぜて加熱すれば、詩ができる
Aはあなた Bはわたし
時々家に帰ってくる君に
野菜を食べさせなくちゃと料理する私
君は
張り切らなくていいからと言う
じゃあね、また来るからと
出て行くときには
うん、またね
あっさり見送る
君が初 ....
わたしはわたしの詩の中から
書いているわたしを見つめていた
ある日それは贅肉を削ぎ落とす行為
やがて臓器を切り売りして
かつて愛したものの首を絞め
部屋中に灯油を撒いた
見限ることにしたの ....
ものごころがついた頃から
僕はどこまでも透明に近い
風船だった
鳩時計式の心臓から伸びる
静脈と動脈が一番こんがらがったあたりに
震えながら潜んでいる僕自身を
誰もがたやすく見つけ ....
がんばれと言おうとした口から二酸化炭素が出る
その人は初めに水のこころについてはなした
澄んだ水の中からうまれる
詩について
素早く動く魚影を追って
澄んだ水の中にだけ住む言葉を
手掴みにして詩をすくう
その人は今日 死者の位置 ....
一ヶ月半に一回
一週間
あなたが入院する
おれは
その日
一日だけ
したたか
宝焼酎を飲み
したたか
あなたの
輝きを
おもいだす。
いまも。
おれは
トトロに
なる
きみが
メイ
のような
ひとだから
本日はお待ちかねの映画館である
空見上げれば花曇り
いかにも上天気
これぞ絶好のシネマ日和というもの
イッツァビューティフルディ
おなかはペコちゃん、まずは腹ごしらえっと
....
それは個人的なこと
ごく私的な部類
青い空が
僕の瞳に映る
ひんやりした風が
僕の頬を撫でる
かじかんだ手が
いっこうに温まらない
そう
それは
個人的な話
....
水槽の中を泳ぎ回るネオンテトラを見続けています、
いますと、空に浮かぶように小さくて、愛らしくて、
、こうしていつまで眺めていても見飽きないのです、ですが、
話かけていると話かけてくるので ....
秋の空は澄んでいて
すすきの穂も揺れて
淡い気持ちがどこまでも
流れていき
ぼんやり眺めていると
空は遠くへ遠くへのびていく
私はだんだんだんだん
小さく小さくなっていき
米粒に描 ....
青臭い茎を裂いて
心地良さげに破綻の痛みを噛み潰す
細道だらけの旅が古着のように似合っていた
友よ
ただただ蠱惑な蛤の歌声が
あの括れた坂道から
忘れ物の顏でそぞろ出でる
ああ無明のチ ....
グリルの中の
魚のように
何度も
何度も
裏返され
生焼けのまま
今夜も
薄明かりの下を
彷徨う
行けど
行けど
見つからない
百目の案山子が
跳んで追いついてくる
ぬか ....
知恵の輪にペンチをそっと
壁に掛かった能面たちは
電灯に照らし出されると
生き返る
幼い子には
能面たちの話す声が聞こえるのか
じっと見つめ後ずさりする
激しい風雨の夜は
般若面が半開きの口の奥で
歯を ....
陽が沈むころ
コウノトリのコウちゃんは鉄塔に帰ってくる
ねぇ、コウちゃんいてないわ……。
洗濯物を抱えて二階から降りてきた妻がいう
鉄塔のてっぺんで夜をすごすコウちゃんは、まだ三才
個体 ....
石っころがなみだできずにいる
こんなに乾いていても
空よ、いま降ってくれないか
一行の意味を問う
わたしのために
春夏秋冬と指折れば余る
小指のか弱さと引き寄せ合ったのだろうか
団地の片隅の淡い木陰に埋もれながら
小鳥が一匹 翼を広げて死んでいた
この空に雲があったとしても
自らの質量にも気付かない ....
歯ぎしりしないよりは
するごまめでありたいと思う
井戸の底から出られなくても
空を見上げる蛙がいい
賢い猿になれずとも
見て聞いてものを言い
出ないより
出る杭でありたい
....
トイレに駆け込み排便する
ああ、すっきり!
尻までしっかり手を伸ばして拭き取った後
レバーを下げれば
ばい菌まみれの そのおぞましい物体は
あっという間に流れ去る
そのうち臭いも消えるだろ ....
心が凍えそうな夜
カレーなんだな
みすかしたように、カレーなんだな
僕の家ではないわけか
見えない風を捕らえたとき感性と繋がる
探し物はやはりあるべき場所にあり
行方知れずは僕に存在した
tabooとされる亡骸にくちづけて
くちづけての此の地の温もり
はぁーとため ....
灰色に覆われていた重たい空は
夕方から雨に変わった。
わたしは宿の大きなガラス窓を打つ
雨の音を聴きながら
目の前のドッグラン広場を見ていた。
窓を伝う雨にわたしの顔は
....
水面に垂らした絵具みたいに
水面に垂らした絵の具みたいに
ぼくらの想いは留まることなどないのだけれど
異なる2つの色がきれいに混じり合うみたいに
異なるぼくらの手と手が重なりあう内 ....
からからからから囁く声
冬の神様が
落ち葉のカードで占いしている
シャッフルシャッフル
さあ一枚ひいて
雪が降るのは明日です
とたんにゴーと風が吹く
この忙しい年の瀬に
冗談じゃな ....
ごシュウギ目当ての
全国オセロ大会が始まる
以前は俄然合戦
セイトウ的陣取りゲームの囲碁だったが
近頃では多くのイシが
「我らシロにもクロにも決めかねまする」
投じ ....
デジタル信号に変換された
音色の濁流から
そのUTAをすくい上げたのは
ただの気紛れだった
はけ口を求めて迷走する魂を
水先案内するように
君のUTAは胸の裏地に棲みついて
僕の ....
心文字ひとつ摘まんで放る
向こう見ずを
他人より先に
僕は笑う
打ち寄せる波音
胸の辺りに
掛け違えた言葉
打ち寄せる
タワーの影に潜り込み
....
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