黒トンボ [まち角30]
リリー

 ちょっと気鬱な
 月曜日
 交差点に
 今朝は飛んで来てくれた
 白い息吐く
 羽黒蜻蛉

 その引き締まった脚線は
 二対の翅、
 着膨れする ときわ木の
 林を抜けて
 見知らぬ平原へ

 通勤時間帯 
 たまに現れる
 七十代ぐらいだろうか
 蛍光色のキャップを深くかぶり
 細身で張りのある躰にフィットする
 黒の ランニングウェアが
 よく似合う男

 街にも 
 飛んでいるのだ
 心のふところにポッ と元気が燈る
 神様とんぼ


自由詩 黒トンボ [まち角30] Copyright リリー 2024-01-30 07:25:17
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