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よいこのみなさん
もう 帰る時間ですよ
じこにあわないように
みんなで気をつけて帰りましょう
耳慣れた防災無線の放送に今日ももう終業か、と時計を見ると
まだ4 ....
職場でりんごをひとつ貰った
婦長の実家が青森のりんご農園なのだ
あっちゅが
「丸かじりしたい!!」
と言うので、洗って手渡すと
にこにこして持って行った
「食べ終わ ....
会いたいな
会いたいな
今年もやさしいあなたに会いたい
いつでも私を見かけるたび
やあお嬢さんと挨拶してくれる
薄紫色の私のドレスを
きれいだねって褒めてくれる
また今年も
....
おやすみなさい
今日の日は過ぎた
明日は親知らずを抜きに行く
二週間前に予約して
あっというまに
今日が来た
虫歯になっていますから
治療したとしてもどうせ
使いみちのない歯だ ....
略したほうが長い
ゴミ処理場だって
場外馬券売り場だって
下手すりゃ
コンビニだって
隣に出来たら
文句言う訳だからさ
自分ら使うくせに
要は距離の問題なのよ
自分家から遠けりゃ
例えばアフリカに ....
{引用=
忘れ去られた化石のように
書籍がたちならぶ
黴は 胞子のにおい
博物館の展示品さながら
標本とみまがい、
ここでは もう誰も
紙に書かれた物語を
手 ....
人の体温に恋して
霊は家に住み着くらしい
頼んだわけでもないけれど
周りにたむろする木や草の
のぞき込む好奇心を追い返し
昼間 人が出かけても
テーブルの下 柱の陰
ドアの後ろの暗が ....
形見だったのか喰っちまった
昨日の私は、耐えるだけ
今日の私は、むせび泣き
でも、明日は笑ってやるの
ジョンレノンが歌った
目を閉じれば生きるのはたやすい
開いても見えるのは誤解ばかり
それでもいいと思うのだ
何も知らなくていい
観念ばかりが先走りするよりは
いま見えるもの ....
空想の翼と妄想の足枷
境はあっても壁はない
空と海のように
神学と罪状を彫刻された
流木は風と潮に運ばれる
翼もなければ鰭もない
時折 鳥が降りて来て憩い
流木の節くれだった目を ....
何かを始めるのに
手遅れなどということはない
始めた時が
始まりのとき
手を伸ばした時が取り返すチャンス
足を踏み出した時が
新しいスタート
空を仰いで
深呼吸した時が
誕生 ....
私にとって秋は蟻ほどに明確な季節ではありません
私にとって秋は蜂ほどに運命的な季節ではありません
私にとって秋は鈴虫ほどに激しい季節ではありません
今朝。私の手のなかであまりに柔らかく容 ....
心惹く美しき余韻
冷えた心を温めて
次第に生温い波間
から波紋し緩やか
に抱いかれる余韻
この温もりが胸に
染み付いて時折は
高低の波に抱かれ
息を吹き返しては
再び三度の出会い ....
あなたは口癖のように
お前は俺の女だと言う
でもあたしは人形じゃないの
ちゃんと心を持った人間なの
あなたのその幼稚な
支配欲には辟易してるの
分からないでしょうね
低能なあ ....
●●●●
....
ふりつみて
漆黒のまつげの先に
しんしんと
どこかでだれか
涙する
まつげにつらら ....
どんな日でも
廻り続ける
人生は
風車を巡る
羽根のように
日はめくるめく
時には
騎士道物語を
読みすぎて
本当と物語の
区別がわからない
竜騎士となって
大空に
翼を ....
私たちは、壊滅したデパートのビルの地下へと海を見に来ていた。崩れた天井が手が届きそうな所で踏み止まっている。陥没や隆起の激しい足元には、黒い藻のようなものが生え、その隙間から切れ切れに見える白線が唯一 ....
あなたは余命四十年と二ヶ月です。
突然そう言われても
私の頭の中は
まだ結構先あるんだな
でいっぱいだった
ぼんやり、
麻酔が効いたままで
よろめきながら帰り道
側溝におちそう ....
カフェかと思ったら美容院
げんこつが口から出なくなっている
うちの家より散らかっていて安心している
いちじくは
花を 外に 開かない
いちじくは
内側に無数の花をつけ
やわはだの秘密を 隠し持つ
ある日
たったひとつの いちじくの実に
たった一匹の 蜂が来た
....
金色のにおいは6月の
花嫁御寮のかんざしで
紅いにおいは8月の
海がかくした桜貝
淡いはかない香りは10月の
踊るガボットの薄茶色
揺れてかすれて散り落ちる
北風のひとすじのままにさ ....
久しぶりにその眼に出逢ったのは
スーパーへ出かけビニール袋を両手に下げて帰ろうとしていたときだった
歩道の隅で停まったままの車椅子に乗っているひとがいた
その老いたひととぼくの眼が遇った
....
僕の<ありがとう>に
羽がはえて
僕の<あり蛾とう>が
飛んでいく
特製オムライスを作っている
君の左肩にふんわり
とまると思いきや
君の脇腹をつまんで
帰還する
<最近 ....
もう会わないと決めた時から
もう頭の中はあの人で一杯
好きだと言ってくれる人には
嘘をついていればそれでよかった
嫌いになってくれるから
でもあなたにはなぜか
嘘がつけずに ....
秋の夕暮れ
床に漂う冷気に足を漬け
おとこひとりタマネギを剥く
まな板に乗せ 包丁を持ち
玉ねぎの白い肌が
病床の妻に重なって
ためらったおとこから
逃げたタマネギ
床から拾 ....
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