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{引用=二人の旅行}
迷い込んだ蝶が鍵盤にとまった
ゆっくり開いて
ゆっくり閉じて
あなたは水へと変わり
音楽は彫像となって影を落とす
わたしは感覚と記憶
去るものと共に流れていった
 ....
  
         
叔母さんのお葬式の日
その娘であるいとこが言った
お棺の中に手紙を入れてもいいんだって
良かったら 手紙を書いてくれない?

控え室に便せんとペンが用意されてい ....
夜がやってきて
水槽を満たす

僕らは語りあう
想い出を あるいは
それに似た何かを

僕が君が僕が忘れないように
君が僕が君が忘れないように

水槽の中
青や緑にゆれるもの
 ....
飾りのパセリは、
最後まで皿にあった
涼しい夏の朝に、
君がはじめに運んだのは
5秒ビシソワーズ。
――トマトジュースと牛乳の、
かんたん冷製スープに、
ちょこっとだけ ふり掛けた
マ ....
{引用=少女アデリーの失くした人形のために}
暑い日にはアスファルトに足をとられてしまう
あえぐ憐れなペンギン
目標を喪失した花鋏
放置されたまま錆びて行く殺意
間の抜けた 横顔の
驚きで ....
いかんせん この雨
出るに出られんわ 風
ますます出れんわ
カミナリまで
鳴る始末

今日は何して過ごそう?
コーヒーの中に浮いてみたい
角砂糖と場所取り合って
ゆらゆら揺れてた ....
「よぞら」

星のひかりとぬくもりを
お湯に照らした星たんぽを
かぜをひいているあなたの
足元に
しのびこませて

消えていく

のを、桜の花びらを
鼻にひっつけてしまった
黒 ....
{引用=どうしようもないこと}
絶望を綴ることに何の意味があろう
だが綴ることで絶望は虚構に変わり
また綴ることで希望すら捏造し得るのだ
詩は演劇性を持つ  
演劇は祭儀であり呪術である
 ....
疲れ果てて目が覚めたのは
眠っている間によほど遠いところまで旅してきたからかもしれない

虚脱した魂を空っぽの器に見立て
ピクニックのお弁当のように
ひと品 ひと品 飾り切りして詰めていく
 ....
詩人たちが眠る森で
私は目覚めた
魔女たちが夜空をとびかい、
光る無数の妖精たちは、
夜つゆを飲んで歓びはしゃぐ
草木の葉を揺らし、
紅いキノコのまわりを
皆で踊り囲んで! 
よいか、 ....
猫のように見上げる
空のまだらを
鳥に擬態した
ひとつの叫びが
紙のように顔もなく
虚空をかきむしる

骨の海から引き揚げた
もつれた糸のかたまりを
自分の鼓膜にしか響かない声を持つ ....
アンテナの上
カラスがめずらしく寒そうだ
度を越した愛撫
風だけがご満悦
抗いながらも抗えず
樹々もさんざん掻き毟られる
その有り様を見て見ぬふり
家々の窓はぬらっと景色を滑らせる
― ....
子供たち

遊ぶ
白い獣、
むき出しの


ビスケット

緩やかな陽射し、
庭の歓声、
他愛ない時の流れの
そのひとこまに、
静止した
笑みは
遠い空に消え

 ....
14歳の頃 心から信じていた先生が言った
「今の君には無限の可能性がある」
「でも君がそのうちの1パーセントの可能性を選択した瞬間に、残りの99パーセントを失うことになるのだ」と
それは冷酷な  ....
静けさでいっぱいの部屋
その中心は何処かと
へその尾や砂時計
そんなくびれで繋がって
むやみに染み出して来る
圧力 その張力
部屋は膨らみ丸みを帯びて
閃輝暗点 歪んだステンドグラス 
 ....
夫が「コロナ感染者濃厚接触者」になって帰宅した

お相手とお互いマスクはしていたけれど
数時間対面で事情を聞いていたので
後からわかったのだけれど
「コロナ感染者」との濃厚接触者と認定された ....
かつてこの星には100万の
小世界があった

1億の集落と1千の都市国家
黄金の旗がなびくここちよい風が

すべてのサーガがいまでも生きている
きみは英雄でもなくパーティーもなく
大河 ....
{引用=不実日和}
声は裂ける傘のよう
いつかの夏を絞りながら
蜜蜂の愛撫に
義眼を転がして
女の雨脚は
蜥蜴たちの抱擁をほどく
鞄の中で犯された
天使の羽根が舞う丘
青い爪を持たな ....
押しボタン式の信号が青になったので、
数名の幼児を連れた保育士さんとおぼしき人が声を掛ける
「さっ、渡るよう」
すると先頭の子どもが尋ねた
「どうしてわたるの?」
すかさず若い保育士はこ ....
ちょっと寂しいけれど熱っぽい宇宙
ワンダークールな時間の始原をゆめみる

