僕らは何度も長いトンネルを通るたび
耳がキーンとして 生欠伸をしたり 鼻をつまんだり
想い出すよ トンネルのたび 耳がキーンとするたび

元気でいますか
僕は元気とはいえないけれど
な ....
おやすみ言えぬ桜満開 酒に酔ったジジイが
タクシー待ちの列に
割り込んできて
俺の前に並んでいた
熟年夫婦より先に
乗り込もうとした
「おい、何をしてんだてめえ!ちゃんと並べよ!」
俺が穏やかに言うと
ジジ ....
桜舞い散るバス停の
ベンチに 二人座って
いつまでも 空を
見上げていた

いくつものバスを 見送っても
少しも
かなしくなかった

風に散りゆく 桜花
あとから あとから
 ....
桜の花に誘われて散歩するわたしの行く手の
立ち枯れた葦の叢から飛びだした番い  
ギャッと鳴いて 慌てふためき 灌木の陰に潜る雉子
間違えはしない
登校した私を小学校の玄関で
毎朝迎えて ....
あなたの声が聴こえてきます
空は美しいと知ったのは
それから間もなくのことでした

あなたの声が見えるようです
雲に隠れていても
太陽の輝きはわたしを慰めます

あなたとどうして出 ....
…いっしょに泣いて差し上げましょう…

からまる蔦をふりほどきながら
女は石段の脇で踞る若い僧侶の傍に偲びよって行く
立ち込めていた靄の薄い生地を開いた

かわりに一枚ほど借りてい ....
ザザ ンブ ララ ア
ルル ルウ ザンブ


寄せては返す
奪ったら返してくれない
怨んでもシオマネキ
黙ったら塩辛い


ザザ ンブ ララ ア
ルル ルウ ザンブ


 ....
眠気に包まれた祈りが煙の海を泳いでいる
硝子越しに並んだ雑誌の女たち

未だ馴れない携帯メール
     たどたどしい指先

男性誌と女性誌では
同じ美人でも漂う匂いが違っている
雄と ....
太平洋戦争のあと
海底に眠り続ける
たくさんの機雷と
ともに朽ち果てた
駆逐艦は大海のひとかけらとなって
ゆったりと深く沈んでいる
真夜中の月は
もはや永遠に
届かない光となっている
 ....
背枕を省みては どんよりと重く
降りそうで降れない燃える蝋の雲
瀕死の猫が
)はあはあと
くふくふと 、来
血(らいち)に染まれば息は幽すかな断脈
もたれることもなく
 ....
山つつじの花が
ぷっくりぷっくり
つぼみをたくさん
春の風が嬉しくて
絵具で描いたみたい
彩る奏でる春の唄

私にもたくさんの
つぼみがあって
ゆらゆらと今か今かと
心が踊り華やぐ ....
いつからだっけこの部屋が
こんなに狭くなったのは
いつの間に築いたゴミの山
気付かなかったことに唖然とする

僕を生き埋めにしようと
牙を向いているかのよう
不満があるのはわかるけど
 ....
みずからの
水だけで
果実がジャムになる
という方角を
みつめている
わたしという誰か
くつくつと
やがて
ぐつぐつと
そうして
やがて
なにも言わなくなる
鍋だけが焦げてゆく ....
ちょっと 影の薄い黄色

見ていると なぜか落ち着く黄色

油断すると 黄色でなくなるようで

ほっておけない

黄色の上から 黄色で上塗り

香りも 包んでしまい

レモンで ....
はだしで消灯時間のルミナリエ セーターに編み込んだイニシャルがちがった 僕の歩速はアンダンテ
歩幅はきみを抱きしめるときの喜び

世界はストーンサークル
星の影を測る物差し

僕の耳はユーフォニューム
B♭で風の音を聴く貝殻

きみは狂った時計が時を刻む ....
 春風に吹かれて

友訪ねともに買い物せむとてや車に乗りて弥生も末

今日の空うす紫に雲もなく川の青柳ゆれておりけり

車窓より春のそよ風吹きこみてややもひんやり光りさす道

真昼なり ....
春になると
淋しい木々の先に
白木蓮の{ルビ灯=あかり}が点る

ほんのりと明るい白い花は
どんよりした心を照らしてくれるようで
ほっと心が温かくなる

こんなふうに心が晴れない日は特 ....
 オルゴールの奏でる短調の流れの中で僕らは出会った。
 静かな避暑地の美術館に君の麦藁帽子は雄弁で
 僕の黒髪に風を寄越した。
 グランドテラスでは老夫婦の会話の隙間から優しいカモミールティーの ....
 桜の花は満開で 君は一つの時代を卒業した。
 休むまもなく 新しい時代はめぐる。
 心の準備は出来たかい?
 いま少しだけ 幼い君でいてもいいんだよ。

