朝もや
リリー

 冬靄に
 鳴き交わす水鳥の群れ
 細い車道のヘッドライトを
 吸いこむ ささめ雨

 大通りの交叉点
 如月の靄 薄れ
 東へ連なる街燈のむこう
 仄かなサーモンピンクの低い雲

 そんな
 明るんできた歩道で
 不穏なキモチけぶり立ち

 通りすがりに目を凝らす
 血染めの縁石
 清掃されていない路上の
 血だまり

 正門の守衛室に社員証を提示する
 私の顔に
 貼り付いていただろう
 朝のもやもや


自由詩 朝もや Copyright リリー 2024-02-01 16:45:33
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