後姿
リリー


 玉ねぎを薄切りにする
 辛さと
 人参を薄くそぐ
 暖かい朱色と
 さやえんどうを茹でて塩をかける
 平和さに

 じぶんの後姿をみたいと希う

 鍋に湯がたぎる
 湯気の中に差し出す顔は
 武装した前向きの顔じゃなくて
 冷えた心の
 次第次第ほぐれていく
 一人きりの頬笑み

 ささやかなスープを作る
 なべの中に
 溶け出す 心
 今の わたしの背中を想像してみる時、

 それはいつも
 頼りなげに浮ぶ
 影の様な不安が消えた
 見知らぬ 童女かもしれないと思うのだ


自由詩 後姿 Copyright リリー 2024-02-05 07:38:24
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