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子供たちが去った夕暮れの公園
鋼色の空に咲く
小鳥のような白木蓮
その一輪をきみにあげたくて
手を伸ばしても届かないもどかしさ
 からし酢味噌のお浸しに
 しようと買った
 菜花の 蕾、
 キッチンの隅
 春灯る
うたうたに見おくられながら、おとこはあたらしい歌をひきつれて旅をした。
うたうたは酒に似ていた。せかいを光の波紋でにじませて、あまく匂ういきをはいた。
波うちぎわでは、松のぎょうれつが盤根をもちあ ....
悲しみは降ってくる

思いもよらない日に
思いもよらない所に

悲しみは降ってくる

雲ひとつない晴天に
罪ひとつない午後に

悲しみは降ってくる

そういう時に限って
 ....
 眠りから
 さめて 窓越し
 はつ雀、
 妙に可憐で
 枕ゆるゆる耳傾ける
 
 
 
枯れた林を彷徨い
冷たくなった手のひらに
息を吹きかけ暖める
きみに捧げるために拾った
紅い
紅い…
珠玉を握りしめ

月の言葉に誘われながら
独り歌を唄う


いまきみに恋し ....
 木下闇
 人の通わぬ奥深く
 その道 樹々の嘆くとも
 君、
 振り返ること無くて

 遺影の彼は
 今も 三十二歳

 その朝、枕辺のオーディオステレオが
 静かに鳴っていたら ....
三つの色、
一つの終わり
声と息が重なり、
いのちを紡ぐ

春、
菜の花が咲き
夏、
青い夜に

秋、
幾度もの口づけ、
瞳に映るのは
紅蓮の炎

めぐる季節と
想いは ....
登場人物  夫──壮年のサラリーマン。
      妻──夫より三歳下。専業主婦。
      娘──短大出たてのOL。

舞台    東京都世田谷区の一戸建て住宅。


(平成二年、八 ....
黒曜の空に
梵鐘を{ルビ撞=つ}く音が満ちている
一年の煩悩を洗い流すように
来る年が平穏であるように
森羅万象に響いている

{ルビ諸行無常=しょぎょうむじょう} (全ては変化するのだ) ....
ぶうーん・ぶぶうーん…
まるでラジコン飛行機やないか!
朝晩、うなりやがる血圧計め!

おそらく内なる意思の言葉のほうが正しいとおもう。
目覚めている意識の判断はきまって怪しいほうをえら ....
いままでどれだけ花が散るのを観てきただろう
いままでどれだけ雲の移ろいを観てきただろう

ぼくはいまだ彷徨い 戸惑い {ルビ躓=つまづ}きながら歩いているよ
いまはどんな辛い事も嬉しい事も楽し ....
オレは世の中の99.9999%以上の事象を知らない
バカで バカで どうしようもないバカなのだ
酒を飲んではくだを巻き
夜の闇に溶けるだけ

たったそれだけの存在を
月だけが優しく頬笑んで ....
(だれが呼んでも
(きこえないよ
(きみが、いちばん!
羽根のない子どもは月に擬態する
集団下校の輪の中に居たはずなのに
だれも名まえを思い出せない
古い友だちの口笛は
(風が散ったから ....
お骨はゆうパックで送れるんだって
へぇ
そんなわけで叔父の骨を預かって
春と夏が過ぎた からんと
最近は近所に犬を見なくなった
骨を差し上げるあてもなし
わたしが咥えてしまおうかしら
叔 ....
ふたりで拾った
透明で硬く紅い卵

ぼくが生き物係になって
手のひらで暖め孵化を待っている

何が生まれるのかわからない
虫眼鏡で眼を凝らしてみると
真ん中がトクトクと脈動している
 ....
きみが望むなら
この両手をあげよう

きみが望むなら
この心臓をあげよう

ぼくは風となって遠い旅をして来たから
もういいんだよ

いま欲しいのは
きみの頬笑みをひとつだけ

 ....
君のこと 好きに決まってるだろ

もちろん君の旦那も 君以上に好きだ

ゴメン ボクたちには
君に話せない 秘密があるんだ

察してくれ あまり深く訊かないでほしい

ボクたち 誰か ....
夜に潜む影
永遠の哀しみに藻搔く者
{ルビ紅=くれない}の、生し刹那を求めて
彷徨う我は ひとり

青白い肌に朱の唇
尖った牙と真珠色の爪
その姿は、美しくも恐ろし

夜の帳に包まれ ....
言葉をつづりたくなる
眠る時間は決まってない
なのに
真夜中は押し寄せて来る

ひとを求めている
スマートフォンの中に
誰かいないかさがしてる
話をきいて欲しいわけじゃない
この時 ....
いくつもの出会いを
得て
知った
大切な喜びに
私はつくられている
風が強く テントを打った
毀たれるような寒さの中で
ストーブにあたった

5つの頃 寂れた駅の入口で
飴色の夕日の中で
吹きすさんだ風と
おんなじ音が聞こえてきた
目を閉じると
あの ....
 小学校の正門前
 通学路を跨いで並び建つ民家の
 玄関先に置かれる
 バラの鉢植え

 通勤途中に
 つぼみが、
 いつまで経っても
 開かないわ と思っていたら
 その日
 薄 ....
仰ぎみれば
すっぽりと
闇のなか
煌々と
ただ


夢をみる

ほつとけーきを焼いている
 
 ───ホットケーキ ですか?

 ───はい、ほつとけーっ!

夢 ....
見間違えるほど
美しくなってゆく君は
夢の中で何をみているだろう
夜毎ぼくは眠れなくて
ウイスキーを舐めている


庭園に落ちると感じた刹那
ぽとりとひとつ紅い花
西の空を見上げては ....
お前のことを聞いたのは
つい最近のことだった
婚約者を残して逝ってしまった と

お前はビールが大好きで
出張先のホテルで溺れたと聞いた

お前は技術屋でオレは営業屋だった
オレたちは ....
回旋塔の葬列を
ひとり
見送る
詩人は今日も
生まれる



遠雷は

私を
弔う
永遠



さようならの後は
何かの
始まりの時
約束を
思い出す
夜の{ルビ静寂=しじま}に独り遊びは慣れている
悲しみと 愛しさの狭間でウイスキーをあおり
君を待つ秒針だけが過ぎてゆく

期待と不安がよぎる交差点
ヘッドライトだけが過ぎていく

ぼく ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
何故… 何故…
君は其処にいるの?
遠くて
遠くて

いまはまだ届かない

水上飛行機のプロペラを回していけば
すぐなのに

いまは鍵を持っていない

予感が{ルビ奔=はし}る ....
ひだかたけしさんの自由詩おすすめリスト(7442)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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