怪しいチップうづめられている
雪女の夏服に納得がいかない
雨上がりの朝 音楽会は終わり あたりは拍手のように光っていた
──終演
濡れた落ち葉は閉じられた楽譜 土に還る日を待つのだろう
──静謐
鳥は何の疑問もなく冬へと向かう ....
教室から飛行機が見えた
窓の向こうでは轟音が聞えているはずだ
潮のにおいも混じっているはずだ
この町の大人達の自慢は この学校の窓という窓は
二重ガラスで 外の音が 全く聞えないこ ....
あたいの前には、立ち入り禁止
あんたの前には、Uターン禁止
標識、ちゃんと見てよね!
いちおう様々な料理らしきものは食べてはいるが
いつも冷蔵庫の残り物から逆算してメニューが決まるような気がする
この前は大根一本が処理しきれずおでん風の鍋
その前は残った豚コマですきやきみたい ....
神よりも偉いのだけど蟻よりも偉くないのだ四十二歳
寝てる間にあなたの眉を剃りまして走らせましょう銀河鉄道
夜汽車の音を聴きにいく
眠れぬ夜のなぐさめに
長く尾をひく汽笛
行く人のさよならのように
旅のゆくえを指し示す
線路のむこうは闇に溶けている
行かない者のさみしさを
私はぼん ....
両親を持たない
孤児はさ迷って
乳が欲しいと雌の裾を掴む
だのに女は乳房を持たない
大聖堂の聖母も大通りの花売りも路地裏の娼婦も
まるで育むことを拒むように
首元までボタンを閉めて
....
風に戸口を叩かれた冬が
一斉に開かれようとしている夜に
凍えるようなアスファルトを踏む
裸の爪先が何処かを目指してさ迷っている
たくさんの色彩に恵まれた
この祝福された大地で
夜の闇にさえ ....
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人はみな心の中に
自分の花園を持っていて
色々な花を育てている
私は一つの花壇に飽き足らず
ネットを彷徨い
この花園を見つけた
私 ....
小さな鍵のうえに
丈夫な檻をかぶせる
はかり知ることのできない
うしろ暗いかなしみの末
その幼さだけが頼みの
あなたの白い歯が
深い夕闇にとっぷりと ....
僕が降ってきたよ
無数の
堪え切れずに
僕が
地面に突き刺さろうとして
ザザズ
濁った悲鳴をあげているよ
無数の
僕が降ってきたよ
止めどなく
所嫌わずに
....
ラジオで誰かが言っていた
「小さなことからコツコツと」を
「小さな琴から骨骨と」なんて変換していた翌日
ご近所でお骨発見のニュース
家族すら知らないうちに家の中で骨になるのなら
たぶん友 ....
らら空が音をつけて見ている
見えない色 らら空の音
眠っている瞳 生きている耳
らら空が音を変えて知らせている
色をつける耳 眠っている瞳に届く らら空の音
近くか ....
秋の途中
枯れたような空の下に
一本の柿の木が侘しげに立っていて
きみがそれを見上げている
もう、少し皺のついてしまった
グレーのコートに身を包んで
甘 ....
曇らせた
車窓に
鏡文字で書く
次逢える日と
ハートのマーク
常温で液体の金属である水銀
調合し身体の永遠を祈り水銀
を呑んだ皇帝や時の権力者も
現在の人々もしている事は同じ
自らの羽を喰らうヘルメスの鳥
だとしたら
ことば に できな ....
生臭い夜に
九本の足が生えている
洗いたてのシーツに置かれた
ただひとつの丸い石
きみの汗がそのうえを伝い
鼠がねぐらに帰るように
闇の奥へ ....
皺くちゃの子ども
緑色の鋏を手にして
揺らめく雲の端を断った
いま、
目覚めの時
山の連なりは遠く
朝焼けに縁どられ煌めく
森のどこか ....
ボケた祖母を鬱陶しがる父もボケてきている
生存率1%の1%で今日も生きている
花に吹かれ風が揺れている
さよなら
と言いながらつむじ風
くるりと巻いて
さよなら
ともう一度
こんにちは
とは言わないで
何度も
何度も
さよなら
止まらない銀河鉄道
開かない窓からアンドロ ....
今年も行った サーモンデー・フェスティバル
鮭が地元の川に戻ってきたことを祝う
アメリカ・ワシントン州イサクアという町で
毎年行われているフェスティバル
お祭りといっても
焼きそばやお好 ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて
秋の沸点はとても低い
燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
いっぱい有りすぎて涙も出ないのさ
彼女に子供ができてでも僕に仕事が無いこと
あるいは仕事はあってもやつらとうまくやれないこと
詩の題材ならいいが現実は
どこにでも有る歌の通りだ
ぼく ....
僕が神から離れていく
マナーモードなのに大きな音で震えている
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