すべてのおすすめ
夏の昼間の空は
澄んでいて
空っぽの
わたしの頭のようだと思う
どこまでも青くて
遠く冷たい宇宙と
頼りない月に
手を伸ばしている
呼吸も
愛情も
欲望も
暑くて仕方ない ....
曲げた躰をハートの形に触れ合わせ
あおく短い空を翅ごとに掴む
(静かに震えながら)
何を見ている
何を感じた
(水と血が滲じむと)
小川に沿って気流が乱れ
深い茂みが盛り上がる度 ....
雨は涙ににていてね
いつかこぼれるものなのよ
どんより空を見てごらん
うるむ瞳にみえるでしょ
雨は涙ににていてね
とまらなくなるものなのよ
空がわんわん泣くのなら
今はいっし ....
午前七時三十七分発の電車に乗りたくて
はや足で のぼる小路
それでも
目の端がとらえてしまう 小さきモノ達よ
短くなったタバコの吸い殻
路面にひろげられたまま貼りつく ....
小さなグラスにウイスキーをなめなめ
夜更けて
行くのを知る
そういえば私の影は何処へいったでしょう。
「探しにでもいったのでしょう。」
あら、何 ....
うごく小さなゴミの塊
しゃがみ込んで足もとのキミを摘み上げる
「モップスリッパみたいじゃないか!」
と
カナブンくんに挨拶する
どこを
どうあるいたら
こんな ....
踏みあぐね
手桶の中の
桔梗色
舌で探した螺旋
ささめく人の葉の
鳥のように途切れた
輪郭を
探るように炙る
ああ破顔
時けちらして
蔓巻く祈りの向こう
海耳にあふれ
見上げる ....
道の途中で、
一緒の者が笑い始めた
相棒は笑いながら
「もうお終いだよ」と言う
そんなことはないよ
いつか終わりかどうかじゃなくて
僕たちはちゃんと生きている
相棒は歩くのを止めた
....
にぎわう児童公園に
一人やって来た その子
砂場の隅っこにしゃがむと山を
つくりはじめる
子連れの大人は
見知らぬ子だから声を掛けてみるが
自分のつくり始めた山に夢中な ....
おりひめとひこぼし
地上が雨で見えないときこそ
ラッキーと思ってるはず
一年に一度しかあえないなんて
神さまひどいよ
七夕がいつも雨で
人目を気にせず会ってもらいたい
いやいや ....
暗闇の中には沢山の物語がある
パリの老いた靴作りが
ハンチングを傾けてかぶっているのは
むかし街の女に
とても粋だわ と口笛を吹かれたからという話
それでそ ....
一人でふたり分の荷物を整理する
なんて過酷で残酷な(笑)
やり始めるとやっぱり記憶に飲み込まれそうで
それでも時々、楽しくて
壁のシールを剥がせば そこだけ白くて
こ ....
雨
{引用=水}
に
針{引用=が} 蟻
革
の本
インク
{引用=は}
柔らか
{引用= 𝘪𝘵}{引用=+}
刻印
香料 ....
我が家では
いただきますの後
ニャー と号く
あの日から
そうしてる
魚屋さんには夕陽がさす。それは、雨が降っ
ていても、モールの中でもかまわずに。その
匂いの中に ....
給料日 仕事上がりに立ち寄るATM
その銀行の隣に花屋がある
軒先、白い看板には飾り文字で「花音」
店内は細長いスペースで奥行きあり
入り口に色とりどりの花の苗が陳列していた
....
変な 顔の子だった
くしゃみをした犬の子の様だと人が笑った
その子が 二十歳をすぎて
段々と美しくなって来た
笑う時、口許に愛嬌がある
と人が言った
いや 目もとが ....
枯れちまった海で
魚は息はできない
また涙で溢れるまで
いつからか
私のまわりを古びた影が踊るようになった
冷たい唇を
心臓にぴったりとはりつけて
やがて
血汐をすいとってしまうのではないか
だが
....
その視線はどこを見るでもなく
誰を みるでもなく
そして何に
留まるでもない
体になじむポロシャツと
洗いざらしな作業ズボン姿のおじさん
きっとシルバー人材センターか ....
ネズミにかじられた日々
錆びた釘
二階の楽園から逃げ出して来た蝶がテーブルにとまっている
青い翅に書かれた詩
息と息の間の甘い舌のもつれと苦い錠剤の散弾が
古いR&Bのむこうとこちらを煙のよ ....
いまとなれば
遠いおはなし
うすい膜のなか
半透明の階段をのぼる
(あしおともきこえない)
くうきの浸透圧で
うかぶ猫の蒼い眼が揺れる
水の音が、間隔をおいて、したた ....
風の中に雨がむせび
雨の中に女がむせぶ
長く長く
細く細く
胸の中に
容赦なく風が吹きこむ度
血潮のいとおしさに女はむせぶ
過ぐる日 ....
誰にも故郷があって
それが心の拠り所と呼べるものでなくても
またその地を踏んでみれば 何か思うものがあって
私はなぜだか 駅に降りたら涙が込み上げてきた
帰ってこれたことが ....
地元走るローカル線を
無人駅で降り
山裾へのぼる細い道で足を止める
通りすがりの一軒家
枝葉被った鉄の門
奥には木造の二階建て
厚地なカーテンひかれたままの窓
....
頬をなぶる風
ひるがえる恋情のように
雨を呼び
低く速い
雲は濃淡に光をにじませて
空のようにこころをしぼれるか
燃えさしの骨をひろえるか
瞑った太陽の頬をなぞるように
数える指 ....
ある人を喜ばせる役目を終えて
そのメルヒェンを忘れ果て
路上に居る様には見えなかった
マスコットキャラクターの小熊
目的のある足は目も触れず通り過ぎて行く歩道で
しゃがみ込ん ....
既に色褪せて重たく落ちている花片を
踏みながら歩む林の中は
もう黄昏ている
椿林の木立
わずかな隙間から
聞こえる波濤のどよめき
腰をおろしてみなさい
....
幻灯機に噛まされたスライドがまた一枚語り始める
手探りである気がする 壁に阻まれて進めないから
薄墨色の夜に無様に徘徊する すがたばかりだった
冷ややかな輪郭に沿って指先が触れる、
....
ゆうぐれ、ぼくの家のすぐ目の前にある小さな公園、だいぶ涼しくなってきた風、古いブランコがほんのすこしだけ揺れている。その座板のうえに置かれている、子供用のリコーダーには、しかし老いの枯れ葉が何まいも詰 ....
積乱雲を想って
紫の渦あじさい
順呼気に澄む
ふくらみ過ぎた花と緑は
まるで巨大なくるみ型の舟
或いは脳みそ
私はミソスープに伸ばした腕を
食卓の
小鉢に触れたいと ....
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