五感に塩漬けされた記憶の味が
酸っぱくなってゆくようだ
母は既に亡くなり
カビの生えた世間知らずの正義と理想を
空は紐で繋いで晒し者にする

生温い風に扇がれて
都会のビルの間で尾鰭を振 ....
あたしの母親の両脇腹には
あずき色に腫れあがった
おびただしいインスリン注射の痕がある
あたしの母親は重度の糖尿病で
両眼は白内障で目が見えない
向かって右目は
塩焼きにしたあ ....
夕方にややふくらんだ足があり人も満ちて夜をむかえる

それぞれの耳にはそれぞれの音あてがわれてイヤフォンの白い線

半分にきっちり分けること出来てやっぱり冷たいアイスモナカ

飛び立ったば ....
何かを食べる。
咀嚼する。
ばりばり、
見えない何かは消えていく。
(求めてはいけないよ、自然にかえればいい。)
そう肩を撫でられても、
わたしは雑踏の海を
溺れながら ....
どの君も覚えていよう桟橋にやけに激しい風が吹いてる


僕だけを乗せぬ列車のわすれものやけに激しい風が吹いてる


無名指で前髪を除けきみは言う「やけに激しい風が吹いてる」 ....
蒸発しそこなった昨日の雨は
道路の上で
小さな鏡になり
今日を映している
赤犬がうわずみを飲むたびに
現れるさざ波は
やがて左岸に消える
わたしは
人生において しそこなったことの
 ....
「生きて 在る」 ということを想えば
やはり不完全だ 
「生きて 在る」 ただそれだけでは 
感じ 考え こうして思念で交信する以外
何もできることはない
私たちはどんな姿をしているのか
 ....
あなたを焼く炎は
煙さえ立てることなく
空に消えて

後には
黒枠の中で
ほほえむあなただけが
残っている
  
空に
光りの砂 
さざめき

大地に広がる
夏草の波
 ....
 雨音がすべての音を掻き消していた。
 この町に人はまばらだが、誰もが何か特別なことが起きるのを待っていた。
 不謹慎極まりない人々なのだ。
 小さな町では誰もが監視されている。

 
  ....
 すっかり改装された応接間に白い光が差し込む時、
 僕は思い出の中で横浜の匂いを嗅ぐ。
 まだ何も知らなかったあの頃の幸福は
 クラリネットの甘い音色が包み込んでいる。

 庭に抜ける大 ....
傘をさす手を奪われるほど
僕は何かを持ちすぎてはいない

縦書きの雨
カーテンの雨
通話中を知らせる音の雨
改行の雨
鉄柵の雨
液晶に、雨

こんなにも雨にまみれた世界 ....
小鳥がついばんだ林檎だけ
落ちずに残ったとき
決してこの世は綺麗なものだけで
満たされてはいない
線路の左側を歩いていくと
虹に辿り着くと幼い頃叔父が言った
母について記すとき ....
空をゆく鳥が止まっているのじゃないかって
思う時
あるよね

そんな言葉で恋が始まることもある
わたしたちが本当に見ていたのは
鳥でも
雲でも
小刀のような銀の波濤でも
ウインドサー ....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟

同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
戸棚の奥からでてきた何のものだかわからない古いリモコン
我が家ではときどきあるのだこういうことが
ためしにあちこち押してみる

わずかな振動が空気を震わせて
とつぜん世界が半壊
するわ ....
こころに海が在る
潮騒もときどききこえてくるし

いつかのくちづけも
深いうみの香りだった

瞳にうつる雲をとらえようとしても
いつのまにかかぜに溶けてしまうから

つねに移ろうもの ....
生きたいとつぶやいて
誰も聞いてはいない
つらいと叫んでみても
塞がれてしまう善者と呼ばれる耳

もう話す気力もベットから起き上がれず
吐く息だけが孤独を慰める
君の願いは
死の恐 ....
ぐおんと
いしきの
たきつぼ
おちれば

あぶくに
つつまれ
呼吸の
できない
じぶんが
いた

『 尾鰭よ!』
と、つよく
念じる

「 ねぇ、きみ ナイーブ とりか ....
ここは都会の海の底
コーヒーを待ちながら眺める窓の外

都会の空から夜が消えても
海の底には闇が淀んで

淀んだ淵の岩間から覗けば
摩天楼のような海藻が
ゆらゆら揺らぎ

海の底に ....
ヤクルトを飲んだあと
必ず底に残るものが
輪となり現れる

どういうわけか
そんなつまらぬものが目につき
飲み干してやろうと
舌の上で
容器をさかさまにして
振ってみたりする
ほん ....
熱帯夜に
惑わされて腐乱した睡眠から
止め処なく垂れ流れるゲルは
黒い卵を内包していた

寝息が言葉に染まって
過去の幻像を描くとき

醗酵したゲルは悪臭を放って
野を枯らし 街 ....
卵はひとつの理想形だ
人間もまた卵から生まれれば
これほど母親との確執に苦しむことはない
乳と血の繋がりはどんな病的恋情より
互いを束縛しその愛は動物並に遠慮がない
その点 卵は完璧だ
無 ....
本当にレモンが爆発するなんてやけに激しい風が吹いてる 花冷えの誰もフォローをしない夜 ブリューゲルがすき

野間宏が「暗い絵」と表現した世界

描きこんだ風景を解釈する自由

それっていいかも
だれにも語れないメロディー

ソートする必要もなくながれている

言葉とか想いはソートできるのだろうか
透けて見えたTシャツの乳首のとこだけ切りとられている ヘビメタTシャツ率の高い老人会に行く 人が奥歯を噛み締める時はどういう時だろう。
何か重いものを持つ時とか、野球でバットを振る時とか、一瞬に自分のありたけの力を込める時とか。
もしくは、口に出来ないような怒りに対して耐えるほかない時と ....
痰に執着が絡んで上手く吐き出せない

過去に想いを馳せて 石橋を叩いて 渡らない

 どの様な姿が陽に当たって影は無念だったのか
 それとも地平線まで心は太平であったのか
 おぼろげな足取 ....
泡沫恋歌さんのおすすめリスト(5147)
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