すべてのおすすめ
自分の人生をいきればいいのだと
私が受け入れられたのは かなり後のこと
そしてまた きっとまた
見失うこともあるだろう
だから 心に
心に小さな灯火を
....
撹拌された
街の音や願いが
クラシック風の音形をなぞる
やわらかな丘の群で拾われる古代
おしゃべりな小鳥
衰弱しかないその聲に
仮託された笑みは
発点してしまえばいい ....
窓に触れたグラス
あたたかい湯気は
あまいかおりにみちて
ふるい指のあとだけ
けぶれずいました
扉の向こうはいつも雪
雪がじまんの町だから
子どもらはいつも元気で
....
落葉果樹に比べてミカンは
こう切ればこう枝がでる
とか
果実は何センチおきに
とか
そういうふうにきちんとは行かない
なので
落葉果樹に比べて
ミカンはいいかげんなやつだと思われが ....
落胆を胸元からのぞかせて
あやめ色
切る風もなく
地をつたう眼差しに
まろぶ木漏れ日
翅ふるわせる
仰向けの蝉の腹は白く
罌粟のつぼみ
空き家の庭でふくらんで
子音がとける死んだ ....
ジャンジャン横丁を
制服姿の女子の二人乗りが突っ切って行ったのは
もう十数年も前になる
後部に座る子の脚が長いのか
見送ると大胆に
自転車の幅からすんなり伸びる白が左右 ....
JRの車輌、
扉の傍に立った私の向かい側にいて
身を寄せ合う二人の男性
つい見惚れてしまう私の目には
まるで月のもと
ただ蒼白く静まりたる世界で
澄んだ瞳に引きし ....
庁舎の旧館は通風が悪い
配席の奥まっている課長のデスクまで
冷気は届かないから
窓を 通常開けておきます
出張先からまだ還らない課長に
明日午後の会議の資料を机上へ置きに来た ....
朝のスープの
セロリの香り
悲しかった様な気がする昨夜の夢を
おぼえていない 朝の靄
一匙ごと かるくスプーンを動かしていると
一口ごと すくいとられて胸の中へ流れこむ
....
六月はもう
むし暑く
医療用コルセットを巻くと
腹部が汗でむれる
窓の外を見ても
空はどんよりと深い水の色
濃すぎる緑に
むせ返りながら
ものうく
大気は ....
ある晴れた日に一軒家の庭で
赤い五枚の花片をしっかり開く大きな花を
母と見たのは昔の話
花の名前が思い出せずに 覚えた小さな胸さわぎ
茎が真っ直ぐに伸びた葵科の花
「この花は ....
仮設足場組立工事が始まると
いつの間にか ダークグレーな防音シートは
しのつく雨に暗く、まるで
封建制度の時代にたてられた牢獄の様に
そびえていた
からだのモヨウが ....
あこがれとあきらめは一本の棒の両端だ
わたしはあきらめを手に取って
虚空の真中を指し示す
逆ではだめだ 間違っても
あきらめこそがあこがれを純化し
手遅れだからこそ輝きは増し加わる
処刑台 ....
おふとんとわたくしの
さかいめがおぼろげ
すなのこまやかさで
ぬりこめられて
まぶたをきちんと
とじたまま
きょうのしごとについて
まとはずれなだんどりをくりかえす
お ....
会社の敷地内にある貯水池に
六月の雨が
ひたすらに降る
ヨシが競いあって緑茂らせ
水中は水草の藻やアオコで光も遮断された
濁った水面に 呑みこまれていく雨の音
空もな ....
起床してシャワーを浴びながら30秒でイク、ブレインテック AV を観た
着替えるとレンジグリルで冷凍のモーニングセットを温めながら
エスプレッソマシンでカプチーノ・コン・カカオを淹れる
マネクサ ....
はじめ 波に生まれた感情
つのり 膜をゆっくり震わせた
音は 太古の海を あたためるような
音楽となり いのちを紡ぐ
例えばそう
ひかがみ、おとがい 耳朶 耳穴
それら座標が 定めにく ....
熱帯植物のあでやかな緑生い茂る中に
消えていった友人の後ろ姿
呼吸の度 緑の香が私の心染めてゆく
樹々の名前など知らない
私の身体中が
心中が
熱帯樹のしめり ....
水面を埋める
蓮の葉が
大きな葉っぱばかりでなく
伸びた茎の先々で
小さな葉も立ちあがり
陽を透いて
静かになびいている
まるで{ルビ摩周湖=カムイトー}の様な水辺に ....
子が産まれる、とわかって、
しっかり喜んでみたのだが、
まだ、わからないのよ
そうか、まだわからないのだ
無事に産まれてこない胎児たちもいる
産院の、陽がよく入る待合室
お腹の大きな妊 ....
路上に散らばった散弾銃の薬莢を拾いながら朝早くから昼過ぎまでずっと歩いていたんだ、それが本物かどうかなんてことはどうだってよかった、サバイバル・ゲームに使われるチープなものだって全然かまわなかった ....
夜の雨は何かを伝えようというのだろうか
泡立つように一つの感覚が芽生えてはうなだれ
いつもように日々が過ぎていくのを
僕は目を少し開けては眺めている
昨日少し生まれ変わり、風の子供の歌を聴いた ....
輝いた肌を白シャツで包み
黒い目を持ち
広い肩を持ち
その人は今日
目の下や口の周りに軽い擦過傷があり
絆創膏を貼っていました
柔道部に所属していて黒帯なのは知っていまし ....
僕の隣に立つ女は長身でショートカット
切れ長の吊り目が奥二重
パーマのかかった短いまつ毛
手に布製のブックカバーを持っている
ああ、どうして彼女は
こんな下地の色に淡雪の様な ....
日の傾いたまち角で
ふと立ち止まってながめ見る
昼顔
香り無く素っ気ない素振りに見えた薄ピンクの
一日花
そのアナタが一瞬だけ、わたしへ
ふるふるっ と 照れくさそ ....
あ、風くる、風くる、土曜日の公園で急に磁石のように方角をかえて真鴨の黄色いクチバシのように極端に長い、先の尖ったヘルメットが思わずぼくの眼球にぶつかりそうになる。そんな被り物をした一人の中年のメガネ男 ....
灰色の空に
厳しい線を画いている古城の天守
何百年の年を支えてきた様に
あなたは私へ
愛を 支えようとしてくれている
それなのに
私は人の心を
見つめられ
ない
....
駅前で少し遅めの「朝定食」を食べる。
ご飯、焼鮭、大根おろし、味噌汁、生卵、漬物という定番だ。
客も少なく静かなテーブルに座り、ゆっくりした朝を過ごした。
バス停がある時代を生きている。僕は ....
過去も未来も
遠いところなんてものもなくて
ほんの少しの場を
くり返し くり返し
生きているのかも
眠るたびに
改ざんされる
フロッピーディスクほどの宇宙
私は何にでもなれるし
....
熱いゆげをわけて
ちりれんげですくって
ふう ふう 吹いて食べるのです
舌の上にのせた豆腐が
かすかに香って崩れる時
ふと時間は逆戻り
勤め帰りのスーパーで
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260