すべてのおすすめ
懐かしい名前に出会って
僕はやっぱり僕だと知る
いつの間にか分厚い着ぐるみ
無言のパフォーマンスしてたね
ちょっと後ろのファスナー
下ろしてくれないか
風を浴びて
蘇りたい
逃 ....
難しくなると
投げ出したくなる仕事
継続が危うくなる
AIを使えと命じられる
AIに振り回される
使うつもりが使われて
AIより下っ端の労働者
AIを乗りこなす
騎手たちがゆんゆんと走 ....
二人でいたかったから
仕事をサボった
天罰をくらって
二人は会えなくなった
労働と引き換えに
年に一度の願いを叶える
カササギたちがつくる
横断歩道を渡って
天の川は大渋滞 ....
静かに閉じたその目が
最期に何を見ていたのか
何か言おうとしていた
半開きの口に
問いかける声はもう届かず
涙が頬を撫でる
柔らかかった手は冷たく
黄ばんだ肌は蝋人形のように
固まって ....
古い骨の破片を取り出し
命を再生できる世界
もう一度生かされ
3025年に生まれたなら
何を見る
何を選ぶ
同じ過ちは
冒さないか
結局孤独に
彷徨うだけか
バイオの技術も ....
森の奥
木の葉が私の羽に絡まる
苔の鼓動
微かな羽ずれの音
迫る夜に小さく鳴く
風が木の葉を揺らす
川が流すinstrumental
夜の裾に隠れた光に導かれて
羽を広げてゆく
私が ....
草臥れたぼくを折りたたんで
シャボン玉みたいに脆い
紙飛行機
ため息に乗せて飛ばしたんだ
きみのところに届いたら
開いてみて
きみの瞳に映る時だけ
ぼくは ぼくでいられるから
....
静まり返った部屋に
ビデオテープが転がっている
ラベルにはターミネーター
繰り返し観ていたのか
戻れるなら
戻ってきてよ
B級映画のエンドロールを見た時の
ため息
もうすぐ業者がやって ....
埃っぽい風のにおい
霞むスカイブルー
淡い間
遠ざかる背中を
見送りながら鼻をすする
いつかまたなんて
やって来そうにない
さようならを裏返すと
ありがとうが顔を出した
街が目覚める頃
電車に詰め込まれ
肩が触れ合う
一瞬の繋がり
それぞれが抱える
一日の憂鬱や希望
窓の外には
刻々と変わるビル群
プラットホームに
爆破したみたいに
飛び出す
そ ....
破壊と再建の繰り返しで
歴史は編まれている
恐怖 ショック 残念
悔しさ 闘志 アクション
様々な編み方が共存しながら
延々と編まれ続け
時点時点の結果がそこにある
今日は三 ....
君が去って行った方角から
雪の匂いがする
さようならと引き換えに
雪雲を連れて来る
笑い合った日の空気は
すっかり消えてしまった
どんなに懐かしんでも
現実に戻ることはない
儚い夢のよ ....
今だけを走る
死なないように
食べること眠ること
延々と繰り返し
疾走する
追い抜かれても
大丈夫
背中を押すのは
生きる力
食べること
眠ること
延々と繰り返す
やがてそれは ....
龍だった体はゴワゴワと
一年分の出来事に塗れて
空を飛ぶには重くなった
カレンダーを新しくして
つるんと剥けてスルスルと
元気に走れよ 僕
大きな蛙は呑み込んで
栄養にしてしまえ
蛇行 ....
喪服の人たちが蠢いている
涙も出ない
感情がわからない
現実を受け入れない代わりに
不思議な出来事を受け入れる
それに救われながら
不思議な世界の隙間から見える現実を
少しずつ引き寄せて ....
さっき心に浮かんだ言葉は
すぐに消滅してしまった
書き留められなかったその言葉は
次はいつ出現するだろう
そんなことは無数にあって
捕まえられなかった言葉が
ひらひらと不規則に飛んで
こ ....
羽毛布団を出し
外出はダウンを羽織り
鳥の恩恵を受ける
鴨しかいなかった池に
いつの間にか百合鴎が加わり
殺風景に華を添えていた
陽の傾きが早い
帰り道の寒さに寂しさ
空には凛 ....
ツンと鼻に冷たい空気
見上げた空に
緑黄朱色のグラデーション
陽に透けて
昼より明るい電飾
青空を燃やしている
その明るさを浴びていると
険しい道を歩いていても
前に進んでいける感触
....
信号が黄色に変わり歩みを止めた
やがて赤になり待つ時間
この交差点
どちらへ行こうか
急な上りの坂道の方は
坂を上りきったその先に
きっとよくいる大半の人の群れがあり
そこで擬態して ....
時々体から心が離れてしまう
あり得もしない妄想で上の空
きっと車が突っ込んできても
気づかないまま吹っ飛ばされ
良くて重体悪ければ死が待つ
上の空にはならない方がいい
しかし現実は途轍もな ....
公園の池の際に母子がいる
母は子供にパンを渡し
子供にパンクズを池に投げさせた
池の鯉は競って大きな口をパクパクした
傍には鯉に餌を与えないで下さいの看板がある
通り過ぎる人々の視線が母子を ....
ルーティンという忙しい退屈の中で
何度も自分を殺し
口から漏れ出たのは
「承知しました」
葛藤を舌に載せ
無機質な会話を次から次へ
無塩のパンを食むようにして
乾いた口をパクパクさせ ....
青白い顔
まだ魂はそこにある気がした
らしさと共に
だんだん土気色に変わると
らしさから白い鳥が飛び立ち
魂を持っていった
すっかり深い土色となったらしさは
白い花々で埋め尽くさ ....
窓ガラスの向こうは
灰みたいな霧雨
しっとり濡れたふたり
長い沈黙はお互いを窺っている
温かい珈琲をブラックで飲み
空気が微笑んだ途端に
外の世界は滅んでゆく
ドアの鍵を掛けたその手で
....
胸に火炎の種を宿して産まれてきた
赤子の時は泣いて火の粉を散らし
成長するにつれて自分で消火し
胸の印を隠して生きてきた
あなたに出会った時
胸が疼いた
忽ち火炎が咲いて
私が私に目 ....