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深い亀裂に射し込んだ座標軸の影
鳥たちの鳴き声がする
目が覚めるとほとんど記憶を失っていた
二日間眠り続けたその男は
夢の中で一生を終えたと言う
男はしばらくしてすっかり人が変わってし ....
あの豆腐屋の
角をまがったら
朝がくる
豆腐屋の朝は早く
....
蟻んこの墓は小さ過ぎて見えない
やっぱりそれは土の中
甘い罠にはまった末の
ガラスの蟻地獄でもない限り
だとしても
斥侯も出さない女王蟻が
弔意を示す訳がない
無きに等しい一介の
労働 ....
しょうふは
おかねでかわれた
そのうみを
ふかいふかいうみを
おかねでかえない
きみをうみが
とおくみている
このまちに
きみがいるとしってから
このまちは
きみになっていた
きみとすごした
このまちが
きみであるように
きみとすごした
このまちが
ぼくなのだった ....
形あるものいつかは壊れる
じゃあ少しずつ変化させましょ
丸いものには角を足し
四角いものにはやすりをかけて
それで続いていくのなら
素敵なことじゃあありませんか
行かないで、希望の贋作 ....
さして間もなく惚れました
そして間もなく晴れました
涙がほんのり滲みました
案外あっさり乾きました
願いはいくらか満ちました
想いはいささか欠けました
新たな痛みを知りました
....
【 {ルビ凸凹=デコボコ} 】
ちょっとしたことで
ああ、自分はダメな人間だなぁー
と {ルビ凹=へこ}んでしまうことがある
次々によぎっていく
失敗 恥 屈辱の {ルビ凹=負}の記 ....
私は沈黙と一度話してみたいと想っている
沈黙は一体どんな声で話すだろうかに
興味を覚えるのがひとつの理由であるが
それ以上に沈黙を必要とした
数多の蜂起や謀略や反逆の
密談が為された時
....
歌い尽くされた
メロディ
書き尽くされた
ことば
創作なるもの
無尽蔵か
個性なるもの
確たるか
自意識が
固有であるという幻想
すべて形なき混沌
個性の殻に安住 ....
神保町の老舗・さぼうるで
戦後間もない頃から
50年、入口に立つ
80歳のマスターに、僕は尋ねた
「毎日が単調にならない秘訣は?」
「特にないねぇ・・・最近体調悪くてねぇ・ ....
心の空が雲に覆われそうな時、僕は
右手に家の電話の子機を持ち
左手に携帯電話の子機を持ち
番号を押して、両耳にあてる
((もしもし))((もしもし))
自分の中の、相談役と聴き ....
目が覚めたら未だ朝日が昇る前だった
窓を大きく開けて空気を入れ替える
清涼な大気が肌を潤し湿った苔の匂いが頭脳を静めてくれる
美しい夢をみていた
雲の切れ間から射し込む陽光
それを反射し ....
湯上りの
乳房に手をあて
ため息ひとつ
気がつけば
しんなり弛み
さち薄し
あのひとの
....
みちがもうないのだ
ゆきにうもれて
そのみちを
みちだとしんじて
ゆくのがよい
わたしもずいぶん
ねゆきになった
はるになれば
めがでるだろう
ねゆきのそ ....
わたしがつけたなまえだ
あめ、かぜ、ゆき、こおり、
そのたいろいろ
わたしがつけなかった
なまえが
ここにあるだろうか
こどもになまえがあるように
ははにもなまえが
....
きみに、
いのちを ふきこむために
まっしろな こくうから
かたちあるもの へと
きみのてを ひく
あたたかな うみへと ....
愛しているよとささやいて
私の心
を盗むあなた
断りも無しにと腹立たしさを覚えたとしても
ある意味期待していたのは確かことで
四十六時中、あなたのことだけを考えていた自分に気付く
....
水たまりでいきていたので
干からびそうになってはじめて
陸というものをしりました
底というのは
怖いものではなかったのですね
こんなにもすぐに
わたしをつつんでいたものが
消えて ....
蘇生のイキをするように
そっと虚空に
言葉をはなったとき
言葉はすぐにちりぢりになってきえた
あの日の
あの青空には
二度とであえはしない
....
まだ6時前だが
僕はカウンターのいちばん手前の椅子を引く
マスターが早かったね と言いながら
僕のアーリー・タイムスのボトルを出してくれ
磨かれたオン・ザ・ロック用のグラスがひとつカウンタ ....
ねむれぬ夜に枕抱き
布団のなかで寝乱れる
寝巻きの裳裾はだけては
さむいさむい ....
寒さが緩むと
凍りついていた月光が溶け出して
暗い穴の中にも
虫たちの道を通って
滴り
滴って
ヒグマは
浅い眠りの中で
霞がかった
春の野山を
夢に見る
....
わたしの胸元に
棲みついた龍へ
きみが宿った朝は
ゆるやかな大河のように
ゆったりと開眼した
鏡を覗く視線が
きみの眼のように ....
愛するものを失うことと
愛するものを亡くすことには
天と地の開きが在る
それは失ったとしても
その生はこの地上に在るが
それを亡くしてしまうことは
その生が無であることを
思い知らさ ....
さぁ 胸をはって
鼻のあなを
おもいっきり開いて
しんこきゅう しんこきゅう
スーハー スーハー
しんせんな空気を
胸のなかに吸いこんで
心のモヤモヤをはきだす
しんこきゅう ....
ピューと
赤いストローから
飛びだす
しゃぼん玉たち
ふわふわと
ただよいながら
ごっつんこして
はじけた
木の枝にぶつかって
はじけた
カラスにつつかれた
ピューと ....
おいっ
おいらたちを拾うんじゃない
可愛いからって 持って帰るなっ
おいらたちは種なんだ
ちゃんと土の中に埋めてくれよ
いつかは立派な
どんぐりの木になるんだ
池に放りこむなっ
....
昼間の嘘(あまりにも夜の真実)
人間が嫌い(おもちゃ箱だけが友達)
ひとなみな幸せがわからないから
ひとなみに暮らしてはいけないのと
(わたしの
わたしの
わたしのうちの誰かがそう ....
なぜだろう ひとりで見上げたい空がある
なぜだろう ひとりで歩きたい小道がある
踏み拉かれるのはいつも名もない草花たちだ
(ほんとは名前があるのだが
(呼ばれてうれしいか 知らないが
美 ....
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