いつも隙間だけで君を愛せたのだろうか
それともそれはただの幻想だったの

いつも反論がむなしいように
そのひとが ....
 草心 1

{引用=
その薄さだけで
大気にさらされ
風に嬲られる

大気という
混沌の暴力のなかに
その薄さだけで


 草心 2

{引用=
折れるほどの細さに
 ....
{引用=週末}
雨はガラス越しの樹木を油絵に似せ
開きかけた梅を涙でいっぱいにする

雨は河住まいのかもめを寡黙にし
水面の泡沫は作り笑いに変わる

だが雨は歌っている 
運命のように ....
痛みのある坂道を、
転校を繰り返しながら
遥か下を見下ろして
どうにか登ってきたつもりなのだが
もしかすると、
本当は転がり続けているのかも知れない
高校も一度、退学になったし
大学も三 ....
{引用=人魚}
樹はなめらかに地に裾を広げ
自己と向き合う静寂に包まれている
幹は根元の少し上から二股に分かれ
片方は太く もう片方はやや細い
幹が重なって見える角度を探すと
上に向かって ....
昔、17の頃
漢検2級を取ったことがある
余命わずかの父は
送られてきた賞状を
額に入れ壁に飾った

ぼくはすこし嫌な気がしたけど
今そのことがふと思い出され
父の心がスっと入ってきた ....
哀しみあるいは悲しみを
膝の上に乗せて
よく眠ってくれるから
ひと時煙をくゆらせるように

ギザギザした鍵を
胸に刺したり抜いたりして
酒と音楽でにじんだ幻を孵したい
ああこの夕暮れが ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」


 以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
{引用=まどろみ}
種子は雷鳴を聞いた
意識の発芽前その核が
ひたすら芯へと引き寄せる
死に疑似した時間の中

最初に震動があった
そうして微かな熱
やがて忍び寄る水の気配
たった今 ....
もののあはれとはそれは
風の包帯
先だつ批判をやわらにつつみ
まるで
{ルビ苫屋=とまや}に吸われるもんしろ蝶
ひなたの蜥蜴
春の
ことぶれとも
網にかかるのは風に騙され
流れ着いたポリ袋
それとも詩の振りをしたがる風が
書き散らしたメモ書き

アパートの一室で
誰にも知られず
死んだ男の履歴

携帯電話を所持していても
誰 ....
そらの珊瑚さんの自由詩おすすめリスト(7661)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
生前供養- ただのみ ...自由詩8*21-6-19
手紙_________─_人を悼む_─__- Lucy自由詩7*21-6-14
水_槽- 塔野夏子自由詩4*21-6-9
忘却のパセリ- atsuchan69自由詩6*21-6-6
嵐と晴天- ただのみ ...自由詩6*21-6-6
やだ困る- 花林自由詩321-6-3
春だった_ツイッター詩- 田中修子自由詩821-6-2
死作――詩に至る病としての- ただのみ ...自由詩5*21-5-30
朝のうた- Lucy自由詩421-5-27
残骸とひこばえ- atsuchan69自由詩8*21-5-25
安息日に詩を書くことは許されるか- ただのみ ...自由詩10*21-5-22
ガラスの精進- ただのみ ...自由詩3*21-5-16
残光- atsuchan69自由詩10*21-5-15
空の扉- Lucy自由詩12*21-5-11
鈴の舞踏- ただのみ ...自由詩2*21-5-10
「コロナ感染者濃厚接触者」ですって- 鵜飼千代 ...自由詩20*21-5-10
サーガ- 梅昆布茶自由詩1021-4-25
愚の原石- ただのみ ...自由詩4*21-4-25
「さっき駅前の横断歩道で…」- Lucy自由詩3*21-4-20
うた- 梅昆布茶自由詩1521-4-20
小詩集・草心(そうしん)- 岡部淳太 ...自由詩821-4-18
頭痛の小悪魔- ただのみ ...自由詩5*21-4-18
丘の上のじぶん- atsuchan69自由詩2*21-4-16
モノクロの天国と極彩色の地獄- ただのみ ...自由詩3*21-4-11
漢検2級を取ったことがある- 道草次郎自由詩11*21-4-11
この夕暮れが- ただのみ ...自由詩5*21-4-7
詩の日めくり_二〇一五年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩17+*21-2-13
至って不真面目- ただのみ ...自由詩5*21-2-13
ことぶれ- 道草次郎自由詩11*21-2-9
変死- Lucy自由詩7*21-1-25

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