みどりが丘で
salco

あひるは腰かけていた
石のおいろはみどりいろ
あひるはそこへ腰かけて
誰かが来るのを待っていた
誰かが喋り声を出すのを
じっと待っていた
しんしろの太陽は黙っていた

これらの人を知っている
黒くて痩せた、
赤い骨をした人だよ
かれらはあたいの友人で
ぱんたらぱんたら
あひるはつぶや
あひるはつぶやく

こういう風でおりますと
長い野原のてっぺんを
汽車が通った
てっぺんって言うのは
野原の縁だ
あすこ
ほら、あすこだよ
汽車っていうのは距離を運ぶ

カシミールからやって来た
ガンジラ・ハハールが
むらさきのずた袋を頭に巻いて
たんぽぽと風といっしょに
飛んだ
ナガスフンダ、ナガスウンダ
赤いダリヤが虚に咲いた

きみどりいろのペン先の上
夏木綿の貴婦人が
二人の子供と昼食中
ぴんたーるとぴんたれん
あれは、あの頃だったろうか
山羊は問屋の袋から
新しいワンピースを出した
風吹いた

春しい 
春らしい 
春はるしらへ
まあるい落下傘が
雲からゆっくりと


自由詩 みどりが丘で Copyright salco 2013-03-18 23:43:01
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