 健気に咲いている花を見て君は ....
「みんなが俺を蹴りやがる
逃げても逃げても追って来る
囲まれては蹴りまくられて
仕舞には頭突きでふっとばされて
時には拳で殴られて
そんな毎日 地獄の日々―― 」


「みんなが私に夢 ....
空き箱を捨てようとすると
捨てないでと
声がする

ほうら
よく見て
案外魅力的な箱でしょう
中身がなくなったからって
存在価値がなくなったって
ことじゃないのよ
むしろ
そこか ....
とうめい が
好きですよ

漆黒も
好きですよ

漆黒が とうめいな日が 好きなのです

玄武の闇漆黒の岩石の中でケイセキは ちかっと 輝いて

その輝きは あまりに ちいさいので ....
こたつと蜜柑の季節が終わって
それでも フッと食べたくなる蜜柑
蜜柑産地のJAで赤い網袋に入って
300円の値札を付けて並んでいる
{ルビ寒=かん}の間{ルビ室=むろ}に貯蔵されていたものだ
 ....
様々な波長のことばに耳を傾ける
舞い散る花びらのように光をもとめて
あるいは影に紛れてかたちを失ってゆくものたちよ

羽化して浮揚する繊細な翅を持つ蜉蝣のように
永い水底の想いををうたにして ....
また沈んでいく
またここに帰ってくる

どうしようもない汚濁に肩までつかり
どうしようもなく青い空を見上げている

どうしようもない汚濁の只中で
私は漸く少しだけ安堵する

薄汚れた ....
また君に月光仮面と言いかけてセーラームーンと言い直した どうしても叶えられない恋でした昔も今も私がかわいい
泡沫恋歌さんのおすすめリスト(5147)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
元気でいますか- 北大路京 ...自由詩1015-4-8
おやすみ言えぬ桜満開- 北大路京 ...自由詩215-4-8
ジジイ殺害の甘い瞬間- 花形新次自由詩315-4-8
さくら- 南無一自由詩515-4-8
雉子- イナエ自由詩15*15-4-7
出会い- 乱太郎自由詩12*15-4-7
ザッツ;泣き女- アラガイ ...自由詩4*15-4-6
波打際- nonya自由詩17*15-4-5
晴れの日にブルース- ただのみ ...自由詩18*15-4-4
海とSINK- りゅうの ...自由詩7*15-4-4
四月の赤い夜- アラガイ ...自由詩9*15-4-4
山つつじ- 灰泥軽茶自由詩515-4-3
断捨離- 捨我自由詩115-4-3
ジオラマ- そらの珊 ...自由詩15*15-4-3
レモン- 佐白光自由詩2*15-4-3
はだしで消灯時間のルミナリエ- 北大路京 ...自由詩415-4-3
セーターに編み込んだイニシャルがちがった- 北大路京 ...自由詩515-4-3
アンダンテ- 梅昆布茶自由詩15*15-4-2
春風に吹かれて- 生田 稔短歌315-4-2
白木蓮の灯(あかり)- 未有花自由詩12*15-4-2
- ヒヤシン ...自由詩9*15-4-2
娘に- ヒヤシン ...自由詩11*15-4-2
雪のとけた校庭で- ただのみ ...自由詩20*15-4-1
こうして今日もわたしは片付けられない- そらの珊 ...自由詩16*15-4-1
とうめい- るるりら自由詩25*15-4-1
三月の蜜柑- イナエ自由詩15*15-4-1
消波堤- 梅昆布茶自由詩1615-3-31
汚濁- baby bird自由詩115-3-31
また君に月光仮面と言いかけてセーラームーンと言い直した- 北大路京 ...短歌215-3-30
どうしても叶えられない恋でした昔も今も私がかわいい(真篠未成 ...- 北大路京 ...短歌1*15-3-30

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