やわらかな鉛筆の芯で
ここにはいない君を
スケッチしました
身体をおおう毛は
鉛筆を少しねかせてふんわりと
ひげは鉛筆を立てながら
細い針金のように
それは君の
生きることにまっすぐだ ....
ドーナツに吸い込まれるまでは好きだった
僕は僕の言葉が好きだ
誰より僕の言葉が好きだ
誰の言葉より僕の言葉が好きだ
自己愛の塊
自己顕示欲の塊
醜い塊
醜いと塊は似ている
鬼の威圧感に息が詰まる
自分を好きなんてくそくら ....
角膜を塗らす涙が涸れて
風景が乾燥する
人々は宙を歩いて
ぼくの中を通り過ぎ
アパート群を包む
光の霧はさらさらうごめき
新緑の山に光の粒子が
飛び跳ね渦巻き
光の雨が ....
存在という湖面に感情の漣がたつ
嫉妬や猜疑や後悔
期待と不安の入り交じった舟を浮かべて生きて行く
執着というホームに立ち
何処かへとむかう列車を待つ
想いを伝えきれない哀しみ
限り ....
黙ったまま思春期の迷路
雨がやんでしまうまで恋人
所変われば旨さも変わる
しかも賞味期限つきときたもんだ
あんたとあたいの正しさも、そんなもんだろ
純白の雲から
いつか夏の終わり
銀色に耀く雨粒となって
熟れた小さな果実のように
堕ちていったBluesky
なくしていた蒼い傘が
見つかりました
遠く霞む
紅にたたずむ山脈の
....
赤錆びた内なる世界から
私の退屈な半身が生命の扉を開けた。
今度は長旅になるらしい。
私は我が生命の光が再び灯るよう、半身に祈りを捧げ、見送った。
意気揚々と旅立つ若者に、私の心は鋭く反応 ....
なあ
おまえ歩くスピード遅くなったな
そうかな
そうさ
妻と散歩する夕暮れの利根川の土手は久しぶり
ねえ
誕生日プレゼント リクエストしてもいい?
....
ぼくらは言葉を繋げて
この暗い宇宙を何処まで渡って往けるだろう
一冊の詩集が時を越えることは
真空パックの棺が難破船のように
意識の浅瀬に漂着し鮮やかに燃え上ることだ
死んだ詩人についての{ ....
秋が来ていた
遠い遠いところから
この家のどこからか
そっと耳を澄ますと
秋がわたしを呼んでいた
遠い遠いところから
あの日と同じ声がした
呼ばれるままに
仏間の襖 ....
見上げると、木漏れ日は白く
辺りの緑を淡く包んでいる。
優しい。
ただひたすらの優しさが僕を愛撫する。
沈黙する森の中でころころと流れる風。
郭公の呼び声も既に久しく、ひぐらしさえも歌わ ....
合コン前の作戦会議が一番楽しかった
抱かれた夜から違う足音
昨日君は僕に言った
「もう、終わったの」って
「もう、止めにしましょう」って
「もう、別れましょう」
「あなたが何だか遠くに感じて怖いの」
それから彼女はさよなら二回でごめんなさいを ....
逃げている
追いかけてくるものから
ひたすらに逃げる夢
スローモーションで
お決まりのように
足が重くて
だるくて
走れないのに
すぐそこにまで
迫りくるものから
逃げている
....
向日葵の前で大きく背伸びする
どんなにおそろしいか
どんなにふあんか
まくらやみのなかで
ふみだす そのいっぽ
声をかけられなかった
ずっと昔
学校帰りの交差点で
その人は白杖を持って
信号待ちをしていた
声 ....
人型サボテンは狂い咲き
愛人は血を流し過ぎたのだ
肌蹴た胸に呪詛めく黒子口移しで
器から器へと移動しながら
情熱は霧散して往く愛は
溶けないままで重く沈殿する
裂く天つめたい銀河 ....
夏のばくだん
硝煙???
息がすくなくなる
かかとが上がらない
光と蒸気のなかをゆく
やがて
やがて秋のけむり
熱がほどける
うすら冷たい大気
拍 ....
眠れないのかい?
珍しいじゃないか
深い暗い穴の中へ落ちる事は
意識すれば急に怖くなる
起きていたいのかい?
珍しいね
もちろん僕は付き合うさ
君が安心して
無意識の世界へ ....
虚ろな純情をたてて十六夜の海
ありふれた寂しさに月を絞って飲む
僕たちはすれ違う小彗星のように
尾をひきながら歌って生きてゆくのだ
そのときに交感した想いだけが
やさしいえねるぎーとなってさらに
宇宙の深奥へと誘われる生命なのだから
まだ魚だった ....
ぼーとテレビを見ていて
半開きの唇から
涎が一筋
急いで手で拭き…
認めない
涎を垂らしたことが老いのせいだなど
ただ 口を閉じていなかっただけ
幼児は涎を流し
若者だって 口角泡を飛 ....
消えたデータは消えたかったから消えたのさ
晒すものではなかったらしい 小癪だがな
二度目を脈打つと まったくの別人
アンタ誰なのさ まぁよかろう
アタシはドライ詩が書きたかったの ....
遠くてどうしようもないところにある
でも大切な里にゆきたいとお金を貯めていた
わたしは消えてしまうのだけど
#
女の子がそれを知る前
暖かな手のひらが彼女にスプーンを手渡して
....
冬の間近に聴こえた去勢の声が
立ち止まらない足跡に踏み締められてしまって
還らない記憶となる
季節は幾度も挨拶してくれるが
それ以上語り合うことはないので
私の名前を一向に憶えてはく ....
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