海になる体へ雷の槍をふらせる
うねる波の頭の
ひとつひとつへと
国産みの神を模倣して
空になる体は
すみやかに 確固とした
愛の執行を撃ちつける
脊髄どうしがリンクして ....
一台のテレビがゴミ棄て場で
ずっと雨に濡れている
その画面の
モノクロームの砂嵐の奥に
きみの分厚い唇がうかびあがり
散文で語ってください、
散 ....
バーガーショップで働けと強要された
北米の留学先で
バンズにレタスとトマトをはさむ時
どうしてもケチャップが包み紙に付いてしまって
その度先輩に怒鳴られていた
ガールフレンドと来店し ....
狼が疾風となって駆けるのを
ぼくはただただ見送るばかりだ
(ぼくには強靱な脚がない)
狼が鋼となって獲物を狩るのを
ぼくはただただ見守るばかりだ
(ぼくには牙がなく爪もな ....
予言者になるなんてことは簡単なことだ
予言者たちはたいていの場合災厄の予言をする
脳では一日に五万回程度の思考が行われている
そしてその大半がマイナスイメージの思考だ
だから災厄の予言はひとの ....
飛沫が冷たく飛び回る、橙から深い青に変わっていくグラデーションの下で。
静かに流れ続ける。僕と彼女の存在する痕跡が、透明な潮鳴りによって覆われていく。
海へ行こう、と言ったのは ....
同じ音楽がループする
感性がスポイルされていく
鈍化するファッション性
何ににもなれないもどかしさ
あなたの腕の中にいたら
他になんにもいらないのに
あなたは自分の世界に帰っていく
....
『曲者!』と 座敷わらしを槍で刺し あれから彼女 音信不通
マンションの隣の部屋は家賃安 やたらめったら自殺ある部屋
驚いてもらえぬ私 幽霊をはじめて5年 まだ未熟者
気がつくと起き ....
ある時私は翼が傷つき
二度と飛べなくなってしまったが
水面に落ちたので死ぬことはなかった
でもその日から
私はカワセミの標的となってしまった
私を殺しに降下してくる
七色の体を持つ美し ....
膝をついて
頭(こうべ)を垂れて
祈る姿勢で打ち拉がれて
水なんて飲んではだめ
小さなキスを送りましょう
乾いた土のような皮膚が、崩れない程度にそっと
お母さんが死んだからって ....
人生なんて
偶然と気まぐれでできている
人間は愛と欲望
運命は 神の悪戯とため息
複雑にしているのは人間なんだ
眼を凝らしてみれば
単純な線描写の世界が
広 ....
窓のそば夢見る少女一人立つ
精神を病んだ少女の見る夢は
幸せな普通の家庭手に入れる
そんな子を心配そうに母は見る
社会から隔絶してでも守り抜く
歳月が立っても少女は少女のまま
苛立と焦 ....
肩上から指先にむかってながれる一本(くだ)を
ふき こすり たたけば
装置はあやしく
黄昏もする
段々畑にくみあがる椅子に 沈み
ホールそのもの
の
しずくのような響体構造が 浮く
....
わたくし この秋
襲名いたしました秋明菊と もうします
いえ 裏なぞ ござません 正月を飾る裏白のように
裏は 白でございます 暗躍者のみなさま おひけいなすって
裏は白でございます。表 ....
悩んで
迷って
ぐるぐる ぐるぐる
でも結局なんにも捨てられない
なら
楽しんじゃえばいいじゃん
ぜんぶまぜちゃうジュースみたいに
そのうちきっと
お腹ん中で消化されるでしょ
....
名前がないもの
例えば
うだるように暑い夏の日に 天井から落ちる 水滴
絞首台のロープの先で踊る 顔の隠された 身体
例えば
晩夏の路地裏で拾い上げられた セミの抜け殻
あなた ....
差し障りのない罪を
いくつも背負い込んで
眉の間に深い縦皺を寄せて
のうのうと生き長らえてきた
脱ぎ捨ててもいいような昨日を
ご丁寧にたたみ込んで
誰が見てもわかるように
不幸の ....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
房総の
浜辺で信じた
存在の
あなた 今頃
どこの海にて
遠い目で
何千万の うねる波
眺める{ルビ表情=かお}が
どこか似ていて
この{ ....
{画像=110927215321.jpg}
(扉絵:雨傘をさしてニッコリ笑うボクのアップ)
(絵?:雨傘をさして飛び出して行くボク。地面には大きな水溜り。)
雨降り
お迎え ....
熱帯夜が明けた
翌朝の駅前通り
ハンカチを頬に押し当てながら
駅へ向かう街路樹の下に
無数のセミが落ちていた
電車を気にする私や
数歩先を歩くYシャツの人の
慌ただしい靴音が ....
現住所に越して早4年
アシナガバチと共存して早4年
越して一ヶ月目に
換気扇から進入してきた時には
家中大騒ぎだったけど
今では お互いに干渉しない!ってことで
良い距離 ....
手持ち無沙汰に見上げれば夏のような雲の動きと
山すそは無残に切り開かれ
ひとの忌み嫌うものの一切合財を
そのはらわたに黙して受け入れているのか
それとも受け入れざるを得なかったのか
....
聴こえますか 聞こえますか
私は一定軌道を回る孤独な人工衛星
何千回もつぶやいた孤独な詩
誰かいますか?
答えのないまま問い続ける
誰かいますか?
地球と言うゆりかごの外に ....
貴方が囁く愛の言葉なんて
もう要らない
それが真実のものだなんて
思わない
切れる寸前の蛍光灯のような
途切れ途切れの白い光に手を伸ばす
この耳に届く頃には
誰かのノ ....
ある日 ふと目覚めて 当てなき旅に出る
見送る者はない 道連れは影法師
そして君に出会い 共に語り合って
癒えない傷を見た 微笑みの裏側に
はるか遠く 旅に出かけよう 心のおもむくまま ....
時の器に
夜がすこしづつ満たされていく
眠りついた月の横顔
埋もれた砂時計の砂丘は、はだしのぬくもり
天よりふる砂を見つめては
閉塞されたガラスにふれる
砂の音はや ....
たった1年で
大人になった猫は
春には泡立つ光の匂いを
丹念に嗅ぎ回りながら
ひとつ歳をとり
夏には風呂場のタイルの上に
長々と寝そべりながら
ひとつ歳をとり
秋にはふ ....
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いつもの道で
ある日気づいた紅い花
昨日もあったのだろうか
燃えさかる炎の様に
必死の形相で咲く紅い花
葉のない茎の上で
ひと塊の想 ....
踏み出せず 躊躇する君の背中を{ルビ戦=そよ}がす 小粋な潮風
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