天井の上で暮らす
パラソル
天井の上で暮らしていると、
ほこりがころころと転がってくる
僕もまけじところころ転がって
天井の上を走る配線コードにからまる。
スパゲティのような気分になる。
えんとつのけむりで窒息する
木造の家に不釣合いなレンガのえんとつが
巨大なようかんのように圧倒的に襲いかかる
僕はむせながらほこりと一緒に転がって現実逃避する
時々、階下に住む家族に、ばかやろうと叫びたくなる
叫び声の振動で、あいつらの胴体を震わせてやりたくなる。
俺は影だ。ここにいるんだぞ。
ほこりと一緒に転がって、灰色の水玉になってるんだぞ。
叫びたい。ばかやろうと。
この窮屈な空間は、物が落ちてくる心配が無いぶん、
自分が落ちる心配がある。
つねに落下の恐怖と戦いながら、ゴキブリとも戦う。
むなしく床をたたく。
いつも横になって寝ている。
断食をしているような気分だ。
実際はそこらへんのネズミをつかまえて、生で食ってる。
階下に降りて、冷蔵庫を物色したりもする。
暗闇の中で、暗闇と溶け合うのを感じながら、
ゼリーを食ったりしている。