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 「うまそうやなぁ!」
 いきなり頭上から降ってきた補佐の声
 昼休憩時
 開いたわたしのお弁当

 ほうれん草の胡麻和え
 切り干し大根の煮物に出し昆布の千切りまで入り
 かぼちゃの含 ....
先生は
ただ先に生まれたから
先生なのではない

先を生きているから先生なのだ
上にたつのではない
先を歩く
一番前を歩く
一番雨風を受け 一番苦しい道を歩く

そうして道を開いて ....
ダンボール箱の中に
座布団をしいてすわる

箱ごと横に倒れる
易しい

後ろは勇気が必要
でも易しい

前は難しい
膝があるから

前回りに一回転して
戻れたらクリア

 ....
 日本海に春の来た時は
 静かに 静かに
 目をとじてみると
 生命ない小石が激しい息吹をもらす

 波 寄せる毎
 丸くなり
 カラカラ カラカラ と
 妙に乾いた音たてて
 踊り ....
つい、さきほどまで
天国と地獄が
綱引きしてましたのよ。
でも
結局のところ
天国側の負けでしたわ。
だって
あの力自慢のサムソンさまが
アダムさまや、アベルさま、 ....
 日本海に春の来た時は
 カラカラ カラカラ と
 生命ない小石が激しい息吹をもらす

 波 寄せる毎
 丸くなり
 妙に乾いた音たてて
 踊り上がりながら 転げこむ

 海の碧に惹 ....
 


それ は 、無言、の内に

、声 、を発する

なにも 語らない 、有機的な 沈黙 、

 そういうものに 触れていた

雨に、 打ちつけられて

 そうして佇んでい ....
 朝のスープの
 セロリの香り

 悲しかった様な気がする昨夜の夢を
 おぼえていない 朝の靄
 一匙ごと かるくスプーンを動かしていると
 一口ごと すくいとられて胸の中へ流れこむ

 ....
 六月はもう
 むし暑く
 医療用コルセットを巻くと
 腹部が汗でむれる

 窓の外を見ても
 空はどんよりと深い水の色
 濃すぎる緑に
 むせ返りながら
 ものうく

 大気は ....


どの、骨で
鳥をつくらうか。

どの、骨で
鳥をつくらうか。

{ルビ手棒=てんぼう}の、骨で
鳥をつくらう。

その、指は
翼となる。

その、甲 ....
 いく本かの 樹が
 チロチロ陽を洩らす太い枝に一羽きて
 また二羽が来る
 小さな頭を左右に振って
 最初にきた小鳥が身を投げ出すように低空飛行
 今し方 私達が登って来た細道へ向かう
 ....
雨の中 お弁当を食べた

山積みの木の枝を燃やす
離れられない仕事だったから

雨にぬれていくご飯 おかず
服に染みた煙の臭いは
ぬれるとちょっとおえってなる

思いがけず惨めさがこ ....
5月28日
黒いペンで書かれた
カレンダーのさりげない予定
几帳面な字

その翌日
あなたは
日めくりの裏のような
真っ白な予定の永遠に続く
向こう岸へと
踏み出してしまった

 ....
 
 仮設足場組立工事が始まると 
 いつの間にか ダークグレーな防音シートは 
 しのつく雨に暗く、まるで
 封建制度の時代にたてられた牢獄の様に
 そびえていた

 からだのモヨウが ....
「恐れ入りました。祭祀クーラスには、帰国後に、
 あなた様のご意向をお聞かせしましょう。しかし、本当に……
 イリアス様の生殺与奪を我々に任せるというのですか?」
「当然だ。王室には王室の流儀と ....
「奴隷も捕虜も?」フランキスは息を飲んだ。
現状、クールラントがアースランテに負けないとは思っていた。
第一次ライランテ戦争の後、アースランテはその国土を、
三分の一ほどにまで減らしていたのであ ....
「グーリガン・ハルガンテは、この度のファシブルとの
 戦争に参加しなかったことにより、五年間の幽閉を命じる。
 イリアス・ガ・ラ・ハルデンも、その頃には目が覚めていることだろう。
 彼女は、グー ....
「それでこそ、アースランテの女だ。
 アースランテには、臆病者はいらない。男でも女でもだ」
「しかし、妙なことがあります。イリアス様は、
 自分が王位継承者だとは知らない模様でした」

「彼 ....
「しかし、アイソニアの騎士、グーリガンが諾とは言いますまい。
 彼が敵となることは、貴国にとっても大いなる禍をもたらすと存じます」
ここまでは、祭祀クーラスの思った通りであった。
しかし、ハッジ ....
 
 熱帯植物のあでやかな緑生い茂る中に
 消えていった友人の後ろ姿
 
 呼吸の度 緑の香が私の心染めてゆく

 樹々の名前など知らない
 私の身体中が
 心中が
 熱帯樹のしめり ....
「祭祀クーラスはつくづく間抜けだな。近いうちに命を落とすかもしれんぞ」
「それが、デーモンであるラーディガンと契約した国家ですか?」
「デーモン? 所詮は我々人間とは違う種族。
 契約が身に合う ....
「ところで、お前は馬車何頭で来た?」
「はい。三頭でございます」
「汝、イリアス、そして護衛の者か。だが、
 我が軍はすでにラゴスへと攻め入る準備が出来ている」

ハッジズは続ける。「汝らが ....
「あなたは一体……ラーディガンとどんな盟約を交わしたのですか?」
フランキスはその顔をこわばらせながらハッジズに尋ねた。
「ラーディガンと? それは些細なことだ。この世の人間の、
 半数を葬る。 ....
ゆとりがある
こんなに静かで深くてよいのか

時は深く根を下ろし
かぜはなく 電気は通電している

精神の砂時計は脈々と時のなかに砂を落とし

溢れる歓喜の声は静かに躰中をかけ揺ら ....
ハッジズのこの提案は、ラゴスと争うにあたっては願ってもないものだった。
しかし、ハッジズの野望はそこにはない。いずれは、
ライランテ大陸のすべてをアースランテの手中に治めるつもりだった。
だから ....
「この戦争を止める、とは申しておりません。
 ただ、我が国は貴国との和睦を願っております」
「人質を取っておいて、よく言う。しかし、
 イリアスは人質の用をなさぬぞ」と、ハッジズの声。

「 ....
フランキスはアースランテに王である、ハッジズとの面会を取り付けた。
アースランテ軍は今、全軍がラゴスへと向かおうとしている。
そんな中、ハッジズはクールラントからの使者を疎ましく思っていた。
( ....
 花の時がすんで
 雨の時が来
 山の青く美しい時がすんで
 薄墨にけむる時が来

 それでも あなたがそばにいてくれると
 私の心は
 ブラインドカーテンから差し込む朝の光に
 床を ....
そのころ、イリアス・ナディを乗せた馬車は、
アースランテの首都ハンザガルテに迫ろうとしていた。
フランキス・ユーランディアが同道している。
(なんとしてでもアースランテとの和睦を取り付けねば…… ....
ラゴスの議事会議長、ケンパ・ハルラージャは言った。
「国家の威信と国民の命、どちらが大切ですかな?」
アウゼルは一瞬言葉につまった。
「いずれもが、国家にとっては大事である」

アースランテ ....
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