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塩を振られたなめくじは
縮みあがった僕なのです
縮みあがった僕だけど
今は一児の父なのです
一児の父であるならば
縮みあがった、この体
自分らしくのそぉりと
濡 ....
会社から出ると
タワーマンション、星、ときどき月
夜風に見送られてなぶられて
いちにち使い終わった命
あっという間に洗濯されている
ぼくは地震から助かるために
....
姉に電話をすると
なぜかチビッ子達が
電話に出るんだ
会話にならないのに
覚えたての言葉を
全部使って
僕に話し掛けてくる
意味なんて
分からないよ
意味なんて
分からない ....
ある朝 目覚めたら 部屋には 誰も居ない
机の上の 置手紙 さよならと お袋の文字
何が何だか 分からないまま 俺は 親戚中たらい回し
親父と お袋 愛し合って 一緒になったと
死んじまっ ....
靜かな小夜の幕が落ち
氷がカランと啼きました
喉を刺すのは涙の小骨
盃を重ねど取れませぬ
刺さった小骨持て余し ....
何故なのだろう
人の後ろ姿に惹かれるのは
遠ざかる人ばかり見てきたからだろうか
その人の前にはその人なりの生活があって
日常が息づいている
そういった ....
光が次の
季節を連れてくる
風はそれを
押し戻そうとする
雨が次の
季節を置いていく
人はそれを
なかなか見つけ出せない
ひと雨ごとに
行きつ戻りつしながら
季節は摺り足で ....
たまになら食べてもいいかも。と、軽い気持ちで言ったが最後、有名なわけでもアンニュイ雰囲気なわけでもないファミレスで、大して好きでもないナポリタンの大盛りをつつく羽目になってしまうように。詩作 ....
唄う
地方都市のサラリーマンが
心的外傷もなく
向精神薬を服用することもなく
休日には家族と公園であそび
給料日にはささやかな宴をひらき
母が「膝が痛い」と言えば病院に連れて行き
....
隣り合う湿ったカケラ
やせこけた舌でふさいだ
= = =
....
もしかしたらだけれど
ほんとうにもしかしたらだけれど
ひとはひとを殺したいという
本能を持っているのかもしれない
でもこれももしかしたらだけれど
ほんとうにもしかしたらだけれど
ひとは ....
もし今
自分が百歳だったなら
その時代をどのように後世に伝えるか
その時代をどのように感じていたか
本当はその時代がどうあるべきだったのか
百歳の老人は
その時代を
そのよう ....
画家はさかさまの
恋人たちを描いた
恋人たちは
地に足が着いていないから
ということで…
となりに黒ヤギがいた
絵をさかさまにした
地に ....
不思議だ!
なぜか洗濯物をベランダで干していると
詩作のアイデアが浮かぶ
わたしの詩の神様は
物干し竿にぶら下がっているのだろうか?
わたしの長所は頭の悪いところだ
そのお ....
それはふるふると
震えて 膨らむ水滴のように
壊れやすく
ちりちりと 止むことのない
焼けつくような痛みでもあり
胸を締め付ける
救いようのない憧れだったもの
未熟だった孤独 ....
そのジャケットにはかもめが飛んでいた
水晶の静寂が永遠の砂から響いて
僕の胸ポケットの中には人生の請求書しかなかったのだけれど
静謐がほしかったそれ以上に孤独が
体のすべて ....
おみくじの凶とか
占いのワーストとか
軽んじる君は
向かい風など
もろともせず
両足で立ち
見定めた方向に
確実に
向かっていく
君の強さは
有りたいと願った
希望 ....
冷たい風
花のかたちに似ている
= =
偽善者はそっと船を出す
逆さまの煙に色をつけて
= = =
成長して僕は
ここにいるよ
降り続く雪に 何かあったのか
急に停電になる
夜の十時を回り 真っ暗
のはずだったが ほのかに明るい
雪明かりが 窓の外から輝いている
どこにもやりどころのない雪が
家の回りに山の ....
赤十字の理念は紛争や戦争の前線に於いても
独立と中立の姿勢を貫き助けを求める人を
平等に支援することだとされる
それは敵味方に別け隔たることはなく
傷ついた兵士も助けることだとも言う
....
忘れ去ることは出来ない
うしなって
刻みこまれた
命を
そよぐ草の青さ
宙へすいこまれる
むこうで
平原が
かたむいている
ひっそりと
ふってくる雪の音
つらぬいてゆく
道 ....
ふるえるのは、風がふくからだと、夢の人はいった。
あるいはあなたのたいちょうがすぐれず、ねつのよう
なからだから、みえない思いがはっしているからであ
るのかもしれない。そのようにして、ぶるぶると ....
無骨な魂の素描をさらしたあの頃
恋は糖衣に包まれた苦い薬
駄々を捏ねても得られないものがあることを知り
喪服を脱げない大人になった
今 砂糖とミルクを入れてゆっくりとかきまぜる
あなた ....
イヨマンテの夜をききながら
体をたぎらせ、心をたぎらせ、
床の中で小さく雄叫びをあげる
*YouTube イヨマンテの夜(伊藤久男)
http://www ....
事勿れに
もたれていれば
時は水よりも速く
流れていってしまう
大人の一年は
ジェットコースターの3回転
得意なのは
相槌のルーチン
言葉は水より滑らかに
受け流すに限る ....
「いってきます」とあなたが私に告げてから
もうどのくらいの水が橋の下を流れたのでしょう
おんなの直感でしょうか
もうあなたは私の元へは帰らないと
私はそう想ってあなたを見送りました
....
嫉妬なんかしてない
さびしくて
心配なだけだ
鼻血をだしたり
しつこくしたりするのは
隕石のせいかも知れない
氷川きよしの
新曲のせいかも知れない
....
子規は三十五で死に
二万句を書き
どれもが粒ぞろいだったという
病苦を記した散文を読むと
いたたまれなく 苦しく そして
生きる には濃度が 密度があり
濃淡があると思い知る
僕の思案は ....
君よ
エセな聖書で
春を行け
今日のヘッセはご機嫌で
シルクハットでご登場
石畳広場に蝶を飛ばし
舟遊びに楽団引き連れ歩いては
ことごとく林檎酒に耽る
酔っ払ったなら
森の古 ....
何もないところから生まれて
ふりそそぐ雪片
その結晶の
ひとつひとつを確かめたい
純粋で
静かな構成に
私は憧れる
かつて卵だったころ
なにも知らなかった
幸せも、不幸も
ただ ....
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