この眩しい青空と比較してみる
かもめを探す
敢えて口にしない哀しみ
沖に流されては潮/騒
に引き戻され
わたしには縺れあう術がない
風またつよく、 荒い波
そして、
一 ....
あのとき祈ったとおりになった
だから生きている
世界は
ぼくにだけ語りかけている
あなたにだけ語りかけている
それが生きているということ
朝露が
葉先でゆれる
あなたに
出逢えて良かったと
別れを惜しむように
きらきら
ゆれている
またいつか、は
ないけれど
またいつか、と
ほほえんで
さいごの
さいごに ....
八丁湖に近い里山の中
築130年の古民家をマスターが再生させたという
彼は光の彫刻家漂泊の魂
彼のミュージアムで光の芸術を見せてもらう
暗やみのなか中心となるオーロラ様の赤 ....
ぼくがきみの好きだった表情は
泣くのを見せまいとの泣き笑顔
悔しさをぼくにも見せまいと
弱音は吐かなかった泣き笑顔
その表情を見れなくなったため
ぼくもいつしか憶えた泣き笑顔
....
エイハブの 煮えたぎる執念はない
サンチャゴの 生業における死闘もない
ただほんの一瞬
銀色の飛沫 宙に身を躍らせた
美しい魚の姿
七色の光の欠片をまき散らし
碧き海原に滑り込んだ
海の ....
{画像=120310162519.jpg}
*
ぼくくはいつもあこがれていた
顔を上げて目を瞑れば
見えてくるものがあった
*
夜になって布団に ....
降り続いた氷雨の残り香と
幽かな血の臭いがたちこめる
その日の屠殺小屋は静かだった
赤い肉がまだ少し残された
一頭ぶんの、豚の外皮だけが
壁にだらしなくぶら下 ....
お昼まえのひかりが真白だった
じっとりと固く熱く股間が膨れていた
こんなに愛しい
前髪を撫でてあげながら
体をいじめることだけを考えていた
150もない女の子を泣かせていた
ふたりぼっち ....
あいちゃんのおちゃわんは
ぷらすちっくでできています
あいちゃんは
とうとうみつからなかったけれど
このおちゃわんだけは
どろのなかから
みつかったと
おばあちゃんが
はなしてくれ ....
かつて収監されていた何故
どの小鳥の羽根をもぎとった罪なのか
それとも母を殺し身内の愛を根こそぎに
うりとばしてしまった哀しみのせいなのか
外への出口は自働ドアだ
ド ....
市の図書館は総合文化センターの一階にある
駐車場から入るとホールがあって催し物の案内や地域の特産品の紹介コーナーとかがあり
そこに地元出土品展の案内の女性が立って二階へと入館者を誘って ....
旋律のない歌
死なない死刑
敵のいない戦争
死のない生
文字のない本
結審しない裁判
沈黙しかない議論
性行為のないポルノ
狂人のいない精神病棟
どれも ぼくに似ている
い ....
それを悪く言わないで
寝て起きて 食べてまた寝て
気がついたら食べてる
自分って動物だったの
そうだよ 動物だったよ
そうだよ生き物なんだ
無意識が恐い?
たまには意識を ....
とりあえずキリトリセンを入れてみる
別れ話のリハーサルとして
雨が降る 地中に埋まるすべてもの
かばね弔う雨が降る
帰り道忘れず戻ってくれば ....
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もがく
もがく
泳いでいるつもりなのに
もがいていた
救命ボートもない
....
じつと待っていた感情が対象とともにやってきてこころをつくる
こころは波うちまた対象も変化して感情も泡立つ
月夜の魚は狂おしくかつまた慌ただしく波間に飛び散る月の光を追うている
島 ....
もう此岸で待っている
ひとなんかいない
でも川の向うにたくさんのひとが
待っていてくれる
懐かしいひとたちが待っていてくれる
掌を返したひと
嫌いだったひと
軽蔑されたひと
梯 ....
フローリングから
朽木のような背骨が生え
天井を突き破ったのが
つい先日のこと
割れ目から
微かにのぞく青いもの
青空と呼ぶには
少し ....
うすい板に
はさまれた
弾力なみずは
あらゆる喧騒や献身をすり抜けて
自己だけが知る
ちいさな孔をめがけて滑り込む
みずがみずだけを知る自己へ
みずはむれを好むが
....
ちいさな影が旋回する
曇り空には
そんな顔しない
生きている
しかたないだろ
ちいさな影が旋回する
こころの闇を見つめる
こころの光を見つめる
....
闇夜の風景の中
自分が生まれて初めて見た月光は
生家の隣の空き地に聳える
土手の上の屋敷の樹々
梢の葉の茂る隙間から
サーチライトのように照らされた
幼い自分の心臓を鷲掴みにす ....
壱=「以下にして空白を埋めようか等と考えている」
雲のないその日、たまたまペリカンの集団が飛来したのよ
かわいそうに、塗り直したばかりの白壁に小さな足跡をつけたのは野良猫ではなかったの
....
うららかな日でございました
春まだ浅い
やわらかな陽光が
鏡のような海の面を
無数にきらめいていく
穏やかな日和に
お嬢様は嫁がれていかれました
でも
その胸中はいかばかりか
真 ....
むかしあるところに不思議な植物があった
あるひとの ゆびのおとが ぱちんとなったとき
その植物は ビールになった
その不思議に人々は笑い 手をとりあって 酔いしれた
むかしあるとこ ....
ゴムを買って薬局を出た
冷えたぬるい大気が
工事現場のような明るさだった
さっきより空が黒くなっている
ああ、ぼくは、自由で不自由だ
アパートにひとに会いに行く
階段の音
暮らしの匂う ....
{引用=数刻のとびらをひらく
しろい手をたどる
まざりあう木々を
まどろみをいくつものかわせみを
はね広げているね
そこに降り立っているね
なみだに生まれてくるこず ....
おんなじ言葉でも 微妙にちゃう
うちとあんたの「好き」
わかってん、唇がふれたとき
いきあたりばったりに
集まった記憶のおもちゃ箱
きょうも両手で漁ってみるが
失せものばかりが鮮やかに
輝き失せぬ幻である
誰がもちこんだのか、モダンなデザイン 花札の
母の少女時代 ....
(朝の森)
トンネルを抜けると森に熱気球
十月の地に繋がれた熱気球
熱気球巨大坊主が起き上がる
熱気球深海クラゲの傘の色
熱気球プカリと浮かぶ朝 ....
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